第十七話 イベント開始即キル!
最近忙しいなぁ...
転移した後、最初に視界に入って来たものは木々だった。
最初のフィールドは森のようだ。
敵に見つかりにくいが、見つけるのも面倒な場所という認識だ。
正直、この手のイベントなら最初にどれだけ好成績を出せるかはかなり重要なはずなのであまり好ましい場所ではないと思う。
見つかりにくいように木の上で移動する。
それでも葉っぱや木が邪魔だ。
そう思いながら跳んでいると早速1人見つけた。
警戒心ゼロで歩いているのを見ると新人感が溢れている。
まあこっちにとっては美味しいカモなので大歓迎だが。
他の奴らに取られる前に殺るか。
そう思いスグルは相手の頭上に移動を開始する。
このゲームは痛みは自動で制限されているが、少しは痛い。
まあ実際に斬られたら痛いでは済まないのだが。
(標的まであと40メートル、20メートル。よし、頭上に付けた)
木の枝の上から音をなくし飛び降りた。
相手はあくびをして呑気に歩いている。
彼の真後ろに降り立ったスグルは、腰に持っていた短刀で相手の首を一直線に斬る。
「…ふぁ?」
最後まで何もわかっていないような顔で青のポリゴンに包まれて消えていった。
(さて、これで10ポイントゲットか。結構効率が悪いな。おっ、メニューのイベント欄に一つ通知が来ているな)
通知を開くとそこにはポイント報酬が贈られていた。
ただし報酬はイベントが終わってから受け取れるようになっているらしく、今は受け取ることができなかった。
他にイベント欄にはポイントランキングがあった。
今は同率がえげつないことになっている。
これは1日イベだし、トップスピードで走るのも良いが体力も考えなきゃいけない。
(それにしてもこの森で狩るのは非効率だな。すぐに草原に出るか)
『ルー、予定変更だ。なるべく早く合流しよう。俺は今森にいるが、草原が近くにあるのをみたからとりあえず今から草原に出る』
『了解した。我も今森にいるぞ。合流方法はどうすれば良い?』
『俺が草原に出たら火を焚くからその煙の場所に来てくれ』
『煙など、その場にいるのを知らしめるようなものでは無いか』
『そっちの目的の方が強いな。森で狩るのは非効率だ。どうせなら向こうからやってきてくれる方が好ましい』
『なるほど、では我も草原に向かおう。我も真価は草原でこそ発揮するがゆえ』
『期待しているさ。じゃあ取り敢えず煙の場所に来てくれ』
どれだけのプレイヤーが釣れるか楽しみだ。
………………………………
今更だがスグルが今回のイベントに持ってきたものを紹介しよう。
10個しか枠がない中で必須なものだけを選んできた。
それがこれらだ。
とってぃ特製弁当
とってぃ特製弁当
とってぃ特製弁当
とってぃ特製3時のおやつ
甘露の湧水(20)
投げナイフ(99)
投げナイフ(99)
短刀(6)
上級ポーション(20)
「 」
スグルらしいと言えばそこまでだが、食材系アイテムで九枠のうち五枠を占めるのはどうかと思う。
まあとってぃの弁当が一枠に一つしか入らなかったのは予想外なことだったが。
アイテム名の横についている()はその数を表している。
このアイテムボックスはアイテムの性能が違うものでも一枠にまとめることができる。
例えば投げナイフなどでも+3の投げナイフと+4の投げナイフがあったりする。
それと、HPの概念がないこの世界ではポーションは即効性の高い傷薬として用いられる。
上級ポーションなら足が無くなってもぶっかけたら治るほどに効果が高い。
ちなみにだが、このアイテムボックスの制度には抜け道が存在したのを確認できた。
すでに身につけているものはそのままで転送されたのだ。
まあそうでもしないと素っ裸で野原なんかに出ることになるから当然といえば当然なんだろうが体の隅まで武器で固めている身としてはかなりありがたいことだった。
と、そうしている間に草原に出た。
まずは火を焚くところから始めないといけない。
取り敢えずここに来るまでに折って集めてきた枝を置く。
俺は普段から暗闇で動くことも多いのでライターを一つ持ち合わせている。
ちなみにこのライターもプレイヤーの作品だ。この世界は他じゃ絶対にありえない自由が効く。
枝に火をつけると、やはり簡単に燃え移った。
そこから白い煙が流れ出ていく。
ちょうど良いことに今の天気は雲が全くない、青い空が広がっている。
ルーや他のプレイヤーにも良く煙が見えることだろう。
(さて、餌さんが来るまでにとってぃの特製弁当でもいただくとしますか)
(改稿済み)




