第六十五話 開戦
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本当にありがとうございます。
時刻は2時過ぎ。
陽が照って足元の砂で火傷しそうなくらい暑くなってきた。
クラーケンが出てくるまで普段ならあと1時間ほどある。
「ダンテ、時間だ」
ユニークスキル【食は大事!】の発動の為三日前のとってぃが作ってくれたフライを食べながら言う。
「ようやくかいな。水部隊、仕事がやっと回ってきたで」
ダンテが別の場所で待機していた人たちに声をかける。
彼らはみんな杖を持って洞窟の前に並んだ。
「じゃ、対クラーケン用の策第一弾『水責め』始めるで!洞窟ん中から引っ張り出すまで真水で浸し!」
ダンテはノリノリで指揮を執る。
並んだ水の魔法使い10人がそれぞれ杖を構えて詠唱し、どんどん洞窟に水魔法が打ち込まれて行く。
これが先ほど言っていた対クラーケン用の一つ目の策『水責め』だ。
とってぃから聞いていたのと蛸壺からタコを出す時に水をかけると行けると書いてあった為実行することになった。
勿論自力では無理なのでこうしてダンテのところの魔法使いを借り出したわけなのだが。
(それでも直ぐにこうしてプレイヤーが集まるってことは相当な数のプレイヤーがダンテのところにいるんじゃないか?下手したら500人はいるかもしれないな)
ダンテのところの機動力に戦慄した。
「スグル、そろそろええやろ」
そんなスグルにダンテが声をかける。
我に返って洞窟の方を見ると少ししたところに水面が出来てそこより奥はずっと魔法でつくった真水で埋め果たされていた。
「数って偉大だよな……」
「何言うとるねん。水部隊はご苦労様や。あとはこいつらがやるから後ろで見物でもしとき!」
水部隊の人たちは砂浜から遠ざかって行く。
「それよりスグル。地響きがさっきからしとるんやが」
ドン
と砂浜が揺れ足元の水が溜まりが波紋を作る。
「敵はクラーケン、タコってことで水責めにしたが大正解だったようだな」
「ちゅうことは」
「ああ、来るぞ。そろそろダンテは退避しとけ」
「そうさせてもらおうかいな。じゃ、後は任せたで」
ダンテはそう言って下がって行く。
スグルは後ろにいる7人と一匹に振り向いた。
「これまでに言いたいことは全部言った。ここまで準備も万端に済ませてもらったんだ。これで出来なきゃ赤っ恥確定だ。そうだろ?」
おう!
と威勢のいい声が返ってくる。
それを見てスグルはニヤッと笑った。
「じゃ、やるしかないな。大丈夫、俺たちなら出来るはずだ。それぞれが全力を尽くせば勝てない敵じゃない。だろ?」
再度大きな声が返ってくる。
「最終確認だ。俺とミウ、は前衛ペア。ジェイルと猫さんは前衛で後衛の守りも担当だ。ゆいとナイ、ルーは中衛としてクラーケンを撹乱してくれ。後衛はレイ、ユーリの二人。これが今回の編成だ」
ドン、とこれまでで一番大きな地響きが起こった。
「奴さんは相当慌ててるらしい。そろそろ出てくるはずだ。それぞれ準備してくれ」
スグルは刀を抜きながらそう言う。
後ろにいる全員も武器を構えて洞窟を見据えた。
ちゃぷん
水滴が落ちる音が鳴り響く。
次の瞬間、
ザッッパァァァァンンン!!!!
と洞窟から勢いよくクラーケンが飛び出てきた。
その勢いのまま落ちて行くのは先ほどダンテたちが作った落とし穴の中心。
ドシン!
と大きな音を立てて砂浜に作られた穴の中に一直線に落ちていった。
「戦闘開始だ!」
スグルは有らん限りの声を出し、クラーケンに突っ込んでいった。
勢いに任せて書いていたら意外と早くクラーケン戦が終わっちゃいそう……
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