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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第一章 闇の聖女 始動?
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しがない鑑定眼の情報屋さんの頑張ります。

 私はめげずに今日も迷宮に潜っています。勿論迷宮はD級迷宮です。一日に一つランクを上げていけば一週間もしないうちに冒険者を辞める自信があります。 闇の聖女 なんていなかったんです。

 そんな事にならない様に地道に生命力を増やしながら、出来る魔術を増やしていこうと思います。


 昨日闇魔力を圧縮出来た事は大きい収穫でした。闇魔力を圧縮する事でダークボールも破裂や溶かす事もなく、物理攻撃の様なダークボールが使える様になりました。


 大きな魔物に使うと ボンッ とダークボールが貫いた穴が空くので、胴体に直撃しようものなら中身が飛び出すのはいただけません。


 私は魔物の毛皮とか角とか牙とか採取しないので出来れば基本的に跡形もなく消え去ってほしいと思っています。大きな魔物にはダークアローを撃ちます。中身が出なければ何とかなるのです。私だって冒険者の端くれです。グロテスクな事にならなければ、泣いたりはしないのです。


 魔物の攻撃を受ける勇気のない私は、敵がいない所で闇の壁を試します。魔力を圧縮した硬度の高い闇の壁と魔術を無効化するといわれる渦巻く闇の壁を交互に使っていきます。勿論魔物のいない所でです。わざわざD級迷宮の魔物で防御魔術を試す気はありません。


 試すならスライムです。もう油断はしません。晩御飯食べられなくなると思いました。食べましたけど。


 前日に来た迷宮と同じ迷宮なので、迷う事もなく地下3階に辿り着きます。出てくる魔物も一緒です。迷宮によっては毎回魔物が変わったり、通路が変わる迷宮もありますが、そういった迷宮は少数です。長い年月をかけて迷宮が変わる事はありますが、基本は変わらないという事です。


 昨日魔石を取ったばかりなので、今日は最深部に何かあっても数は少ないでしょう。迷宮に溜まる生命力が形を成して最深部の祭壇に現れます。仮に一年誰も訪れていない迷宮や、高ランクパーティーが何らかの理由で全滅したりすれば、祭壇にはしこたま何かが現れる事になります。後者は少し後味が悪いですが。


 歩きづらい通路をトコ、トコ。とゆっくり進んで行くと、金色に光輝く動く何かが目に映りました。

 なんだろうと思い、金色を追いかける様に通路を進みます。

 曲がり角を曲がったところで、金色の何かの後ろ姿を捉えます。


 すかさず鑑定眼で鑑定を行います。


 ゴールドスライム

 属性 レア

 特徴 珍しい 早い 珍しい 素早い 珍しい 逃げる

 能力 珍しい道具や魔道具、金貨を体内に集めてる。珍しい。とっても珍しい。どの迷宮にも出る可能性があるが発生条件不明。高ランク迷宮に出やすい。それでも珍しい。

 一言 ゴールドスライム ☆に☆げ☆れ☆


「なんでっ!?」

 私が大声を張り上げてしまったせいで、ゴールドスライムは ビクリ と飛び跳ねてスタコラと逃げて行ってしまいます。


 鑑定眼の茶目っ気を知っていたのに反応してしまいました。しかし素早いといってもスライム。体を引きずる速さに限度があると思い、ゴールドスライムの後を追いかけます。


 ポヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨッッッッ!! ヒュヒュヒューーーン!!


 速すぎて追いつけませんでしたー。

 もう既に姿は見えません。私の3倍は速いと思います。あれをスライムと思ったらダメですね。諦めます。


 私はスライムの通った通路をぼーっと眺めています。

 昨日通った道を何となく思い出しています。


 あれ? この先行き止まりじゃなかったでしたっけ?


 そう思った矢先です。


 ポヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨッッッッ!! ヒュンヒュヒュヒューン!!


 猛烈な速さで体を激しく伸び縮みさせながら、奥からゴールドスライムが此方に向かってきます。金色に光るあまりの存在感に軽い恐怖を感じます。


「い、いや……」


 ポヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨォォォォォン!! ヒュヒュンヒュンヒュンー!!


「こ、こない、で………」


 震えながら杖を持つ私に思い切り体当たりでもするつもりなのかもしれません。昨日鳩尾に食らったスライムの体当たりが脳裏を過ぎります。

 あんな速度のスライムが鳩尾に突き刺さったりしたら。


 死ぬかもしれないです……


 ポヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨオォォヨヨッヨヨォォ!!! ヒュヒュヒュヒュヒュンヒュンヒュンヒューン!!


「こないでぇぇぇぇぇぇ!!!」


 杖からありったけの魔術を放ちます。人は死に直面すると普段出せない力が出せると言うのは本当なのでしょう。

 巨大なダークボールがゴールドスライムを消し去りました。


「うぇぇ……。スライム怖いぃ……」


 トラウマになります。私はこれから普通のスライムすら怖がるかもしれません。迷宮に潜る度に魔物が苦手になる様な気がしてなりません。


「うぅ……ぐす……」


 座り込んでしまった私ですが、涙を拭きながら通路を見ると、生命力の中に魔石も一緒に浮いているのが目に映ります。

 ふよふよと飛んで来る魔石入り生命力。胸の前で両手を差し出すと生命力は宿り、魔石は ポテっ と両手に落ちました。

 涙で滲んだ瞳のまま、鑑定眼を使います。


 B級魔石

 属性 無

 能力 光を放つ(半永久)

 効果 魔石に生命力を込めれば光を放つ魔石。生命力が無くなれば光を失うが込めればまた光る。任意の方向。光の明るさまで調節可能

 一言 おまっ…………



「あうぅぅぅえぅぅぅ……(泣)」

 もう何も言わないでほしいです。

 いいんです。高く売れるから。この迷宮には光を放つ系以外は無いんです。そんな迷宮聞いた事ないですけど、きっとそうなんです。

 そう思わないと私泣き止みませんよ?

 絶対泣き止みませんから!


「えうぅぅぅ……うっく。えぅ。えぇぇぇん」



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