第六十九話 説教
今日で学期末テスト終わり!
春休みは目の前だ……!
南通りを一通り歩いた後、街の形状について説明される。
「外から見たらわかった思うがこの街は円形型や。東通りと西通りには商店街、この南通りは鍛治、錬金といった生産通りにするつもりや。民家は通りどおしの間に作っといた。裏道言うても道幅7メートルは最低でも確保しとる。そう言う意味やったら探索しがいのない街かもしれんけど何より視界が狭い場所がない方が悪さなんかし難くするからしゃーなしや」
「おう、それで良いんじゃないか。元々俺らが都市運営なんかに慣れてるわけじゃないんだし出来るだけ懸念は取っといた方がいい。治安なんか大事だし。ただお前のことだからもっと近代的なビルとか作ってるかと思ったんだがな」
「ここにそんなつまらんもん持ち込むつもりは無いわ。じゃ、さっきから気になっとるやろうし行くとしましょか」
ダンテは軽くスキップしながら歩くのを見て一言、
「キモっ」
「酷いわっ!」
直ぐに足取りを戻しながら城に向かう。
「南通りはあのでっかい城に繋がっとんねん。他の通りは街の中央の大広場で交わるねんな」
「そもそもあの城は何だよ。でかすぎだろ」
ダンテはそう言われて少し遠い目をしながら頭をかく。
「いやー、なんつうもんかね。ちょっとした出来心っちゅうかなんというか。あるやろ、やり始めたら途中で止めるのもなんか……みたいな?それでちょっとやりきっただけやねんな」
「ちなみに費用は?」
「……」
ダンテが無言で冷や汗を垂らす。
「確か玉鋼で莫大な利益を得たんだったよな。えーっと?聞いた話によるとリース……ヘルネ王国の姫さん相手にも直接交渉しに行ったんだっけか。随分面白そうなこと俺が学校行ってた間にしてたらしいな。既にリィースにも支店出したんだって?随分羽振りが良いようだけどな。そういえば、最初に聞いた話だと純利益の5割は俺とミウ、建国費に3割、ダンテ2割って言ってたよな。まだ俺は一銭も貰ってないわけなんだが、そこんとこどう思ってる?」
「いや、そのやなぁ」
(ヤバイ、これ結構楽しいかも)
スグルはすっかり面白半分で続ける。
「確かあれだよな。建国費最低10億って言ってた割にもう出来てるわけじゃん。これだけのもの作るのも大変だっただろうなぁ。城なんて口ぶりからすると更に値段が貼ったと見ても良いんじゃないか?そしたら軽く15億としよう。ま、ダンテが頑張った分で超甘めにみて5億あるとしてもやっぱ10億。一国相手に売った玉鋼は莫大な利益だっただろうな。なにせこっちは無限に作り出せる玉鋼なんだからよ。そして4割が10億とした場合俺とミウにはそれぞれ5億程度は入ってるはずだよな。……正直に言えば許してやらんこともない」
完全に沈黙していたダンテは次の瞬間深く頭を下げた。
「すまん、建設費に全部回してしもた」
「そうかそうか。確かお前の商売の信念に『金を残す商売やなく人を残す商売』ってのがあったはずだが。それは今の行動に伴ってるのかな?」
「わいが軽率やった。一週間で工面するさかい、堪忍や」
ずっと頭を下げたまま言葉をつなぐダンテの頭にポン、と手を乗せる。
「ま、どうせダンテの事だから何か理由があったんだろ?こっちも言いすぎたし、最初は5年とか言ってたのがこんな短期間で出来てるんだ。良くやったと思うよ。それに免じて金の件は許してやるよ」
「……ええんか?」
恐る恐る顔を上げながら聞く。
「ただし、次からはちゃんとおれに知らせてから使えよ?じゃないとまた怒るからな」
「肝に銘じとくわ」
今回はお叱り回でした。
本当にあと少しで100万です!
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