第十一話 喧々囂々
天井のどこからか分からない箇所から。
赤い閃光が下り。
本人曰くーー《サト江》プロジェクトのバーチャル初号。
その意味すら、二人には分からない。
『だから。ある意味、ボクたちは姉妹のようなものだ!』
「ふざけんな!」
暴れそうなリナを、何とかボンドが。
後ろから、羽交い絞めにした。
「離しなさいよ!」
「で。そんなお前が、俺たちに何の用なんだよ」
そうボンドがサト江に訊いた。
サト江も、ボンドの質問に。
『いや。来たのはそっちなんだけどねぇー』
意地悪くサト江が言う。
確かに、とは思いつつ。
『ごめんね♪ 意地悪いこと言って』
そんなボンドが、何か言う前に。
サト江が言う。
『--……鬼灯トント博士の研究を止めて欲しぃんだ』
唐突もない言葉に、
「止めるも、何も。どうやってだよ」
ボンドも、目をしかめた。
少し力が緩み、それにリナも。
彼の腕から逃げた。
「お前。そいつ、トントって奴の研究内容分かるか?」
「知らないわよ! 知りたくもなかったし!」
一度。いやーー何度も。
自身の両親に訊いたことがある。
だが。
『リナちゃんは知らなくてもいいのよ。ね?』
『そんなことよりも。この通信網の数字は何なんだ? リナ』
閉鎖的で、何も教えてくれることもなかった。
色々と、面倒なことにもなるため。
以後、訊こうと思わなくなった。
興味心はーーそのまま。
そして、ズルズルと。
教えられないままーー今に至る訳だ。
「知ってたらっ! 教えてもらってたら!」
ズビ!
ずびび‼
「島から出て行ってるわよ!」
リナの叫びに似た悲鳴に。
ボンドも、軽く頷くと。
彼女の頭を、優しく撫ぜた。
「この通りだからさー教えてくんない? サト江ちゃん」
『いいわよ♪ あとね? 貴方は何者なのか。名前も。教えてもらえるかしら?』
「--……てか。やけにリアルタイムに話が進むな? お前、ひょっとして」
指をさし。
「トントの野郎じゃないのか?!」
『違うわよー~~ぃやねぇ~~♪』
「なぁ。リナよ~~」
「何、よ……」
嫌そうにリナが言い返した。
「本当にここはーー」
「日本! 光圀島っっ‼」
歯を剥き出しにするリナの様子に。
腕を組む。
「日本がこんなにすごいとは!」
「日本で一括りにしないでくれない?」
言い合う二人に。
サト江が、
『じゃあ。行きましょうか♪』
にこやかに歩き出した。
「「は??」」




