第十一話 宝の山を見つけたら
気づくとすでに投稿して1週間が過ぎてましたw
時が経つのは早いですね〜
スグルとミウは周りを警戒しながら進んでいく。
ただ、注意深く見ても特に罠は見当たらず、罠の発見は斥候に頼むことになるだろう。
スグルはモンスターが全然出てこなくて暇だったから試しに壁を鑑定してみた。
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【玉鋼鉱石】
説明:現在、世界に出回っていない、玉鋼を含む鉱石。超級ダンジョンの壁のみから産出される。
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思わず立ち止まり、念のために他の壁にも鑑定をかけるが結果は変わらない。
そして先に歩いていたミウの手を掴み足を止めた。
「ミウ。すぐに帰るぞ今すぐ」
「え、お兄どうしたの急に」
「そこの壁鑑定してみ」
「......えー、なにこれ!これはさっさと帰るよ!」
(このままグズグズ未知のダンジョンに入り浸るのもいいが、この玉鋼の方が何百倍も価値がある情報だ)
そう判断し、入って1時間も経たないのに超級ダンジョンから脱出した。
そしてその場で悪魔の門を召喚する。スグルは念のためにミウに注意しておく。
「一応言っておくが今からダンテのやつにこの事を伝える予定だ。他のやつに勝手に話すなよ」
「わかってるよ!」
俺たちは悪魔の門を通ってまた裏道に出た。
表通りに出たあと、浮き足立った足でそのままダンテの店に直進する。
「ダンテ、いるかー?」
ダンテの店に入ってすぐに呼び出す。
商館の中は昨晩のパーティーの跡は残っておらず、既に幾ばかの商品やアイテムが机の上に置いてあった。
「なんや急に。なんかあった...みたいやな。取り敢えずは上で話聞こか」
「頼む」
俺たちはダンテの後ろに付き従って2階の部屋の中に入る。
そして勧められるままに椅子に座った。
「で、何があったんや?」
「確実にヤバイ、金儲けの話だ」
俺が遭遇した高レベルモンスター、ミウが発見した超級ダンジョン、超級ダンジョンの壁一面にある玉鋼鉱の存在の事をダンテに一通り話した。
ダンテは深くため息をつき、椅子に腰掛ける。
「ふぅ〜。で、これまで見つかっていなかった鉱石が無数に見つかった、しかもそれは産出されるのが超級ダンジョンの壁のみからや、と。そういうわけやな?」
確認するように質問してくるのに頷く。
「確かにこれは金に繋がるわ。それもちょっとやそっとやない。莫大すぎる金や。それにスグルが出会ったのはレベル60代のバケモンやろ?ちょっとそのフィールド物騒すぎやせんか?まあハイリスクな分ハイリターンっちゅう事か。で、わいはこれから資材の整理やら建国に必要なもんの洗い出しに時間とられるっちゅうのになんて爆弾持ってきてくれとるんじゃ張っ倒すぞ」
「いや、なんかすまん?」
「ダンテさんごめんなさーい」
「いや、まあ金に繋がる話は基本常時受け付け中やからええわ。ま、当分はその鉱石の販売は禁止やな」
「まあそうなるか」
「えー?なんで?」
ミウはわかっていないようなので説明する。
「まず第一にこのゲームは始まってまだ2日目だ。そんな中で現状玉鋼なんて鉱石で鍛冶なんてやらせたら無駄になる。もしそれで武器ができたとしても、まだ2日目の俺らプレイヤーが基本所持してる金も僅かだろ。かといって特に人脈もなにもない状態で売り出せるほど脆いものじゃない。こういうのはいつ売り出すかで価値が決まるんだよ。幸い超級ダンジョンの壁は超再生ですぐに元に戻るから物量の心配しなくていいからな」
「ま、大体はそういうことやな。わかったかミウちゃん?」
「だいたいわかったよ!」
(流石のダンテも少し声が上ずってるな。まあこの話にそんだけの価値があるってことだろ)
「じゃ、取り敢えずマリなら玉鋼も十分に扱えるだろうからミウの装備だけでも作ってもらうわ。それくらいはいいだろ?」
「なんや、マリのとこに行くんかい。それならこの紙渡しといてや」
そう言って一枚の紙を手渡される。
「なんだこれ?」
「マリも建国に参加してもらお思てな。あいつの鍛冶は使えるんや」
「了解。じゃ、また何かあったら来るわ」
「今度はちゃんと連絡してからきいや。急に来られたら準備もなんもできへんからな」
「じゃ、ダンテさんまたねー」
こうして、二人はダンテの部屋を後にした。
(side.ミウ)
もう一度超級ダンジョンに潜って少量の玉鋼を取ってきたわたしとお兄でマリ姉さんのところに向かった。
連絡したところ、今は特典で貰った鍛冶場に篭っているらしい。
待ち合わせの場所で待っていたら目の前の空気に亀裂が走って空間が開いていく。
そしてある程度開いたら中からマリ姉さんが出てきた。
(すっごい演出がカッコいいね!お兄の門はなんか禍々しい感じだったけど)
「おーっす、久しぶりだねスグル。ミウは昨日ぶりな」
「久しぶり、マリさん」
「昨日ぶり〜!」
「で、マリ姉さん。ここじゃなんだからその中に入っていいかな?周りの視線も気になるしね」
事前にお兄にはマリ姉さんの特典を教えておいた。
それに周りを見渡したらマリ姉さんの亀裂が気になったのか結構な人がこっちを見ている。
「なんだい、もうあたしの特典は知ってるらしいね。いいよ、中で話そうか」
私たちは亀裂に向かって歩いて行った。
次の瞬間には体が吸われているような感じがする。
それに逆らわずに流れているといつの間にか前には無数の工具や鍛冶の道具が広がっていた。
「はやいおかえりですね、ししょー」
声変わりしていない、高い声が工房に響く。
「まあ出迎えに行っただけだからな。こっちにきな、クロ」
「はい」
奥からガッシャーンと金属の音を立てながらこっちにその子はやってきた。
黒色のショートカットで背は私よりさらに低いくらい。
そして手には鍛冶用の金槌がに握られている。
「こいつはあたしの弟子になりたてのクロだ。クロ、こいつらに挨拶しな」
「クロって言います。昨日始めたばかりの私が鍛冶場に篭ってるといきなり拉致られて弟子にさせられました。よろしくお願いします。小5です」
「お、おう。怖いお姉さんに拉致られて怖かったろう。俺はスグルだ。よろしくなクロ」
「わたしはミウだよ!よろしくね!」
お兄はマリ姉さんにジト目を向けながら自己紹介をする。
そんな目に気づいたのか、マリ姉さんが言い訳をした。
「いや、ちょっと昨日共用鍛冶場に行ったらこんなチビがいたんでな。興味が出てみてたら結構筋が良かったんで連れてきちまったんだよ」
「それ、どこも言い訳になってないからな?マリさん」
「いいのです。何にも考えなしの鍛冶しか頭にないおバカさんですが優しいので」
「クロちゃん結構毒舌だね!」
「はあ、もういいや。クロ、また戻って練習しときな!で、呼び出した案件ってのはなんだい?」
お兄がダンテさんからもらった手紙を渡し、玉鋼のことを説明する。
そして実際に物を見せるとマリ姉さんは満面に笑みを浮かべた。
「あんたたちよくやってくれたね!玉鋼ってのを扱うのは初めてだけど任せておきな!ちょうどいい、ミウの双剣もこいつで作ってやるよ!」
「ありがとう!」
「それにしても国づくりなんてまた面白そうなことやってるじゃないか!あたしももちろん参加させてもらうよ!」
「詳しいことはダンテに聞いてくれ」
私は玉鋼を手に取って既にソワソワしているマリ姉さんに欲しい武器の形状を伝えていった。
ダンジョン攻略はまだ先の予定です
流石に2日目でっていうのはレベル的にも装備的にも、ね。
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(改稿済み)