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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
プロローグ しがない鑑定眼の情報屋さん
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レティシア・プリシエラ 

 私の名前は レティシア・プリシエラ 腰ほどまでの銀がかった灰色の髪に灰色のローブを来ています。しがない鑑定眼の情報屋さんです。

 

 冒険者になろうと故郷を飛び出した私は、すぐに冒険者として挫折しました。

 自由で、色んな場所を旅して、何にも囚われない。そんな冒険者に憧れを抱いていました。

 でもそれは、自由に旅をする強さがあって出来る事だと知りました。


 移動中すら魔物に怯えていた私です。魔物の巣窟とも言える迷宮や塔に行く事を生業に何て出来ず。すぐに冒険者にはなれないと気付きました。

 両親の反対を押し切って家を出た事もあり。家に戻る事も怖くて私は情報屋になりました。


 情報屋として生計を立てれたのは、偏に魔眼。鑑定眼のおかげです。


 私に何故魔眼が備わっていたのかは分かりません。

 この世界には生まれ付き精霊を宿していたり。自然と結びついていたり。第二属性を使えたり。神の子、悪魔の子と言われる力を持って生まれてくる人もいます。

 そういった類のものなのでしょう。深く考えた事はありません。


 生まれ付き変えられないものといえば、魔力か気かを選ぶ事が出来ない事だと思います。それは生まれた時に決められています。もしかしたら生まれる前から決まっているのかもしれないです。


 鑑定眼のおかげで毎日冒険者ギルドの隅っこで立っているだけで、細々と生活をする事が出来ました。お客さんが代金をすべてお金で支払っていれば、私はそれなりに裕福だったかもしれません。

 少なくとも、宿に泊まるお金がなくて野宿なんてことにはならなかったでしょう(泣)


 もし、お客さんが代金をお金で支払ってくれて、私が裕福だったとしても。私はきっと闇の魔石を受け入れたと思います。

 ずっと冒険者ギルドの隅っこで立っていました。来る日も来る日もせっせと鑑定を行って生計を立てていました。

 それは目標もなく、ただ生きる為の方法でした。


 大それた冒険が出来るとは思っていません。人が救えるのかと言われれば私に自信はありません。


 強くなる為に生命力を集めたわけじゃなく、偶然魔石で強くなっただけです。たまたま聞いたいくつもの伝説の話しが勝手に実をなしたに過ぎません。

 ……今考えると。お金じゃなくて情報で支払っていてくれたお陰で闇の魔石を見つけられたとも言えますけど……。



 そんな私はもしかしたら、部屋の隅っこで鑑定をしているのがお似合いなのかもしれません。


 怖くなったらまた逃げ出すかもしれません。やっぱり私に冒険者は無理だと諦めるかもしれません。やろうと心で決めたとしても。足が、手が、ブルブル震え。か細い声しか出せないかもしれません。


 それでも、もう一度。冒険者になろうと思います。


 怖い事をやりたいなんて、どうかしてますよね。

 怖いのに、やってみたいんです。ただ生きる為じゃなく、生きてみたいんです。


 きっと、隅っこで立ってるだけだと、手が届かないものなんだと思います。


 私はしがない鑑定眼の情報屋を廃業します。

 復帰はしないとは言いません。情けないですけど……


 それまでは名乗るつもりです。


 私は 闇の聖女 ですと。

 

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