表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/74

闇の聖女の商店通り

 カハルダ。ティルノーグに向かう入り口の役割を果たす町です。

 カハルダも小高い山頂に作られた町で、ティルノーグと比べてはダメですが、標高は高いと言えます。


 カハルダに着いた頃。言う必要はありませんが私はグロッキーでした。心身ともに疲れ果て、ティルノーグに向かう元気の無かった私はフラフラと宿に直行しました。うーたんは何故か元気いっぱいでした。


 私はベッドに向かって倒れる様に……いえ、普通に倒れました……



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 私は商店通りに出向いています。

 陽も沈み辺りは暗闇に包まれていますが、商店通りは店先の光放つ魔石で明るく。今も賑わいを見せています。


 宿の受付の女の人に話を聞いたところ、ティルノーグへの橋は陽が昇る時間しか通れない様です。夜道の橋で何度か転落事故があったのが原因との事。橋に転落事故は付き物とは言え安全に渡りたいものです。


 目も覚めてしまった私は宿にいても暇だと思い、夜の街に出向いたわけです。危険な魅力の漂う女というわけです。


 買う物がないまま商店通りを散策するのは初めてです。勿論宿やギルドの通り道で通ったりはしますが、買う物がないのにお店を見て回る? 何故そんな事するんですか? っと思っていましたが、やる事がないとこんな事もするんですね。


 てきとうに目に留まるお店を眺めていきます。最初に目に留まったのは魔石が並ぶお店でした。


 簡単にランクと効果が添え書きしてある魔石を鑑定眼で見てみます。



 B級魔石

 属性 火

 能力 火を放つ(半永久)

 効果 任意の方向に火を放つ。杖の先につけたり何か道具に付けて使うもの。方向指定しなければそのまま燃える。

 一言 これを銜えて両手を胸の前に鉤爪の様に構え、前方に火を放つ事でドラゴンになれる


「見た目の話だよね!?」


 別にドラゴンに憧れがあるわけではありません。そんな事考えた事もありません。 なんですか?じゃぁ水を放つ魔石を銜えて両手を鉤爪にして水を出せば水竜ですか? 水吐き出しながら うええええええ!! って雄叫びあげたら構えまでして嘔吐する気マンマンで嘔吐している人になっちゃいます。


 一言 それグールのシャツ着てグール化してやれば、グール仲間と思って攻撃してこないよ!


「そんな手があったのかっ!?」←(そんな事出来ません)


 私はキョロキョロとお店を見渡し珍しいお店はないかと探します。魔石のお店だと疲れてしまうと思ったからです。


 向かいのお店に杖が立てかけられているのを見つけ、私はトコトコと立てかけられている杖の店先に移動します。

 杖専門店です。杖の先には魔石が填められている物も多くあります。



 木の杖

 属性 無

 能力 体を支える

 効果 足腰が不自由な方に……貴方にお勧めの一品です☆



「その杖なのっ!?」


 何処に突っ込めばいいか分かりませんでした。まるで試されているかの様な鑑定結果に、珍しく私の心に火が灯ります。深く息を吐き心を落ち着けます。私だっていつまでも振り回されっぱなしでいるわけにはいきません。

 見事に鑑定結果に合わせてみせる……


 やってやります────っ!


 そう心に決め、私は次の杖を覗きます。


 古木の杖

 属性 無

 能力 術師の生命力が流れやすい

 効果 魔術師、自然師が術を行使する際に生命力が流れやすい。結果消費する生命力軽減効果有

 一言 冒険者愛用の杖。扱う人は多い


「………………」←(困惑)


オロオロオロオロ←(焦)


「え、えと。えっと、あの……」←(戸惑)


「あの……その…………ご、ごめ……私、できな……い……(涙)」←(謝罪)


 ボロボロと涙が零れました。


 泣かされた私は心の中で思います。 大人しくしていようと……。



 私がティルノーグの橋に向かったのは次の日の朝でした



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ