第九十九話 同行しましょ
やばい、両立ってむずいんだね。頑張ります
「よし、これで今日の会議は終了や。みんなお疲れやった」
国名が決まり、ダンテは労いの言葉を言った。
「また会議あんのか?」
「当たり前やろ。ま、普段は月一くらいでええんちゃうか?」
「うげ、多すぎだろ」
「いやいや、建国当初はめっちゃ忙しいやろうからあくまで基準や。もっと早いペースかもしれんで」
「マジかよ」
面倒な、と心の中で思いながら手を伸ばす。
他のメンバーも疲れたねーと言いながら順々に部屋を出て行った。
そんな中記者さんがスグルに近寄ってきた。
「スグルさん、ちょっといいッスかー?」
机の上に伸びてるスグルの隣にちょこんと座る。
スグルは面倒くさそうに半分目を開いて聞いた。
「何だよ記者さん」
「いやー、明日の王都行き、わたしも付いていきたいんスよ。だめッスか?」
「あん?何でわざわざ付いて来たいんだ?」
「広報大臣として他国の上とも繋がり持っといたほうが情報入って来やすいッスから。ねえ、良いでしょ?王都の珍しい場所や美味しい店なんて案内してあげるッスよ」
「よし、いいぞ」
「スグルさんって単純ッスね〜。ありがとうですよ。じゃあ明日リィースに行く時わたしにも次元の扉使わせて下さいッスー」
スグルに許可を貰えたため少しるんるんと跳ねながら部屋を去って行った。
さっきの、他に人がいる状態で言わなかったのに感謝する。
どう考えても、自分も行きたいと言いそうなメンツが少なくとも三人はいたからな。
「よし、明日まで落ちるか」
その場でログアウトした。
家に帰ったら宿題するか、と気怠げに思いながら。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「やっと速さも安定してきたな。おお、下の馬車が一瞬で通り過ぎてく」
「疲れたッス。それにしても、こんな動物が本当に乗り物としてあるなんて噂には聞いてたけどびっくり仰天ッス」
リィースからの王都へ行く便。
それに乗っていたスグルたちは速度が緩くなって来たため外の景色を見ながら駄弁っていた。
ライアンが籠の中にスタッと落ちてくる。
「おう、空の旅は楽しんで貰えてるか?」
「いや、確かに楽しいんだけどさ。こんなのに乗っても大丈夫なのか?というか舵はどうしたよ?」
自分たちが乗っている籠をぶら下げている巨体を見上げながらそう聞く。
ライアンはハハッと笑った。
「確かに初めて乗ったら心配かもな。大丈夫だ、このドラゴンは温厚なウィングドラゴンでしかも嬢ちゃんが生まれるずっと前から王都の守護竜として王都を守ってくれてるんだ。俺は最初さえ調整すればあとは勝手に飛んでくれるさ」
「いや、守護竜がパシリとかむしろダメだろそれ!つうか閣下のことまだ嬢ちゃんなんて呼んでるのか」
「まあまあ。守護竜に嬢ちゃんがオッケー貰ってたから。あと呼び名は慣れてしまったから今更変えるのもな。あ、ご飯食う?」
とマイペースに弁当を取り出すライアンの様子に自分だけ騒ぐのも情けなく思い、要ると答えた。
「それにしても驚きだよなー。まさかおめえらが国なんて作ってるなんてよ。そっちの、えーっと」
「記者さんッス」
「そうそれだ。何つーか面白え名前だよな」
「初対面でそれは酷くね?わかるけど」
「二人とも同じくらい酷いッス」
笑う二人に抗議する記者さん。
ぷーっと膨らんだ頰を見てまた笑った。
「ま、ウチとしては敵対関係にさえならなかったら問題ないからな。というかスグルのその能力は怖すぎるから敵対なんてしたくはねーな」
「敵対も何も同盟関係じゃねえか」
「あ、その関係まだ続いてんの?国に変わったら一旦切ると思ってたんだが」
「知るか。今は俺が宰相だからな。ダンテに意趣返しで勝手に決めても大丈夫だ」
「あ、これは失礼しました宰相殿」
「おい、笑いが隠しきれてないぞ」
楽しく話してるうちにドラゴンはさらに高度を落としていた。
それを見てライアンは籠の外に身を乗り出す。
「どうしたんだ?」
「立って見たら分かるさ」
と言われたので立って籠の外に目を向ける。
ドラゴンが向かっている先には、小さくだが街のようなものが見えた。
「もうあと少しで着くぞ。ようこそ、王都へ」
新作連載中です!
『チートに成り損ねた僕は異世界でレベルアップする』
http://ncode.syosetu.com/n7883dy/
あっちのブックマークもよろしくね!