第八話 ここから始まった
side.ミウ
(やっぱりお兄負けちゃったかー)
お兄が吹き飛ばされるのを見て、思わず駆け寄った。
それと同時に試合終了のゴングが鳴った。
「勝者、ゆい!ちゅうわけでゆいに賭けとったやつはこっちで渡すからこっちきなはれ」
わたしはお兄に賭けてたからちょっと損しちゃった。 まあそんなことはどうでもいいんだけどね。
少し経ったらお兄が目をぱっちり開けて大の字に寝転がった。
「あー負けた負けたー」
お兄が起きたのに気がついたのか、ゆい姉ととってぃさんが近づいてくる。
そしてお兄に向けて苦笑いを浮かべた。
「まったく、さっきのは惜しかったのにね」
「いや、まだまだだな。それよりさっきのは掌破は決まったと思ったんだが、全く効いてなくて驚いた」
「そりゃあゆい姉さんだからね。簡単に抜かれたりはしないさ」
「なんだそりゃ...」
実際、お兄はいい線までは言ってたように見えた。
でも、普段のお兄なら最後まで絶対に気を緩めることは無いはずだ。
そうだったらゆい姉がダメージを負ってないことにも気づいたんじゃないかな。
「お兄お疲れ様。惜しかったね」
「大体こんな小さな枠内で戦うこと自体が間違ってる。向こうも分かっての決闘だろ」
「そんなことより」
お兄はゆい姉に向き直る。
もうこの話は終わりという事を姿が言っていた。
「ゆいの特典は何だったんだ?」
「うーんとねえ」
ゆい姉はまたも苦笑を浮かべる。
「実はちょっとすんごいもの貰っちゃったんだよね...」
「「すんごいもの?」」
わたしとお兄は口を揃えて尋ねた。
「うん、すんごいもの。ちなみにとってぃにはもう教えているよ。なんだと思う?」
「なんだって言われても......」
一応2位のお兄がフィールドひとつもらったってことはそれよりも規模の大きいものじゃ無いとだめってことだよね。
じゃあ残ってるものとしたら......
「国?」
思わずそんな言葉が口から出た。ゆい姉は満面の笑顔を浮かべる。
「ピンポンパンポン、大当たり〜。まあ、正確には国を作って国名を名乗ることを認めるって感じの契約書なんだけどね。なんか、ベータの防衛イベで国壊したのが少しまずかったみたいでね。と、いうわけで物は相談なんだけどね?」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
厄介ごとの匂いを感じたのだろう。
お兄はそういうのには敏感だから。
だがゆい姉は逃がしてくれなかった。
立とうとしたお兄の肩をガシッと掴む。
「まあ、トイレは後でもいけるじゃあないか?」
逃げるのは無理だと悟ったのかお兄は座り直した。
「で、ひとつ頼みたいことがあるんだよ。ゆい姉さんと一緒に国作るの、手伝ってくれないかな?」
「面倒くさいので、パス」
お兄がすぐに断る。
「まあそうすぐに話を終わらせようとしないでよ。別にすぐにどうこうするってわけじゃないのだからさ。大体、土地から自分で見つけないといけないのよ? それにね、今協力するって約束してくれるなら......なんと、とってぃが毎晩料理作ってくれるという特権を付与しよう!」
「ちょ、そんな話一言も...「乗った!」ってスグル!ミウちゃんもなんとか言ってよー」
「ごめん、わたしもとってぃの料理は魅力だから...賛成で」
「ミウちゃんんん!?」
(ごめんねとってぃさん。これもすべては美味しすぎる料理がいけないんだ!)
「うん、ゆい姉さんは嬉しいよ。ありがとうね」
「ボクの意見は無視なんだね、そうなんだね...」
「その話、わいも一枚噛ませてもらおか」
横から聞いていたのだろう。
勝ち組に金を配り終わったダンテさんもこっちに来た。
「商人としてそんなおもろそうな話は見過ごせへんからな」
「いいよ。じゃあダンテも参加ってことで。でもまずは土地を探すところから始めないといけないね」
「土地ならそこのスグルが持っとるで」
「......え、どうゆうことだい?」
お兄は深くため息をついた。
.........................
こうして緩やかにパーティーは終わっていった。
設定の都合上、に初回ロッドを10万から2万に変更しました。
今回で一章(序章?)は終了です。次は建国か?と思いきやそれ以前に下調べやらなんやらで結構時間がかかる予定となっております。ほかにもオンラインゲームならではのイベントなども考えていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いします!
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(改稿済み)