第九十三話 魅力
「そろそろ休憩も終わりや。さっきの話の続き始めるで」
そう言われそれぞれが席に戻る。
記者さんも空いてる席にサッと座った。
いきなりわいわいしていたのが妙にしん、と静まり返ったのにダンテは言う。
「……お前ら今日は聞き分けええな。熱でもあるんか?」
「ダンテさん、それだといつもは聞き分けが悪いみたいじゃない!」
「そうだそうだ〜ダンテくんなのに生意気だ〜」
「ボクはいつも聞き分け悪くないと思うんだけどね」
それぞれの責めるような口調にダンテは「あーすまんかったすまんかった。だから落ち着けや」となだめにかかった。
「おほん、よし。まぁみんな知っとる思うけど一応紹介しとくで。
こいつはβテストの「記者ッスよ!名前も記者なので気軽に呼んで下さいッス!うわー、このメンツで集まるのいつぶりッスかねー!殆ど2ヶ月以上ぶりじゃないッスかー!しかもこんな面白そうなことやってるなんて、なんでもっと早く自分を誘ってくれなかったんスかー!あ、そういえば最近ですねー……」……まあ知っとる仲やしよろしゅう。つうか人の話を引き継ぐんやない」
記者さんは構わず喋り続けている。
ダンテが喝を入れようやく喋っていた口が止まった。
「でや。みんな来々週の日曜、ちょうどハロウィンやな。
その日にとうとうプレイヤー第二陣が参入するんは知っとるやろ?
そこで人数引き込むプラス現在いる第一陣プレイヤーにも少々入ってもらいたい」
「あれ、プレイヤーは街に常駐しないから扱いは大変じゃないのか?というかそもそもこの街にプレイヤーは来るのか?」
先ほど言っていたことと逆の立場で話しているダンテにそう聞きながら、数の不足はやはりプレイヤーからしか補うしかないかと思う。
「絶対に来る。そもそもこの街の魅力はなんやと思う?」
「未知の土地?」
ダンテの問いにミウはそう答える。
「確かにそれもあるな。じゃけどもっと大きなものもあるで」
「新しい国」
今度はマリがそう言う。
「新しさに魅力もあるやろな」
「……スグルの能力かな?」
少し考えた様子で呟いたゆいの言葉に大きく頷いた。
「ゆい、正解や。
まぁスグルの能力っちゅうか次元の扉やけどな。
これはスグルの行ったことのあるある地点とある地点を結ぶ扉や。
転移アイテムや転移門なんかが無いこの世界でこの存在はとてつもなくでかいで。
むしろこぞって来るやろうから逆に街を溢れるやろな。
まぁ普段は探索やらで人は減るやろうけど言うなればこの国は各国との中継地点っちゅうわけや」
「そこで記者さんの登場ってわけだな?」
「その通りや。記者さんにはコミュニティ幹部ポストと自由に次元の扉を行き来できる権利を対価に次の記事でめい一杯国のことを宣伝してもらう」
「そう言うわけだからよろしくッスー」
記者さんが来ていた理由を説明しそれぞれ納得したような顔をした。
「そういえばギルマス……始まりの町の人はどうするんだ?最初は避難用って言ってたけど」
「実はそっちはもう話し合いを済ませとってな。始まりの町は捨ててこっちに来てもらうことになった」
「それでギルマス達はいいのか?思い入れのある場所じゃねえのか?」
「そりゃいろんな気持ちもあるやろうけど……ちょうど来たようやな。せっかくやしそっちから説明してもらい」
ダンテがそう言って扉の方に向かう。
開いた扉から入って来たのはちょうど今話していたギルマス達だった。
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