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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第四章 しがない聖女と世界の話
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しがない聖女の気になる名前


 私はマイルさんに抱かれて、私はマイルさんにしがみ付いています。

 パリリ っとマイルさんが一飛びする度、足元にイカヅチが跳ね飛びます。


 マイルさんはまるで低空を滑走する様に、或いは真っすぐに突き抜ける様に中空をかけます。


 私の目には目まぐるしく変わる景色を認識する事は出来ません、というか、うっすらとしか目を開けられません。風圧がすごいんです、魔力で身を包んでも無理ですね、きっと専用の魔力の使い方があるのでしょう。


 一度大きく高く、跳躍すると、マイルさんはそのまま斜め下?方向に開いている大きな洞穴に飛び込みました。


 目に映る景色が暗くなり、私はマイルさんに回す腕に力を込めました。


「大丈夫、もう不死族の街だよ」


 マイルさんの言葉通り、洞穴を抜け視界が広がると、そこは不死族の街でした。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「あっはっはっ!! お前昔となんにもかわってねぇじゃねぇか!!」

「はははっ!! あの時から何千年生きてんだ俺は!? 成長全くなしってか!!」

「うっふふふ、私はあの時とは比べ物にならないみたいよ~」


 マイルさんの家に向かう途中、不死族の街の中で人だかりが出来ていました。


「あれ? プリシア達じゃないですか?」

「そうだね? プリシアさんにモニカさん、ルルちゃんもいるね」


「おい!! もう何人鑑定してると思ってるんだっ!!」


 人だかりの中心で、プリシアが勇ましく叫んでいます。

 澄んだ黒髪は不死族の街でもよく目立ちます。


 うーん……やっぱりプリシアは可愛いですね、私もあれぐらい可愛く見えるのでしょうか……


 全く関係のない事を思いましたが、私達は人混みへと歩み寄りました。


「まぁまぁ、こいつっこいつも鑑定してよっ!!」

「いやぁ!! 人物の鑑定なんていつぶりだ?」

「あれは……8000年ぐらい前じゃないか?」


 鑑定? 8000年前? なんの話でしょうか?


「懐かしいなぁ……レティーシャを思い出すね……」


 レティーシャ?

 私はその言葉に一人の女性に視線を移します。

 見た目は私より年下、ルルよりは年上に見えますが、黒っぽくも見えるとても濃い紫色の髪を丸く後頭部に束ねた女性。


 周りには初老に見える人や老人の姿もあります。

 しかしこの女性の見た目はとても若く見えます、他にも若く見える人は多くいるのですが、不死族の見た目はどうなっているのか気になるところです。


 なんとなく聞き覚えのある名前に、私は女性に声を掛けました。


「あの、すいません」


 私の声に振り向いた女性は、驚いたのか目を丸くして私を凝視しました。


「え? レティーシャ……?」

「え? レティーシャ?? 私ですか?」


 確かに名前は似ている気がしますが、何故私にレテーシャと言ったのでしょう?


「レティシア! 帰って来たのか!」


 私達に気付いたプリシアが私に向かい声をかけ、振り向いた不死族の方々が少しざわつきました。


「あ……? 鑑定士の……?」

「え? いや、そんな事ないだろ? あの子は天神族だろ?」

「ん? どうした? あの子が何かあるのか?」


 そのレティーシャという人を知ってる人と知らない人がいるのか、私を見て驚く人と、私を見て周りに問いかける人とで不死族の方が分かれます。

 私を見て驚く人は少数ですが、そのレティーシャという人を知ってる不死族は少なくとも確かにいるようでした。


「ほら、鑑定士のあの子は羽耳があったろ? 別人だよ」

「あーそういえばそうだな、でも似てるなぁ……」

「あー? なんの話してるんだ?」

「ずっと昔にライオルの街があった頃、そこにいた鑑定士に似てるんだよ」

「懐かしいなぁ!ライオルの街! あの頃は不死族も地上によく出てたもんな!」

「そうそう、ライオルの街にちょっとした鑑定士がいたんだよ」


 昔話に花が咲くのか、不死族はそれぞれ個々に集まり、笑い声が聞こえてきます。


「はいはい! 鑑定は終わりだっ!」


 プリシアは自身に出来る人だかりを散らすように声を上げ、私達の元に駆け寄りました。


「プリシア、どうしたんです? 何があったんですか?」

「いや、情報収集の成り行きで鑑定してた、なんか初めてじゃないのかえらい盛り上がってな」


「貴方は、レティシアって言うの?」


 声をかけた女性は、まだ私をマジマジと見ながら私に問いかけました。


「あ、ごめんなさい。此方から声をかけておいて」


 私は女性に頭を下げた後、女性の問いに答えます。


「そうです、私はレティシア・プリシエラと言います」

「そうよね、あれから8000年近く経ってるもんね。でもびっくり、すごいそっくり」


 女性は懐かしむ様に目を細め、両手を合わせます。

 その女性と知り合いだったのか、とても嬉しそうにも見えました。


「あの……よかったらその女性の事を教えていただけませんか?」

「レティーシャの事? いいけど、そんなに教えられる事はないよ?」


「それでも大丈夫です、是非お願いします」

「そう? ならいいよ、貴方を見たら思い出しちゃったから、昔話でもしようかな」


 女性はそう言って笑ってくれました。


「そう言えば、レティーシャにも昔話をしたなぁ」


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