闇の聖女のモニカの愛
ラースカド大陸に渡る帆船、乗客はあまり多くありません。一週間に一度しか出港しないのは乗客の数に関係しているのかもしれません。
「ほえぇ……海きれー♪♪」
私は初めての航海に夢中です。船の船首で広大に広がる海を眺めています。
吹き付ける風が気持ちよく、両手を広げたりしちゃいます。
「ねぇ♪ 風も気持ちいいわぁ♪」
モニカの髪が太陽の下で透き通る様な水色に見えます。靡く髪を片手で軽く押さえる姿は、女の私でも綺麗だなと思います。
「私船初めてなの♪ 気持ちいいねー♪」
緩やかに揺れる船は心地よかったです。もし1人で船に乗っていたらもっとオドオドとしていたんだと思いますが、モニカと一緒にいた為か初めての船旅も楽しい気持ちでいっぱいでした。
「うふふ♪ レティ可愛い♪」
はしゃぐ私が子供っぽいと言う事でしょうか? 少し恥ずかしくなりましたがいいんです。楽しい時は楽しまないと損なのです。
「いいもん。楽しいもん♪」
「あらぁ♪ 私も楽しいわぁ♪」
船首ではじゃいでいれたのも少しの間だけでした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うぇぇぇぇぇぇ。気持ち悪いですぅぅぅぅぅ」
二日間まるまる移動する船という事もあり、船の船楼には簡単なベッドが置かれています。私がここから起き上がることは船の移動中はもう不可能でしょう。
「あらぁ? レティ? 乗り物ダメな人ぉ?」
自分でも知らなかった事ですが、私は乗り物ダメな人です。間違いありません。馬車も船も気持ち悪くならなかったためしがありません。今のところ的中率は2/2です。
「私乗り物ダメな人ですぅぅぅぅ。もうわかりましたぁぁぁぁ」
枕元には袋が置いてあります。何用かですって? 聞かないで下さい。 おぱぁ 用ですから。
「あらあらぁ 少し休んでぇ♪ 必要な物があったら言ってねぇ♪ 私に任せてぇ♪」
モニカの優しい微笑みに涙が出そうになりました。一人じゃないって、なんて心強いんでしょうか……
「うぅ……モニカぁ……ありがとぉ……(だばぁ)」
モニカに見守れながら、私はベッドの上で喚き苦しみました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「神は……死んだんです……」←?
一日中寝ていた私ですが、体調がよくなることはありませんでした。もうすぐ私が死にそうです。
私は波打つ様な揺れを意識しない為に、魔力生成をして気を紛らわそうとしています。生成した魔力がウネウネと波打つ様に動いているのですが、あまり意識していません。
「モニカ……私はもうダメですぅぅ……闇の聖女は死にますた……闇のモニカとして……私の後を継いで下ぱぃ……」←(色々と限界)
薄れゆく意識の中、モニカの手を握り ニッコリ と微笑みます。
「モニカ……? 私……モニカの事……大好きぃ……」
私はモニカに伝えられる事を伝えなければと思いを打ち上けます。まだ会って間もないかもしれません。それでも私の心は、モニカと出会った事で沢山の物を貰ったのです。
それは今まで過ごしてきて感じた事のない物や。初めての仲間への思い。初めての仲間がモニカで何より幸せだなと思います。
「あらぁ……レティ? ちょっと待っててねぇ♪ 大丈夫よぉ♪」
モニカはギュッと私の手を包み込む様に握った後、腰に携えた槍を手に持ちました。
「えぅ? モニカ……? どうしたのぉ……?」
虚ろな視界の中、微笑みながらも強い決意を感じるモニカに尋ねます。
「大丈夫ぅ♪ 船長倒して船を止めるわぁ♪ これ以上辛い思いはさせないからぁ♪」
私はモニカの言葉にガバっと体を起こします。歩き始めたモニカの腕を必死に伸ばして捕まえます。
「なな何言ってるのモニカ!? ありがたいけどダメだよ!? みんな遭難しちゃうよっ!?」
モニカの腕に握られた槍は気を込められて光を放つ長い槍へと姿を変えています。モニカは……やる気ですっ!?
「レティ? 私だってバレない速さでやるからぁ♪ 大丈夫ぅ♪」
「そういう事じゃないよっ!?」
「私ぃ思ったのっ♪ レティがこんなに気持ち悪くなる操縦してるぅ 船長が悪いのぉ♪」
「だだ大丈夫大丈夫っ!! 私元気っ! 大丈夫だからっ!!」
「ぶっ殺してやるですぅ♪」
「何言ってるのっ!!?」
モニカの愛を感じた瞬間でもありました。