第九十五話 役職
昨日投稿すっかり抜けてた……申し訳ございません。
上空1000メートル、雲一つない青空にて。
一つの影が横切った。
「うぉおおおおおお!!速すぎだろぉおおお!!」
「吹き飛ぶッス、吹き飛んじゃうッスーー!」
スグルと記者さんの叫声が響き渡る。
「あ、ちゃんとヘリに捕まっといてくれよー。じゃないと本当に吹き飛んじゃうかも知れんからなー」
彼らの叫び声が聞こえたのか、前方から注意する声が聞こえるが周りで飛び交う風の音でほとんど聞き取れない。
「てめえライアン覚えとけよ!」
「覚えとくも何も俺なんもやってねえし」
スグルの叫びに飄々と答えるライアン。
スグル達がなぜこのようになっているのかを知るためには一昨日に遡る必要があった。
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「あ?なんで俺がそんなこと……」
「おお、それはええな。折角やしスグル行って来たらどうや?」
スグルがめんどくさそうに言うのをダンテが遮る。
そしてスグルに向かって
「さっきこの国の利点は次元の扉やってことは言ったやろ?
現状ちょっと行ける場所が少なすぎるんやよな。
ちゅうわけでもし時間があるなら言って来てくれへんか?」
と言われ、渋々了承した。
(まあ王都ってのも一回いっといたらいつでも行けるんだし確かに丁度いいか)
と納得した。
行くという旨をリースティアに伝えると、明日には到着する便を送っておくと言ってコールを切った。
「じゃあ、最後に役職を決めとかなあかんな。
ギルマス達の要望は特に無かったんやけどヘタに扱うと暴動が起こりそうなくらいには信頼があるからな……」
「目の前にいるのによく言えるね〜」
「ちゅうわけでわいらは超大規模コミュニティを結成するにあたってこっちの要望は一つだけや。
ゆいがてっぺんやったら問題ない」
ダンテはリーシェの方を向く。
「うん?わたしはそれでいいよ。
別にトップじゃないと不服ってことも何もないし」
「そう言ってくれるのはほんまに助かりますわ。
でや、ここにおる奴は全員幹部にする。
これは決定事項なわけやけど、わいらは国っちゅう形をとっとるわけやから何とか大臣的な役職も決めとく必要があるんや。
現状考えとる役職はこんだけやな」
そう言ってダンテは備え付けの黒板に
・国王→ゆい
・宰相
・将軍
・財務大臣(商業ギルドマスター)
・防衛大臣(冒険者ギルドマスター)
・科学大臣(生産ギルドマスター)
と書いた。
「まず今のギルマス達には役職名は変わるけど実務は変わらない大臣について貰う予定や。
わいの場合は財務大臣やな。
で、勿論他にも欲しい役職ができたら随時追加して行く予定やけどとりあえずはこんだけの中で誰か何かにつきたいっていうのはあるか?」
「はーい、将軍やりたい」
ゆいはそう手をあげる。
「ゆいは国王だからダメや。……まぁ考えとくわ。で、次はリーシェはんやな。何がいい?」
「わたしも楽したいから……あ!守護者的なの職を作ってよ。名前だけでいいからさー」
「楽したいからって……将軍なんかはどうや?」
「えー、疲れそうだよ?」
「いや、前とほとんど変わらんわ。
どうせこっちに来るプレイヤーで軍隊組織できる奴なんておらんやろし」
後半をボソッと聞こえるか聞こえないか程度の声で言ったダンテにリーシェは
「それじゃあまあそれでも良いかな?言っとくけど事務は嫌いだからね!」
「これまでで散々知らされとるよ……やってくれるだけマシやったけど。
まあじゃあとりあえずリーシェはんはその方向で頼みますわ。次、スグルはどうや?」
画面に書かれた役職を見る。
しかし特にピンとこなかったスグルは
「別に何処でもいいぞ」
「じゃあスグルはこれから王都に向かってもらうっちゅうことやし宰相な」
「ちょっと待て。前自分が宰相やるって言ってただろ」
「安心せい、本気の運営やあるまいし当分は役職名だけのお飾りや。
ちゅうわけで前言ってた通り頼むで」
「お前が主な仕事やるって言ったから俺はサブ宰相なら良いって言ったんだよ」
「まあまあ。取り敢えずそれやったら今回の王都の一件が終わるまで試しっちゅうことで」
いつの間にか押し切られスグルの役職は宰相に決まってしまった。
ゴールデンウィーク何しよっかな