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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第三章 闇の聖女と世界の話
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闇の聖女の初めての思い

 次の日、馬車での移動中。私は今まで聞いていなかった事をモニカに尋ねます。


「ねぇモニカ? 妹さんはどんな病気なのか聞いてもいい?」

 もしも話したくない事であれば、無理に話す事はないのですが、一刻を争う病気では無い事しか私は知らないのです。


「えっとぉ 私達の家系の、遺伝みたいな病気なんだけどぉ 生命力が少しずつ減っていくのぉ 消えていくって言った方がいいのかしらぁ?」


「どういう事?」


「私達はぁ 生命力が自然と生み出されていくでしょぉ? 魔力や気を使うかぁ 激しい運動をしない限り減る事はないわよね? それが何もしてなくてもぉ 少しずつ減っていくのぉ」


 自然と生命力を使っている状態になるって事でしょうか? それは聞いたことない病気ですね。


「でもぉ、今までは自然に生み出される生命力と 減る生命力ではぁ 増える生命力のが多かったんだけどぉ 少し前から減る生命力が増えたみたいでぇ あんまり気は使えなくなったわぁ」


 それは……怖い病気ですね。生命力が無くなれば死に繋がるかもしれません。早めに行動をしたモニカの気持ちが分かります。


「だからぁ 今のうちに治してあげたくて♪ 今よりも減る生命力が増えたりしたらぁ 大変だもの♪」


 モニカは、いいお姉さんなんだなと思いました。早めに対処しておくに越した事はないと私も思います。今は大丈夫でもいずれどうなるかは分かりません。妹さんを大事に思っているんだと伝わってきます。


「うん! 治してあげようね♪ そんな病気はほっといたらダメだよ。怖いよ」


「うふふ♪ ありがとぉ♪ レティのおかげよ♪」


 いずれどうなるか分からないですが、それでも妹さんの為に命をかけられるモニカを素敵だなと思います。今切羽詰まっていない状況でも、その先を見越してメタルゴーレムに一人で挑めるモニカの強い意志を感じずにはいられません。


 そして私は、少しだけ不安を覚えます。


「ねぇモニカ……妹さんが元気になったらね」


 モニカの旅は終わって、妹さんと一緒に暮らすんだよね?


 と、言葉にする事が出来ませんでした。


 うん っと言われる事が怖くて聞けません。モニカがいなくなる事が怖くて……言葉が出ません……。


「レティ? どうしたのぉ?」


「んーん。妹さんの病気を治して、元気になってもらわないとね♪」


 初めて出来た仲間、一緒にいたいと思う存在。そのモニカと離れる事を、私は受け入れなければいけません。

 モニカは妹さんを助ける為に、1人で大陸を渡ってまで月下美人を手に入れに来たのです。


 私のわがままで……妹さんとモニカの時間を奪う様な事は出来ません。


「あらぁ♪ ありがとぉレティ♪」


 モニカの笑顔に胸が少し痛みます。


 私は……モニカとお別れしなければいけません……。


 そう心で思っていても……モニカに聞くことが出来ません。


 モニカはこれからどうするの? っと言葉を出す事は……出来ませんでした。


 妹さんと一緒に過ごすに……決まってるじゃないですか……



 馬車がシャンベリーに着いたのは月下美人を手に入れてから10日程経ってからでした。


 少しだけ、シャンベリーに着いた事を喜べない自分がいました。


 そんな事を思ってはいけません。モニカの大事な妹さんが治るんです! いい事なんです!

 姉妹で一緒に過ごすんです。何も間違った事じゃありません!


 私は自分の気持ちを心の奥底にしまい、そっと蓋を閉めました。 


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