闇の聖女と鑑定眼
右の壁の出っ張り
鑑定結果 押すと天井からグールの臓物が降ってくる(酸効果なし)
左の壁の色が違う所
鑑定結果 触ると自分周辺の地面が崩れ落ちグールの臓物たっぷりの落とし穴に落ちる(酸効果なし)
地面の窪み
鑑定結果 踏むと地面から水、間違えた。液体の様なグールの臓物が吹き上がる(酸効果なし)
天井から垂れている蔦
鑑定結果 引っ張ると壁が崩れて次の通路が現れる
一言 おい。ここあれだ。罠何もないぞ!
「罠って何か知ってる!?」
地下3階は罠だらけでした。鑑定眼で通路を見ると至る所に罠の鑑定が浮かび上がります。しかも罠はほとんどグールの臓物ですね。酸効果なしとか 嫌がらせですね? そうなんですね?
唯一先に見える天井から垂れている蔦、あれだけは引っ張らないといけないみたいです。鑑定眼がなければ私が地下3階を突破することはないでしょう。絶対。
天井から垂れている蔦
鑑定結果 引っ張ると壁が崩れて次の通路が現れる
一言 おい! 気を付けろ……このフロア……罠だらけだぞっ!!
「知ってるけどっ!?」
ふざけた鑑定眼を相手にしている暇はありません。私は足元に最大限の注意を払いながらも、一歩進んでは壁、天井の確認を繰り返します。グールの臓物塗れになるなんて、想像しただけでも気を失いそうです。
「ん……はぁ…ん、くぅ…」
一歩づつとゆっくりと歩きます。こんな緊張を味わった事がある気がします。
「いやぁ……やだ…ぁ……ぁ、ん…はぁ…」
絶対に窪みを踏んではいけません。私は時に足を広げ大股に歩き。時に細い丸太の上を歩く様に。慎重に慎重に進んでいきます。
「ちょ……やだっ……いやっ……あっ。。ん、あぁっ」
私はバランスを崩さない様に必至です。何も変な事はありません。
プルプルと体が震えます。かなり無理な体勢もしています。スカートが捲れ上がる? そんな事はいいんです。グールの臓物を身に浴びるぐらいならスカートが捲れ上がるぐらいよしとします。それ以外ならダメですよ?
「んっ!! とっ! はぁぁぁぁ」
鑑定眼に映る無数の罠を乗り越えて、私は蔦の元へとたどり着きます。この先に続く道はありません。この蔦を引かないと先に進めないのでしょう。
私は確認の為にもう一度蔦を鑑定します。
天井から垂れている蔦
鑑定結果 引っ張ると壁が崩れて次の通路が現れる
一言 え? 今何してんの? 遊んでるんでしょ?
「進んでるのっ!! 頑張って迷宮進んでるのっ!!」
私は蔦を引っ張ると正面の壁が ガラガラ と音を立てて崩れました。先に続く通路が現れます。
こんなに必死に罠を潜り抜けて進んでいるというのに。 遊んでるんでしょ? なんて酷いです。
遊んでないもん…………
周囲を確認しながらも、比較的下を向きながらトボトボと歩いていきます。遊んでないもん……。
通路は相変わらず罠だらけでした。至る所に罠が仕掛けられています。
右の壁を見るとズラズラと現れる鑑定結果の文字。左の壁を見るとビッシリと書かれた鑑定結果の文字。天井、地面、このフロアは罠だらけです。信じられない程に。
罠も問題なのですが、問題はもう一つありました。
一言 ねぇねぇ……罠って……なに?
や
一言 あ、これ罠なの? ウフフフフ
とか
一言 お前、実は楽しんでるだろ? 怒るよ?
なんて逆切れされながら地下三階を進んで行きました。
一言 ねぇ? 楽しい? なら笑おう!
「私楽しそうかなぁ!?」
二度とこのフロアには入りたくありません。帰る時に通る事になるんですけどね……
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