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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第三章 闇の聖女と世界の話
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闇の聖女とモニカ

 宿は少し高めの宿です。銅貨7枚と言ったところでしょうか?

 銀貨1枚の宿に泊まった事がある私です。何も恐れる事はありません。


 ガクガクガクガク


 宿に入る前に足が震えました。体は正直です。


 部屋に入ると部屋の中は綺麗に整頓されています。長く宿を借りているのか洗濯ものも干してあります。可愛らしいフリルが付いた下着です。


(これは……可愛いですね……)


 私はまじまじと洗濯ものに近寄ると前と後ろを確認します。フロントからミドルにかけてフリルが長くなるよう付いた下着、可愛さの中に女らしさまで強調されています。高いでしょう(確信)


「あ、あのぅ……そんなに見られるとぉ。恥ずかしいかなぁ」


 女性は下着を吟味にする私を見て顔を赤らめながら微笑みました。


「ごご。ごめんなさい! 可愛い下着だったのでついっ……」


 わたわたと手を振り慌てる私に微笑むと、女性はテーブルの向かい側に腰掛け どうぞ っと緩やかな動作で椅子に手を差し伸べます。


 私が椅子に座った後で女性は話を始めます。


「もう一度改めてお願いするわぁ 月下美人を手に入れる為に私を助けてほしいのぉ」


 天然なんでしょうか? それとも艶めかしいんでしょうか? どこか ふわふわ とした感じも漂いつつも、体が……なんと言いますか……羨ましいです(爆)


「あの。私で力になれるんならいいんですが……強い人を探してるんですよね……?」

 どうせ船が出るまで時間はあるのです。やる事もないので断る事もないのですが。私が強いのかと言われると、私強くありません。


「そうなのぉ。私より弱いとぉ死んじゃうかもしれないのぉ。誰にでもお願いできる事じゃないのぉ」

 え……と? え? どういう事ですか? 私死んじゃいませんか?


「貴方と一緒ならぁ。死んじゃう事もないと思うのぉ。やっと私より強い人にぃ会えましたぁ♪」

 え? え? ちょ、待って。ちょま! いや、どういう事ですか?


「う? え? あの……私A級ですよ……?」

 A級が弱いとは言いませんが、私を過大評価してる気がしてなりません。別に恥ずかしい事ではないのです。はっきりと言っておいた方がいいのです。

 女性は頬に手の平を当てて微笑みました。


「あらぁ♪ ランクを上げるのめんどくさいものね♪ 大丈夫ぅ 貴方が強い事は分かっているからぁ」

 あれ? 何か確信めいたものを持っている気がします。何かしらの能力なのかもしれません。私は恐る恐る口を開きます。


「あ、あの。ちなみにランクを何級なんですか?」


「わたしぃ? AAダブルエー級♪ えっへへー ちょっと頑張っちゃいましたぁ♪」

 私より強いんじゃないんですか? ちょっと待ってくださいね……え? AA級の人が二人いないと倒せない魔獣ってなんですか? 私死んじゃいますよ?


「えと……どんな魔獣が出るんですか……?」

 女性は嬉しそうに指先をピンと伸ばします。素敵な笑顔から出される魔獣の名前に絶句します。


「メタルゥゴーレムさん♪」


 メ、メタ、メタルゥ。メタルゥゴーレムさん……。


「あの…………下位竜と同等の力を持つと言われる……メタルゴーレムさんですか……(泣)」


「そぉなのぉ♪ 私一人でいったら死にかけちゃってぇ♪ 上級治癒魔石無かったら死んでたのぉ♪」


「私……力不足ではないでしょうか……(涙)」

 メタルゴーレムさん。生命力の宿った鋼鉄の体を持つ鉄壁のゴーレムです。その体は下位竜の牙や咢でも砕けず、竜のブレスさえ耐える事が出来ると言われる魔獣です。分類は原鉱種です。


「何をいってるのぉ 貴方の生命力はぁ 私より遥かに強いわぁ」

 彼女はそう言って ずぃ と身を乗り出します。たわわな胸がテーブルでポヨンと揺れて潰れます。弾力性が強いのかぽよんぽよんと戻ろうとしている様にも見えます。何あのおっぱい……(ヨダレ)


「私はぁ 魔族な中でも珍しい種族と混血なのぉ その力で生命力が分かるのぉ♪ 血統ではないからぁ見るだけだとはっきりとは分からないんだけどぉ 体を合わせるとぉその人の生命力が感じ取れるのぉ♪」

 私は抱きつかれた事に納得します。まずは相手を見る事で生命力を確認して、生命力が強ければ抱きついて確認していたと、こういう事ですね。


 私は考えます。生命力が強くとも。それは強さには比例しないんじゃないかと。だって……私ですよ?


 行きたくない理由ばかり考えていたのですが、彼女が言っていた助けたい人がいると言う言葉を思い出します。


「あの……失礼かもしれませんが……助けたい人と言うのは……?」

 彼女は微笑みましたが。今までと違ってどこか寂しそうな笑顔でした。


「私のぉ。妹っ。昔から持ってた持病なんだけどぉ 急に……容体が悪化しちゃってぇ……ね」

 寂しそうな笑顔でした。その笑顔を見た時に私の中で不安よりも強いものが芽生えます。不安は勿論ありますが、それよりも強い何かが私の心を満たします。


「私に出来る事なら。お手伝いします」

 彼女の寂しそうな笑顔は、私の心に届きました。私に出来る事はやろうと思うには十分でした。


「うふふ♪ ありがとぉ♪ そう言ってくれると思ったわぁ ほんとよぉ? 貴方の生命力。優しかったものぉ♪」


「でも。あの……あんまり期待はしないで下さい。私の生命力が強いのは特殊と言うか……たまたまと言いますか……戦いは自信ないですぅ……」


 申し訳なく俯く私に、彼女は手を差し伸べます。


「私はぁ モニカ・オリビア・パラクゥウェル 貴方なら。お願いできると思ったのぉ♪」


 私は差し伸べられた手を取ります。


「レティシア・プリシエラ です。本当に……自信ないんです……」


「いいのぉ♪ レティシアちゃんだからぁ いいのっ♪」

 分かりました。モニカさんは艶めかしいんではありません。グラマラスな体がそう見せているだけで、モニカさんは……天然です。


「あの……モニカさん……ちゃん付けはちょっと恥ずかしいです」

 少し顔が赤くなっていると思います。恥ずかしくて俯いてしまいます。


「それならぁ 私の事はモニカって呼んでね♪ 私もレティって呼ぶわぁ♪」


「あ。はい。宜しくお願いします。モニカさ……。モニカ」

 あまり人を呼び捨てにする事がないので少し戸惑ってしまいます。

 そんな私を見て、モニカは嬉しそうに笑っています。


「うふふ よろしくねぇ♪ レティ」


 私はモニカと一緒にメタルゴーレムさんを倒しに行くことになりました。いえ、まだ戦うと決まったわけじゃありません。目的は月下美人なのです。まだ希望を捨ててはいけません。出来れば 本当に 叶うなら 闘いたく ありません


 私が強い決意を持っている事はモニカには内緒にしておきます。


 私はモニカに尋ねます。


「あのー……モニカ? 私右目が魔眼。鑑定眼なんですが、覗いてもいいですか?」


「何いってるのぉ そんなに畏まらないで 私とレティは仲間なのよぉ?」


 ふふっ と自然と笑みが零れました。会話をしていても思いましたが、モニカは優しい人だと思います。きっと本当は誰にもお願いせずに一人で月下美人を取りたかったんでしょう。


 だから一度は一人で挑んだんだと思います。


 上手く言えませんが、同行する人が怪我や命を失わない様に、危険だと思う人には声を掛けなかったんだと思います。

 妹さんの為に月下美人を入手したいにも関わらず、どんな手を使ってもではなく。他の人を思った出来るだけ危険のない方法を選んだんでしょう。

 その結果が、モニカよりも強い人にお願いするだったんだと思います。


 私が力になれるかは分かりませんが。モニカの力になりたいと思っています。


「そうだね。モニカ」


 私は鑑定眼を開眼します。



 モニカ・オリビア・パラクゥウェル

 職業    気操師 槍術師

 得意属性  飛燕気 飛龍気

 強さ    AA級 速度AAA並

 生命力   AA級

 固定能力  速度上昇(能力付与) 槍術達人 飛燕気系纏い 対象の生命力確認(魔物も可能) 飛燕気系放出(能力付与) 生命力索敵 体捌き達人 体術も可能

 器     4割 ×2

 生命力質  AAA級 

 開花前才能 常時飛龍気

 次習得可能 飛龍気を足に集中させた高速移動(現時点でも速い)

 一言    おっぱい大きいねぇ? 腰細いねぇ? お尻女の子らしいねぇ? どこかの誰かさんは……どれか一つでも……ぷぷ 勝てないよねぇ? うぷぷぷ♪♪ うぷっぷぷぷっぷぷぷぷ♪♪ まぁまぁ……女は体じゃ……ぷぷ……ない……うっぷぷ から……ぶはっ♪♪♪


 ぶわぁぁぁぁぁぁ←(滝の様に流れる涙)


「あらあらぁ……レティ……? どうしたのぉ……?」


「ちょ、ちょっと目に……ゴミが…………(同上)」


「あらぁ……? すごい硬いものがぁ目を抉る様にぶつからないとぉ そんなに涙はでないと思うわぁ」


「うん……すごい硬い物が……心を抉ったんです……これぐらい涙がでるぐらい……うぅ……」


「あらぁ……いっぱい目にゴミが入ったのねぇ」←?


 モニカはそう言って私を抱きしめてくれました。ポヨンポヨンの胸が私を包み込みました。


 ブワァァァァァァァ(滝再び)



 モニカに鑑定結果を伝えたのは私が泣き止んだ後でした。ついでに鑑定眼がちょっとお茶目な事とうーたんも紹介しました。


 うーたんは結構生命力が強い様です。モニカが驚いていました。



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