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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第四章 しがない聖女と世界の話
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しがない聖女の再会

「この道だな」


 プリシアが右方向の分かれ道を前に立ち止まります。

 ギルドで聞いた不思議な道なのでしょう。私は思います。


 不思議すぎますね


 なんとゆうか、そうですね。

 例えるならファンシーでしょうか?メルヘン?

 これでよく噂にならないものです。

 いえ、ありのままに伝えたら頭おかしいと思われるに違いありません。


 不思議ってこういう意味なんですね、カボチャのランタンとか付いてますし。


「奥は行き止まりみたいだけどぉ?」


 先は目に見える距離で行き止まりです。


 進むことを躊躇うほどのファンシーな道ですが、というか迷宮にカボチャのランタン付いてるのおかしくないですか? 明らかに人の手が加わっていますしね。


「あのカボチャ、純血を識別する魔具だな」


 プリシアがカボチャのランタンをそれぞれ眺めて口を開きます。


 えぇ、私は分かってましたよ?あれが魔具でただのファンシーメルヘングッズじゃないって事ぐらい。


 私は元情報屋さんですよ?分かっていたに決まってます


「レティシア? ただのメルヘングッズじゃないんだよ?」


 わわわ分かってましたもん!


 ゆっくりとみんなで道を進みます、カボチャのランタンの目がルルに反応する様に赤く光ります。


 これは……ファンシーじゃなければかなり怖いですね、絶叫ものかもしれません。


 いくつも立ち並ぶカボチャのランタンを超えると、行き止まりの壁に魔法陣が浮かび上がります。


「ルル、触ってみて」


 プリシアの言葉に、ルルはそっと腕を伸ばします。

 ルルが魔法陣に触れると、白い光と共に壁が波打ちました。


「もしかして? この壁通り抜け出来ます?」


 プリシアは笑います


「世界の真相を確かめに行こうか」


 魔法陣の描かれた壁は波打ち、水の中に入る様に壁に足を踏み入れました。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 どこか見覚えのない場所


 後方にそびえる大きな緑の葉を揺らす樹。


 世界樹?


 世界樹を見た事はありません、しかしあれほど大きな樹はそれ以外にはありえないでしょう。


 ドオオオン!!


 激しい音に振り返ります。


 立ち上る爆煙、少し間を開けて勢いよく吹き付ける風。


「あれは……」


 爆炎の中心には光る人影、その周りを囲む様に数人の人影と竜の姿が見えます。


「無駄だよ」


 何故か聞こえる爆炎の中心にいる者の声。


「僕は倒せない、世界の理だからさ」


 聞いた事のある声、蘇るいつかの記憶。


 ──そんな未来はない──


 いつか聞いた声が頭に響きます。


「増え過ぎた者は淘汰されるんだよ? 言わば僕は世界が望み作り出した存在だよ?」


 なんの話?


 増え過ぎた者? それは何を指しているのですか?


 頭をよぎる今まで聞いて来た話、それとは異なる内容の映像。


 光の破壊者は竜の王じゃないのですか?


 夢で見た光の破壊者は竜王の人型の生命力じゃないんですか?


 世界の境に現れるのは竜王で、それが光の破壊者なんですよね?


 あそこにいる竜はなぜ人型と闘っているのですか?


 あの竜は……竜王なんでしょうか……?


 そんな私の疑問を他所に、人型は話を続けます。


「その世界樹が最後なんだ」


 後方に見える世界樹を守る様に戦う竜と数人の男女。


 竜王は世界樹を攻撃しない、ならやっぱりあの人型は竜王の生命力ではない?


 光の破壊者とはいったい誰の事を指している?


「人々の道は、途切れさせんぞ」


 そう口を開いたのは竜王らしき竜です


「我がどんな道を歩む事になろうとも」


 ◇ ◇ ◇ ◇


「あらぁ……メルヘンだわぁ……」


 目を見開きます。


 目が覚めた様な、意識が何処かに飛んでいたかの様な。


 目の前に広がるのは少し不気味なのに、どこか可愛らしい不思議な街並み。


「ハロウィンパーティーも顔負けだな」


 夜……ではないのですが、迷宮の中とは思えない程天井は高く、暗い町はカボチャやスティックキャンディ型のランプ?が光を発しています。


「……? レティ姉……? どうしたの?」


 驚いている、というよりも心ここにあらずだったのでしょう。


 先程の記憶は、誰が、いつ見た記憶だったのでしょう。


「世界樹の記憶だよ」


 ルルに答えるよりも早く、頭上から届く声。

 空を見上げると同時に、私達の目の前に静かな音を立てて人影が飛び降りました。


 私とプリシアは驚きの声を同時に上げました。


「え?」「うぉ!?」


 そうです、私達はこの人を知っています。


 プリシアにとっては鑑定出来なかった初めての人です。

 私にとっては忘れる筈がない、たった一人の金貨の人。←(ひどい覚え方と言わざるを得ない)


「マイル・フォレグランさん!?」「鑑定不能お化け!?」


 黒く緩やかに波打つ、男性にしては長い髪。

 深紅の瞳を細め、マイルさんは優しく微笑みました。


「やぁ、久しぶりだね」


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