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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第一章 闇の聖女 始動?
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しがない鑑定眼の情報屋さんのトラウマは続く

 ダークボールを大きくイメージします。

 ダークボールに飲み込まれて跡形も残らない様強く念じます。ダークボールに飲み込まれる飲み込まれる。

 闇属性だからでしょうか? ダークボールに飲み込まれるイメージは何となく出来ます。これについては他の属性より簡単かもしれません。


 ズズズズズズズッ


 レッドゴブリンは私に向かって走っていましたが、杖の先に出来る巨大なダークボールを見て立ち止まります。

 如何にレッドゴブリンが好戦的と言っても、私は遥か向こうにレッドゴブリンが見えた時には襲われると思い、じっくりと魔力を溜めていました。

 私に辿り着くまでに巨大なダークボールを生成する事に成功です。


「ダークボール!(今までの3倍以上のでかさ)」


 溶けないで下さい。お願いします。破裂も見たくないです。お願いします。


 ブオオォォン!!


 巨大なダークボールが風が巻き上げてレッドゴブリンに向かっていきます。

 悲惨な光景は見たくないんですが、結果を見ないわけにはいかないのでうっすらと目を開けています。本当は閉じたいです。


 ズオオオオォオオォォォォォ!!


 ダークボールはレッドゴブリンに接触するとその体を丸ごと飲み込み。レッドゴブリンはダークボールに包まれました。と言うか、ダークボールの中に埋まりました。

 ダークボールはレッドゴブリンを飲み込んだまま小さくなっていきます。


 シュウウゥゥゥゥ────ン


 ダークボールが徐々に小さくなっていき、そのまま消えていきました。中にいたと思われるレッドゴブリンの姿もありません。代わりに光の玉が浮いています。


「せ、成功? 成功かな?」


 ふよふよと私に近付く生命力を宿した辺りで、成功の実感が湧いてきます。


「や、やったぁぁぁぁぁぁ!!」


 杖を握りながら大はじゃぎです。ピョンピョンと飛び上がり、クルクルと回りながら小さな円を描く様に飛び跳ねます。

 スカートがかなり危ない高さまで捲り上がっていましたが、よしとします。今は見られても構わないです。

 あ、やっぱりダメです。


「これなら……いけます!」


 とりあえず相手を包み込む程の大きさでダークボールを放てばいいんです。そしてそのまま飲み込めれば、夢に出てきそうな泣きたくなる光景を見なくていいんです。

 私は 闇の聖女 としてやっていけるかもしれません。


 今までの重い足取りとは違い、足取り軽く迷宮を進んでいきます。通路は大きめの岩がごつごつしていて少し歩きにくいです。幅は私が5人程横に並んで通れるぐらいでしょうか? 広めの通路です。通路が狭くなってもいいのでもう少し歩きやすくしてほしいです。


 ポヨンポヨン ズズッズズッ


 通路の先からポヨポヨした何かが地面を引きずる音がします。スライム系でしょう、大丈夫です。もうスライムを溶かしたりはしません。

 通路の先は曲がり角になっています。スライムの姿は見えませんが、私は杖を構えて魔力を込め始めます。まだいきなり大きなダークボールを作れと言われても出来ません。


 ポヨヨンポヨヨン ズズズッズズッ


 曲がり角から見えたスライムに唖然とします。見た目から何のスライムか分かるのですが、鑑定眼で確認してしまいます。


 ジャイアントスライム

 属性 無

 特徴 巨大なスライム

 能力 巨大な体で相手を包み込んでゆっくりと溶かす。遠距離の攻撃は無いが無理だと思ったら☆に☆げ☆れ☆

 備考 多分現時点のダークボールで対象より大きなものを作り出すのは無理なんじゃ……☆ナ☆イ☆カ☆ナ☆


「なんで嬉しそうなんだっ!」

 ☆印を使ってくる辺りに悪意を感じます。右目に拳をくらわしてやりたいですが、私が痛いのでやめておきます。


 私は覚悟を決め、出来るだけ大きくダークボールを生成しますが、対象の半分程の大きさしか作れません。これを飲み込むイメージで撃ったらどうなるのでしょう?


 ダークボールに吸い込まれるイメージを持って、対象に向かって放つ事にします。上手くいけばすべてを飲み込んでくれるかもしれません。


「ダークボール!」


 ズゴオオオォォォォン!!


 吸い込むイメージで撃ったからでしょうか、ダークボールに吸引力がある気がします。ダークボールに吸い込まれる風が発生しています。渦巻く様に風を飲み込みながらジャイントスライムの中心に命中します。


 ズゴゴオオォオォォォォ!! ビチビチビチビチビチ!!!


 え?う、うん。た、確かに吸い込まれてますけど……何というか……


 ビィチビチビチビチビチビチビチ!!


 左右に収まらなかったポヨポヨの体がビチビチと音を立ててダークボールに吸い込まれていきます。

 スライムだったからよかったものの、これが形ある生き物だったらと思うとゾッとします。

 これはこれで衝撃的な光景になる事間違いなしだと思われます。


 ビチビチ……シュゥン


 スライムの体がすべて飲み込まれるとダーグボールは小さくなり消えました。

 かなり危険な匂いがします。巨大な獣型の魔物ならどうなったのでしょう? 吸い込まれる時はどうやって吸い込まれるのでしょうか?

 あまり想像したくありません。


 闇属性の魔術は悲惨な光景に目を背ける事は出来ないのかもしれません。あるいはダークボールがダメなのかもしれないです。もっと鋭い、矢のような形にしてみるのもいいかもしれません。


 我ながら名案だと思いました。


 そうです! 矢の形にすればいいんです! それなら破裂することも吸い込む事もないです!


 試しに鋭い矢をイメージして魔力を込めると、大きい針の様な形を生成する事が出来ました。それも複数作る事に成功します。

 勿論名前はダークアローです。


 次は三本の矢を飛ばします。私はまた通路を歩き始めます。


 ダッダッダッ!


 後ろから何かが走ってくる音に振り返ると、レッドゴブリンが私の姿を見つけ走って来ています。

 私は即座に杖を対象に向け、ダークアローを生成します。大きさが小さい為か、三本の矢はすぐに作る事ができました。


「ダークアロー!」


 矢はレッドゴブリンの頭と体に目掛け飛んでいきます。矢の速度が速いのは私の魔力がAA級並だからでしょう。このランクで避けられる事は無さそうです。


 どうなるのかと見据える様に見ていた事を後悔しました。


 ドドドッ! ブジュルルルルルルゥルル!! ギャワァァアアァァ!!


 ドジャリ


「いやああぁぁぁ!!」


 矢は見事に頭に一本。胴体に二本突き刺さりましたが、突き刺さった部分からドロドロと溶けていきました。

 頭が溶けていくさまは発狂に値します。頭と体の中心が溶けて嫌な音を立てて残った体が地面に倒れます。


「うっうっ……うふぅ……」


 口元を手で押さえ、何とか悲鳴を上げないように我慢します。涙は我慢出来ませんでした。

 確かにデフォルトでは溶けちゃうとダークボールの鑑定の時に出ていました。針の様な形にしたので、てっきり貫くかと勝手に思っていました。ちゃんと生成する時にそうやって魔力を込めないとダメなんですね……

 早く成功しないと私の心の体力が無くなります……


 あぅ……つ、次こそは……


 私は攻撃を受けていない筈なのに、何故か心身がズタズタになっています。主に心への傷が半端じゃないです。

 闇同化の能力も試してみないといけません。


 フラフラな足を踏みしめ、地下への階段を探します。まずは貫けるダークアローを生成する特訓です。

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