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闇の聖女の違和感

 ボブンっと音を立ててベッドが沈みます。


 私はやっと銅貨5枚の宿に戻ってこれました。

 ふかふかのベッド(レティシア目線)広い浴槽(レティシア目線)今日の疲れを癒してくれます。


 宿でお留守番をしていたうーたんが耳をパタつかせて飛んできます。相変わらず可愛くない飛び方ですが、今はいいです。

 ベッドに飛び込んだ私の元へとやってきます。


 ビタンッ!


 顔に不時着しました。出来ればしっかりと着陸してほしいものです。

 顔にしがみ付くうーたんを剥がしベッドの上に降ろします。うーたんはすりすりと柔らかい毛皮を頬にすり寄らせてきました。

 ふわふわで少し心地が良かったです。


 明日から私は南に向かいます。


 天人族の住まう町ティルノーグに行くためには大陸の端にあるカハルダに向かわなければいけません。カハルダはティルノーグに向かう為の入り口の役目をしています。聳える高い山の山頂に町を成すティルノーグに向かい橋が掛けられているのです。


 天人族の血統を絶やさない為に、既婚者しか渡れない橋と聞きますが、何とかなるでしょう。観光地としても有名な所です。


「うみゅーうみゅ~!」


 うーたんが鳴きながら私の頬をペチペチと叩きます。うーたんはどうするんでしょう? 曲がりなりにも妖精です。ここでお別れなのかもしれません。


「うーたんはどうするの? 妖精の森にいる?」


 言いながらうーたんの額をつんつんと突くと、うーたんは垂れた耳の付け根辺りを両手で押さえて真顔のままブンブンと首を振り回します。


「うみゅ!! うみゅみゅ!!」


 ブブブンブブブン!!


 振り回しが速過ぎて残像が見えます。耳を押さえたのは耳が遠心力で千切れない様にするためだったのでしょう。想像をしていなかった動きに ビクリ と体がビクつき少し身構えてしまいます。


「そ、そう? 無理はしなくていいからね。ありがと」


 残像が見える程ブンブンと左右に振り回している頭に恐る恐る手を伸ばすと ピタリ と首を振り回すのをやめてくれました。

 安心してポンポンと頭を叩くと、嬉しそうにうーたんは鳴き声を上げます。


「うみゅ~♪」


 世界の境。それが2000年の事なのでしょう。光の破壊者がすべてを破壊する為に現れるのかもしれません。


 私は自分の考えに少し違和感を覚えます。しかし、それが何かが分かりません。何かが引っかかっている気がするのですが……。


 私は……何が引っかかっているのでしょう……?


 全ては憶測の域を出る事はありません。やはり天人族に話を聞きに行かなくてはいけません。


 ふぅ


 しがない鑑定眼の情報屋さんだった私が、世界の事を知る旅に出るなんて私が一番予想していませんでした。


 世界を救おうなんて今でも思っていません。その為に旅をしている実感もありません。情報収集をしている感じです。


 それでも。何か目的があって動いているのは情報屋さんをやっていた時とは明らかに違います。

 それがなんなのかは自分でも分かりませんが、いずれ分かる時もくるでしょう。


 私は立ち上がり、浴室に向かいます。ウキウキと心が弾みます。


 今日は足を伸ばしてお風呂に入れます♪


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