第六十二話 作戦会議1
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「なんにせよ、一旦俺以外の奴にも敵がどんなのか見せといた方がいいよな。それ以前にジェイル達にはまずこのフィールドの事からか……」
クラーケンの生息を確認したスグルは次の日、一人愚痴をつぶやきながら、他のメンバーに昼頃ダンテの会議室に集まるようにメッセージを出す。
なぜダンテの会議室かというと、それ以外の場所が思いつかなかっただけだ。
ミウは学校でログインしてないが、クラーケン戦にはどうにか参加すると言っていた。
参加するメンバーはジェイルパーティ5人とゆい、ミウとスグルで8人だ。
最初は記者さんとマリも誘ったのだが、記者さんは現在ヘルネ王国の王都にいるらしく距離的に無理だったため今回は遠慮された。
マリは別件で外せない用事があるらしく、パスしている。
先に着いて待っていると、ゆいが最初に来た。
「大体遅れてくるのに今日は随分早いな」
「いつも遅れるみたいに言わないでくれるかな?」
「事実だからな。で、なんだその格好は」
「何って……戦闘服だよ?」
ゆいはガチガチの魔術装備に背中にも巨大な剣を背負っている。
それを見てスグルは咎めた。
「今日はあくまで偵察だからな。決して攻撃するなよ」
「分かってるって。大丈夫大丈夫」
(やばい、何か嫌な予感がするんだが気のせいか…?念のためゆいは見張っとくか)
そう思い頭を痛くさせているうちに、ジェイル達も到着した。
お互い軽く挨拶をして席につく。
「で、結局今まで教えてくれなかったが俺たちが戦うモンスターは何なんだ?」
座ってすぐに、待ちきれない様子でジェイルが尋ねる。
「焦るなよジェイル。言うのはいいが、その前に約束してほしいことがある」
「なんだ?」
「俺たちが戦う相手がいるのは俺やゆい、ダンテなんかが一緒にとある計画を進行している場所だ。その場所の存在が部外者に知られることは現状で許可できない。その場所のことを他者に決して漏らさない、もしくは俺たちの仲間になる。この二つがジェイル達に与えられる選択肢だ」
それを聞いてジェイルはゆっくりと口を開く。
「それは別に悪いことじゃあ無いんだろ?」
「勿論だ」
「なら俺らはスグルのことを信じて仲間になるさ」
にやりと笑いながら、神殿で話した時と同じ答えを返す。
それを聞いてスグルは安堵の息を吐いた。
「じゃあ、ゆいは知ってることだがジェイル達の為にも言っておく。俺たちが戦うのはクラーケン。体長35メートルは有り、そいつのレベルは147の今まで会った中でおそらく最強の敵だ」
「クラーケン……って、あのタコの?」
「35メートルって化け物かよ」
「147ですか!?そんな敵に勝てるんですか?」
モンスターの事を伝えた瞬間ジェイルの後ろのメンバー達から声が上がる。
「うちのギルマスは魔法二つで焼き殺したらしいぞ」
そう言った瞬間周りが静かになる。
「ま、何にせよ敵のことは伝えた。が、実際に見てもらうのと全然違うだろうから今から見に行こうと思う」
ジェイル達に「これが俺のベータの特典だ」と告げ次元の扉を出現させる。
軽く説明すると、思い切り非難の声が飛んだ。
「スグルせこいぞ!フィールド一つってそんなのありかよ!」
「運営も何考えてるんでしょうね」
「一時掲示板でベータ特典の調査が躍起になってた時もあったけどスグルさんのはどうなのか誰も知らなかったのです。気になってましたがまさかこれ程のものだとは」
「おい、愚痴るのはいいが先に向こう側に行ってるぞ」
放っておいたらずっと喋っていそうなジェイル達を置いてゆいとスグルは先に扉をくぐる。
取り残されたジェイル達も慌てて後を追いかけた。
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