第八十九話 感謝の気持ち
今日から少しの間は会議の様子が続いていく予定です。(説明回も含んでるので「あぁ、一応こんななのか」程度でわかってもらえたらいいなぁ)
「ようやっと来たか。もう他の奴らは入っとるで」
スグルとゆいは一緒にダンテの商館に入った。
すると直ぐにダンテが待ちかまえていたようで会議室に引っ張っていかれる。
「おい、引っ張るな。自分で歩く」
首根っこをつままれるようにして引っ張られたのでどうしかして解く。
ゆいは相変わらず面白そうに後ろから見ているだけだ。
「おいダンテ、ゆいも引っ張れよ」
「残念ながらそんなに肝が座っとらんわ」
「……つまりアレか?俺なら何してもいいってか?今すぐ次元の扉全部取っ払ってもいいんだぞ?借金はいくらあったか忘れたかこのクソダンテ」
「そりゃ敵わんなぁ。ま、この老骨に免じて許してくれや」
「どこが老骨だこの腐れ関西人が」
「これは素や。生まれも浪速の商売人や」
「知ってるから余計腹が立つんだよっ」
「そんなご無体な。っと着いたついた」
口論しながら歩いているといつの間にか周りに人が居なくなっていた。
一本道の通路だから従業員なんかは通っているのを見るが一般の客は一人もいない。
「さて、さっさと入ろか。おーっす、スグルとゆい連れて来たで〜」
特段気を使う必要もないので開けられた扉の中に入る。
中には言っていた通りミウ、とってぃ、マリが既に座っておりトランプをして遊んでいた。
「はい、八切でわたしの勝ち!大富豪だね〜。あ、二人とも来たからこれで終わろっか」
「くっそー。負けで終わるのは気分が悪いなー。よっ、スグルにゆいさん久しぶりだね」
「ボクはまた平民かな。なかなか勝つっていうのは苦手だね。二人ともこんにちは〜」
どうやらミウが勝ったようでトランプを片付けている。
三人はついでとばかりに二人に挨拶をした。
「お前らトランプなんてどっから……」
「そこのカゴの中にあったよ?」
「誰や入れたんは……まぁええわ。これで全員揃ったっちゅうわけや。まあ後一人協力者として呼んどるけど少し遅れとるみたいやな。それは放っといて始めよか」
そう言って全員が席に着いたのを確認し喋り始める。
「さて、もう見たんもおるかも知れんけどつい先日、2日ほど前やな。国、都の建設全てが完了した。まずはこれほどまでに早よ出来ると思っとらんかった。そこはみんなにお礼を言いたい。どうも、ありがとう!」
ダンテはそう言って大きく頭を下げた。
「水臭いな。俺らの中だろ」
「特にスグルとミウに関しては申し訳なく思うとる。なるべく早よ完済するさかいもう少し待ったって」
「別にいいよ〜。そんな一杯あっても使う場所が無いしね〜。それよりわたしは早くお城見て見たいなー!」
二人に迷惑をかけたというのは勝手に玉鋼の儲けぶんの金を建国に使ったというところだろう。
二人は全然気にした様子もなく普通に接する。
「そしてマイは建国に日夜貢献してくれた。玉鋼の事もや。とってぃは料理で働く従業員を励ましてくれた。ゆいは魔物退治と情報をしっかり集めてくれた。みんな居らんかったらいくら経っても作ることなんて出来んかったやろう。だからもう一度お礼を言いたい」
「わかった、わかったよ。ダンテさんもうそれくらいでいいからさ」
「そうさ。ダンテの旦那はドンと構えてもらっとかないとこっちが困るってんだ」
「ダンテくん、君がいないと私たちも作るなんて出来なかったさ。他の従業員くん達もね。つまりこれはみんなの努力っていうことだね。それで納得できないかな?」
とってぃは焦ったように、マリは嗜めるように、ゆいはほんわりと微笑みながらそれぞれダンテに声をかける。
それでようやくダンテの肩が上がった。
「……そか。そやな。分かったわ」
それで今度こそいつものダンテに戻った。
「おっしゃ。じゃ早速始めよか」
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