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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第三章 闇の聖女と世界の話
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闇の聖女と夜の森でのうーたん

 森の中の少し開けた場所、その中心に焚火を起こしモニカと並んで座っています。


 夜までにエルフ族の町にたどり着ける予定だったのですが、 うーたん が鳥に攫われたり、うーたん が大きな猫に銜えられて森の中に連れ去られたり、 うーたん が巨大な植物に絡めとられたり、 うーたん が地中から出現したモグラの様な魔物に地中に引き込まれそうになったり。


 中々思う様に移動出来ず、野宿をする事にしました。


「う~~みゅ~~~♪」


 野宿をする事になった原因を作った張本人は美味しそうにパンを頬張っています。うーたんの身長に近いパンなのですが、口いっぱいにパンを含みハムハムと口を動かしています。ハムスター見たいです。


「無事でよかったわねぇ♪」

 パンを頬張るうーたんを見ながらモニカが微笑みました。


「うん、なんであんなにトラブルに巻き込まれるんだろうね……」

 パタパタと飛べば鳥や猫に飛んでるところを捕まり、地面をトコトコと歩いているかと思えば植物に絡めとられたり地中に引きずり込まれそうになったり、目を離す事が出来ませんでした。


 少し大変だったなぁと、私は困った様に微笑みながらうーたんに視線を移します。


「うーみゅ?」


 うーたんはなんの事か分からない様に首を傾げます。

 

「うみゅ!」

 何かに気付いたのか、うーたんはパンの端を両手で掴むとトテトテと二本足で歩き始めます。というか、うーたんって何か掴めたりしたんですね……

 両手でパンの端を持ち二本足で歩くうーたんはウサギには到底見えません。魔物と妖精の間といった感じです。もうなんでもいいですけどね。


「うみゅ♪」


 うーたんは齧った部分を私に向けて嬉しそうに耳をパタつかせます。

 え? 食べろって事ですか? どういう事でしょう?


「うーみゅ♪」


 そのパタパタを飛び上がると私の頬にグリグリとパンを押し付けてきます。


「え? ごめんうーたん。何してるの?」


 押し付けられるパンを手でそっと遮り私が言うと、うーたんはまた何かに気付いた様に弾む声を出しました。


「みゅー♪」


 そしてピコピコとパンを持った両手を上げ下げします。私のアゴにペシペシとパンが当たります。


「うみゅみゅ♪」


「いやいや、ごめん。何してんの(笑)」


 理解出来なくて少し笑ってしまいました。何に気付いたのかまったく理解出来ません。何をしようとしたんですか? なんで私のアゴにパンをペシペシ押し付けたんですか? 何かの儀式ですか?


「うみゅ? うみゅー♪」


 何もしない私に対して ? を浮かべたうーたんはパタパタと隣のモニカに移動しました。モニカの前に移動すると……


 ペシペシペシペシ


 パンを持った両手をピコピコと上下させモニカのアゴにパンを下からぶつけます。滑稽過ぎて笑えてきます。


「うみゅー♪」


 ペシペシペシペシペシペシペシッ


「あらあらぁ♪ 食べ物で遊んじゃいけません♪ 没収ですぅ♪」


「うみゅ~~~!? うみゅっうみゅ~~!!?」


 パンを取り上げられたうーたんは悲しそうな声を上げてモニカにすりすりと頬ずりを始めます。


「じゃぁもう遊んじゃだめよぉ? わかったぁ?」


「うみゅ!」

 ビシッと右手を額に上げて敬礼のポーズをしています。あ、あれやっぱり遊んでたんですか? 食べ物を粗末にするなんていけません。私も怒れば良かったです。


 うーたんはその後大人しくパンをたいらげました。


「うーたん? ほんとに今度遊んだらパンあげないからね?」


 そう言うとうーたんはビシッと背筋を伸ばし敬礼してくれました。どうもあの行動に意味は無かった様です。


「うみゅー♪」


 少し怒った風を装いましたが、うーたんの意味の分からない行動で笑ったせいか、少し疲れを忘れた気がします。あの何かに気付いた様な感じはなんだったのでしょう?


「うみゅん♪」


 うーたんは私の膝の上に乗ると丸くなって眠る準備を始めます。なんとなく、最初にうーたんが腕をピコピコと上下させた時を思い出しました。


 確か……最初に腕をピコピコさした時に私はうーたんに歓喜しながら褒めた様な……?


 え? 元気づけようとしたくれたんですか? まさかですよね。


 うーたんは私の膝の上でスヤスヤと寝息を立て始めました。




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