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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
プロローグ しがない鑑定眼の情報屋さん
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しがない鑑定眼の情報屋さん改め闇の聖女

 体に宿る黒い生命力に私は目を閉じてしまいました。

 だって、黒いんです。黒い生命力見た事ないです。


 恐る恐る目を開け体を確認します。


 白っぽい日光に当たってない様な肌です。間違いなく私の色です。黒くなっていたらどうしようかと思ってましたが、自分の肌も病弱な気がします。


「何も変わってないかな?」


 ブンブンと腕を振ったりクルクルと回ってみたり、スカートが靡く様に身を翻したり。問題は無さそうです。

 見た目の変化はありませんが、もしかしたら不死者になっているかもしれません。だけど試す勇気はないので判断が出来ません。


 鑑定眼で見る際は姿全体をおさめないと上手く鑑定出来ないので、宿に戻ったら鏡越しに試そうと思います。私の鑑定眼は茶目っ気たっぷりなので上手く鑑定してくれるかは分かりませんが。


 来た道を戻ると空洞内が先程よりはっきりと見えます。魔石の光が強くなったのかもしれません。

 そう思いながら私はテコテコと空洞を歩いて行きます。出口に戻る為には、急な坂を登らなくてはいけません。坂道を両手両足を使い登っている時涙が零れた事を忘れる事はないでしょう。

「つらいよぉ……」

 ここを登らないと一生外に出られません。体を動かす事が得意ではない私にとってはあまりにも辛い道程でした。


 やっとの思いで坂を登り切ると月明りが無くなっていました。魔石が私に宿った時に月明りも消えてしまったのかもしれません。

 そこで私は違和感に気付きます。

 夜も更けり辺りは暗闇な筈なのに、私の目に闇が映る事はありません。明るいわけではないですが、暗くて見えないという事はありません。


「猫目になったかな?」


 そんなわけはありません。私は這い出た落とし穴に視線を移すと、穴の奥までしっかりと見る事が出来ます。

 改めて見ると魔石が光っている形跡はありませんでした。


 闇属性を身に宿した事で、どうも暗闇を見える様になっているみたいです。早く自分を鑑定しなくてはいけません。

 もはや自分にどんな力が宿っているかも分かりません。

 私は明かりが灯る町に向けて走ります。夜の森の中だというのに木々にぶつかる事もなく、ひょいひょいと障害物を躱す事が出来ます。来る時? ぶつかりましたよ? 何回かは言いませんけど。

 町に着くまでに時間はかかりませんでした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 宿に戻ると、私は土や草が付いた体のまま宿にある一番でかい鏡の前に立ちました。

 休憩所にある姿見の鏡です。休憩所にはほかに人の姿もなく、光を出す魔石が薄く明かりを灯しているだけでした。

 髪に草がくっついていましたが、まぁ髪飾りみたいなものです。よしとしましょう。

 今日何度目になるか分かりませんが、私は鑑定眼を開眼します。

 自分自身を見る事はほとんど無いので、少し新鮮な気分です。



 レティシア・プリシエラ


 職業    闇の聖女(魔操師、気操師概念ぶっ飛び)

 得意属性  闇

 強さ    AA級ぐらい

 生命力   AA級ぐらい

 固有能力  闇同化 魔術無力化(現段階では不可) 物理無効化(同上)

       闇属性使用可能(生命力により使える魔術制限有) 周囲暗黒化 闇視覚化 自然回復率増加 生命力闇化(治癒時に限り) 闇属性以外使用不可 不死者ではないよ!

 器(生命力を溜めれる限度)

       4割 ×1 ←もっと修行しろ

 生命力の質(生命力の量ではなく濃さ)

       AA級並

 開花前才能 闇属性発展もしてない

 次習得可能 現段階では闇属性の魔術を飛ばす。簡単な生成が出来るだけ。闇の魔力を高圧縮できれば魔術無力化の闇の壁を生成可能、闇同化により物理すり抜け可能 ←まずこれを出来る様になれ

 魔眼一言アドバイス♪

       基本的に五属性よりは強い。魔石の生命力も宿った事で基本値大幅増加。元が弱すぎる為AA級程度に収まっているが、それでもほかのAA級よりは強い。と思われる。気操師の物理攻撃も闇同化で無効化する事も出来るが、AAA級以上の気を込められた場合すべてを無効化不可。治癒魔石使用不可。自身の闇により回復力向上。あるいは生命力を分けてもらうことで治癒力増加。 結論唯一の闇属性でも元が弱すぎる為普通に強い程度になっている。がっかり。

 

「がっかりってなんだっ!」

 何故か上から目線の解説に突っ込んでしまいます。なんとも生意気な魔眼です。しかしこの魔眼のおかげで色々分かる事も事実です。悔しい限りです。

 他にも突っ込み所が満載なのですが、最後の がっかり が頭にきました。よくよく考えると治癒魔石使用不可なんて大問題です。

 鏡越しに文字を見ていると、うっすらと一番下に文字が浮かび上がります。



 追伸 光の破壊者に対抗しうる存在。お互い唯一の弱点でもある。闇の聖女がいなければ光の破壊者を倒す事は無理。現在では存在してない模様。



「一番大事そうな事を追伸で言うなっ!」

 まず光の破壊者が何かも分かりません。聞いた事もありません。それに対抗しうる存在と言われても困ります。私はしがない鑑定眼の情報屋さんです。


 私がプンスカと怒っていると鑑定眼の文字が強く光りました。


『闇の聖女』


 の部分だけが強く光を放っています。

 どうも私はもうしがない鑑定眼の情報屋さんではない様です。

 しかし何をすればいいのかは全く分かりません。


 光の破壊者が今は存在してないとはいえ、もしもこの世界に現れたら対抗するには私が必要にはなる様です。

 お金を貯めて術師学校にでも行くのがいいのでしょうか?

 A級の迷宮や塔に行けば、それなりの魔道具や装備が手に入る筈です。それを売ればかなりのお金を稼げる様になるとは思います。

 でもいきなりA級なんて行きません。鑑定でAA級並と出ても。A級なんて行ったら死んでしまうかもしれません。まずはD級から挑戦です。


『根性無し』


「私はE級なのっ!怖いのっ!」

 もぅ! 一体なんなんですかこの魔眼は! 生命力が強くなって今までより生意気になった気がします!


 そして私は思います。

 しがない鑑定眼の情報屋さんは廃業です。

 もう私が冒険者ギルドの隅っこで、立ちながら一日を過ごす事はないだろうなっと。そんな予感も過ぎります。


 私は 闇の聖女 になりました。

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