閑話3
戦闘にかかわらず描写表現って難しい...
なるべくがんばろ〜
「さて、邪魔も消えたことです。これからどうしますか?」
(チンピラどもも頭が冷えていいな。ピクリとも動かないがいい気味だ)
「うお……お前の姉さんも強えんだな。っとやべえ。そろそろ時間だ。すみませんが俺たちは一足先に失礼しますー」
「失礼します」
そう言って恭弥と聡美は帰って行った。
「3人に戻りましたが、私たちも特に用が無いのなら帰りましょうか」
「賛成!暑いの嫌い」
「確かに暑いな。まあ8月だし仕方ないだろ」
結局出かけただけで特に買うものもなく俺たちは自宅に帰った。
……………………………
家に帰った俺たちはその足で道場に向かった。というか引きずられて行った。
「さて、泡春をやると言ったわけですが。使い手がダメでは武器も力を発揮することはありません。貴方のの成長を見せてみなさい」
そう言って姉さんが無数に武器を持ってくる。
槍に斧、一般的な刀など実に様々だ。
神風流は基本の型を中心としてそれぞれの武器を実践寄りで使えるように鍛えられている。
「ま、タダで貰えるとは思ってなかったからね。胸を借ります、師範代」
「残念ながら爺様は既に死去されたので今はわたしが師範です」
「そうだったね。じゃあ俺が師範代を名乗っていいのかな?」
「そんな実力があると思うなら自由にどうぞ。しかしその名は軽くはありませんよ?」
俺は一番使い慣れている刀を手に取った。
姉さんは相変わらず無手のままだ。
ただ構えているだけだからといって侮れるわけもない。
一礼をし、互いに距離をとる。
「神谷流中伝、神谷傑」
「神谷流皆伝、神谷杏奈」
美羽の掛け声とともに試合が開始した。
「神谷流刀術 四洸閃」
スグルが杏奈に向けて緩急をつけて走り出す。
その勢いを使い、相手の両肩両胸を同時に斬り刺す、中伝の技だ。
姉さんは組んでいた腕を解く。
「この程度ですか?」
「ッ!」
最初に斬りつけに行った右肩だったが、足を引き半身引いたのだろう。
そして刀身の上を人差し指と親指でつままれた。
(振るっている刀の速度を上回って背から掴んだ!?いや、俺も強くなった気にはなっていたけどまさかこんなに差があったなんて…)
「この程度かと聞いてます」
腹に鈍い音が響く。
スグルは刀を離す暇もないまま道場の壁まで吹き飛ばされた。
姉さんの方を見ると片脚が上がっている。
あの脚で蹴り飛ばされたんだろう。
この人もしかして素でリーシェさんとタメ貼るんじゃ…。
「ま、まだだ」
正直今の一撃だけで限界が近い。
腹を見ると今も足の跡が太く残っている。
立つのも一苦労だ。
でも、
(だが、刀を持ったままでよかった。これでまだいける)
「そうですか。ならば証明してみなさい、貴方の強さを」
「行くよ。神風外抜刀術 蓮火」
この2年間、神谷流で習った技だけではなく自分で様々な技を考えてきた。
といっても殆どが使えない技に成り果てたが幾つかは成果ができた。
そのうちの一つが蓮火だ。
実際は只の抜刀術、しかしむしろ本命は振り抜いた後、神速とも言える一撃を恐らく姉さんは躱す。
そして振り抜いた後の最も大きな隙に振り込んでくるだろう。
そして、この蓮火は相手が攻撃してくる。
つまり防御を考えから外している時にのみ攻撃ができる。
振り抜いたのを一瞬で止め空気で摩擦を起こしその勢いごと相手の背中に突き刺す。
それが蓮火だ。
一直線に姉さんの首元に目掛けて抜刀する。
やはり姉さんは躱した。
流石に先ほどのような超人的なつまみも抜刀術の速度には対応できないようだ。
そして躱した次の瞬間こちらに突きを放ってくる。
ここまでは完璧だ。
体に拳が刺さっていくのがスローモーションのように見える。
それに合わせてスグルは後ろで握り手を逆にし勢いよくふり下ろした。
そこで違和感を感じた。
何故腹に衝撃が襲ってこないのか。
少なくとも数瞬は遅れて発動した蓮火だ。
もう腹が凹んでいても変ではない。
その答えは姉さんの体勢にあった。
いつの間にか腹に向かっていた手は引っ込んであり前傾姿勢のまま地面に手をついた。
そして後ろから迫っていた刃を前転しながら蹴り上げた。
一瞬にして攻撃を防御に変えたこともだが死角からの攻撃に反応したことにも驚きだ。
「まさか今のが止められるとは思ってなかったよ」
「貴方の目は何かを決めた時のソレでした。しかししてきたのは只の抜刀術。つまりこの攻撃はフェイクというわけです。しかしそれで何をしてくるかと言われたらわかりませんでした。だからこそ先ほどの拳打ですね。あれはむしろ気が入っていない適当なもの。防御に気を張っていましたので。なので後ろからの攻撃ですが、完全に対処することができました。しかし、私がそのまま攻撃していましたら私がやられていた可能性も否めませんね」
「なるほどね」
一瞬でそこまで考えていたとはやはり姉さんなだけはある。
「ただあれはあまり推奨して使う者ではありませんね。見た所あれは肉を切らせて骨を断つを大前提としたものでしょう。あの技は蓮火といいましたか。蓮火は相手が格上、そしてこちらを舐めている時のみ使用する方がいいでしょう」
「わかったよ、姉さん」
「姉さんじゃありません。師範です」
「ありがとうございました、師範」
「はい、いい試合でした。しかし、師範代を名乗るのはまだ早いですね」
「あれは冗談だって」
談笑が響く道場にも外からオレンジ色の光が差し込む。
3人で出ていく中、スグルの手にはしっかりと一本の小刀が握られていた。
閑話は一応これで終了です。
誤字などあれば報告よろしくお願いします
(改稿済み)




