第四十話 対面
久しぶりの投稿です。
投稿はいつも通り不定期で…
「ようこそお越しくださいました。わたくし、この館の執事長を務めさせていただいております。トリスと申します。以後お見知り置きを」
館に着いたスグル達を出迎えた初老の男。
横に並んでいるメイド達もそうだが、一様に皆頭の上に動物の耳が生えている。
トリスの頭には何も生えていなかったが人間の耳がある部分に何やら銀色の鱗みたいなものが見え隠れしている。
「これは丁寧に。私はリーシェ・エル・グリモワールだ。後ろに3台、手土産を用意させていただいた。こちらで渡せば良いか?」
リーシェは後ろを見ながら答える。
「これはこれは。誠にありがとうございます。こちらの方で移動させますので、そのままにして頂けると幸いでございます」
「了解した。では此処からは歩いて行こうか」
リーシェ達は馬車から降りる。
リーシェは兵士達に此処で待機するよう伝え、シルクとスグルだけを連れて行く。
ミウやゆいも今回はダメだと言うことだ。
「では、こちらの方にお越しください。兵士の方々はメイドの方へ着いていっていただければ待合室にご案内いたします。そちらの従魔で御座いますがこちらの門でお待ちいただくことになりますがよろしいですか?」
「ああ、そうしてくれ」
「ありがとうございます。では、お連れしなさい」
「はい。皆さま、こちらでございます」
そう言って隣にいたメイド服を着た女性が他の人たちを連れて行く。
ルーも門の横の簡易小屋に入って行く。
「お兄またね!」
「先に休ませてもらうよ」
そう言って二人も後について行く。
「それでは御三方。こちらへどうぞ」
そう言われて三人は先に進むトリスの後について行く。
館といっても正直な感想としては城となんら遜色がない。
もちろん、スグルは城に入ったことなどないがそう思わせられるほどに広い。
天井は一定間隔ごとに照明が照らされ、床にはカーペットが。
左右の壁にはまばらにだが壺や絵画が飾られており、触るのすら憚られる空気を出している。
床のカーペットもフワフワでそのまま沈みそうな気すら起こさせる。
「こちらでございます。中でリースティア・ヘルネ・デ・ファルシ閣下並びにリィース辺境伯様がお待ちです」
「わかったよ。此処までの案内ありがとう」
「いえいえ、とんでも御座いません。それでは、わたくしはこれで失礼致します」
深く一礼してトリスは下がって行く。
リーシェはスグル達に、正確にはスグルに再度注意する。
「今回は少年は黙っていればいい。話は私たちがするからね。もし何か聞かれるようなことが直接聞かれるようなことがあったら決して失礼のないように」
「わかった」
リーシェはスグルを見てにこりと笑い、ぽんぽん、と頭に手を置く。
「大丈夫、何もしなけりゃすぐ終わるよ」
リーシェは目の前にある扉をノックせずに両手で押す。
重厚感のある扉は見た目に反して、スス、と簡単に開いていった。
「初めまして、私は始まりの町闇ギルドマスター、リーシェ・エル・グリモワールだ」
入ってすぐに腰に手を当て自己紹介をする。
その後ろから中を覗くと、入って右手に大きな机と左右に椅子が5つずつ設置されている。
奥側の椅子には一人の男性、その隣に一人獣人女性のが座っており、女性の傍には鎧を纏った男性、リーシェと同じようにとんがり帽子を被っているローブ姿の女性がそれぞれ剣と杖に手をかけている。
女性は手で後ろの二人を制し、口を開いた。
「うむ。リーシェ殿、そして後ろのお二方よ。よくぞまいった。そこに立っておるのもなんだ、こちらに来るが良い」
リーシェの無礼な態度にも動じた様子もなく、向かい側の席を勧めてくる。
リーシェを見ると頷いているので素直に席に座る。
スグルはもちろん端の席だ。
白銀の狐の耳をピクピクさせながらその女性は席を立った。
「申し遅れた。ワシはヘルネ王国総統閣下、リースティア・ヘルネ・デ・ファルシ。見ての通り獣人じゃ。そしてこちらにいるのがこの街の領主であるルージュ辺境伯じゃ」
そう呼ばれた、赤色の髪の偉丈夫が立ち上がる。
彼は人間だった。
「ご紹介に預かった。俺がルージュだ。始まりの皆様方よろしく頼むぞ」
そう言ってどっしりと座る。
リースティアが苦笑したように言う。
「こやつは見た目通り粗雑な男での。多少の無礼は勘弁していただきたい」
「当然。こちらも敬語が苦手なものがおりますので、お互い似たような部下を持ちますな」
そう言ってリーシェはシルクの方を見る。
シルクは頷いて、同じように立つ。
「俺はシルクだ。始まりの町の冒険者ギルドマスターをやっている。こちらこそよろしく頼む」
ルージュとシルクはお互いに睨み合う。
何か共感するものがあったのかもしれない。
「最後に、こちらはわたしの付き添いで連れてきた。少年、挨拶を」
「はい。俺はスグルです。よろしくお願いします」
リースティアは面白そうにこちらを眺める。
「ほう。わかった。ワシの後ろに立っておるのはヘルネ王国の大将軍と宮廷魔導師長じゃ。護衛としておるので気にせんでくれ」
後ろの二人は軽く会釈する。
リースティアはパチン、と手を叩いた。
「では、皆揃ったことじゃ。会合を始めるとしよう」
ロリじゃないけどワシ口調の女性ってなんか気になる。
1/9) 王族の長い名前って最初が名前なんですね。なのでリースティアを最初に持ってきて変更しました。




