表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第四章 しがない聖女と世界の話
61/74

しがない聖女と魔術試し打ち


 グランフィアの町から少し離れた開けた野原です。

 昨日買ったお揃いのブラ、じゃなくてどこかの民族っぽいミサンガが右手首に通っています。


「マジックシールド」


 目の前に出来る半透明の壁、今までは黒ぐろとした黒い壁が、なんとも綺麗になったもんです。

 ビフォーアフターも驚きの白さでしょう。


「ひりゅーそー♪」


 すかさずモニカが槍を打ち付けます、心の準備が出来ていなかった私は怯えてしまいます。


「モモモニカ!優しくして下さいぃぃ!」


ガキィィン!!


 メタルゴーレムさんの装甲にヒビを入れたモニカの槍です。


 かなり不安だったのですが、マジックシールドはモニカの槍を跳ね返し、モニカは反動でそのまま後ろに飛び上がります。


「うん♪私の魔力じゃぁレティのシールドは貫けないわねぇ♪」


「も、もぉ!モニカやり過ぎ!」


 魔力は高いままだとしても、初めてやる事は不安がいっぱいなんです。

 一先ずは難関を乗り切ったといえます。


「レティシア、私も打つぞ」


「あ、はい。ダーク……じゃないですね、マジックウォール!」


 次は目の前に半透明の渦を作り出します。

 要は闇属性が消えているだけで魔術の発動は何一つ変わりがありません。


 これは……いけますね……!


「ダークアロー!」


 今まで私が使っていた魔術、著作権の侵害です、特許を申請しておくべきでした。


 まぁ特許とかよく分からないんですけどね!


 ドドドドドドドっ!


 プリシアから複数の黒い矢、今までは撃つ側でしたが、撃たれて初めて気付きます。

 黒い矢が四方八方から凄まじい速度で襲いくる様は恐怖以外の何ものでもありません。


 いつかの塔の最上階にいたハーピィさん……貴方が諦めたように羽ばたくのを辞めた理由が分かりました。


 諦めたんですね、私もきっと諦めます。←(頑張れ)


 打ち出された無数の矢はマジックウォールに飲み込まれます。


「レティ姉私も」


 次に名乗りを挙げたのはルルです。

 ルルの魔術を見る事は初めてですが、油断してはいけません。

 強い魔力を持っている事は知っているのです、お姉さんとして不甲斐ない所を見せる訳にはいかないのです。


「ルル、いつでも良いです、遠慮はいりません」


 私は前方にマジックウォールを展開しながら思います。

 遠慮して頂きたい、私はか弱いお姉ちゃんなのです。

 ルルの魔術をマジマジと眺めるプリシアとモニカ、みんなルルがどんな魔術を使うか興味津々といった感じです。


 プリシア、モニカ。私の身に何かあったら助けてくださいね。


強風(ハイウィンド)


 自然術師の使う魔術は、魔術師とは少し違います。

 魔力を駆使し元素を操る、っといった感じです。


 魔術を形にする私達とは少し異なる魔術なんです。


 魔術名通りの強風を操る魔術、その威力は凄まじく……


 ゴォオァアァアアアアアアアアアッッッ───!!!


 マジックウォールで防ぎきれる訳がありません、辺り一面に巻き起こる強風、前方だけを無力化してもどうしようもない荒れ狂う風。


「きゃああぁああぁああぁぁぁああ!!」


 横殴りの風に髪が舞い踊り、捲り上がるスカート、そんな事はどうでもいいぐらい私は空高く舞い上がります。


 飛んで飛んで飛んで飛んで、回って回って回っても驚く吹き飛ばされ様です。


「モモモモニカー!!(ギャン泣き)」


「は~い♪」


 予期していたかの様に吹き飛ぶ私を追いかけ、助けてくれるモニカです。

 きっとこうなる事が分かっていたんだと思います。


「おールルやるなー」


 その光景を涼しい顔で観戦するプリシアさん、確かに驚きの光景ですが、もうちょっと私を気遣ってくれてもいいと思います。


「レティ姉ー大丈夫ー?」


 ちょこちょこと駆け寄るルル、ここはお姉さんとして威厳を示さなければいけません。


「だだだ大丈夫ですよよよよ、これこれこれこれぐらいへへへへっちゃらですですですすす」←?


「え……? う、うん?? ご、ごめんなさい……?」


 完璧です、私はいつだって強いお姉さんなのです。

 何も問題ありません、多少震えるのは仕方ありません、だって空飛んだんですもん、人間が空を飛べば誰でもこれくらいにはなりますから、なりますからっ!


「レティシア!! ハァハァ!」


 プリシアも息を切らせるほど駆け寄ってきます。何やら先程と変わって心配している様なプリシア。

 やっぱり、ちゃんと私を心配してくれるのです。


 心配は無用です、私はへっちゃらですから、お姉さんの威厳は保ちました。


「パンツ黒は背伸びし過ぎだろ!? いつもの白いのにしろよ!」


「それ息を切らせてまで言う事っ!?」


 何を言い出すのか理解に苦しみます、むしろそれなら体の心配をしてほしいぐらいです。


「あらぁ……私はいいと思うけどなぁ♪」


「逆に恥ずかしいからっ!!」


「レティ姉……ルルにはまだ早いって言ってたのに……(涙)」


「え!? ん!? 何か私も早いみたいな言い方になってますよルル!!」


 私だって昨日女子力を高めようと……ちょっと冒険してみただけなんです……。

 もう背伸びはやめますね……



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ