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闇の聖女の天敵改

 地下2階に降りると酸っぱい匂いが迷宮を漂っています。嫌な予感に私の警報が凄まじい勢いで反応しています。

 体がブルブルと震えます。帰りたい。宿に帰りたい。銅貨5枚もした宿に帰りたい。


「ぅ……くぅ……」


 拒絶する体をなんとか動かして、一歩づつ歩いていきます。

 すぐに通路は二手に分かれます。右の通路をチラリと覗くと。


 グールガール改

 属性 不死

 特徴 自分の内臓をムチの様に振り回したり投げつけたりする

 能力 すべてに酸効果あり。危険。

 一言 内臓出てて吹っ切れた感じ? ぶっ飛んだ女って可愛いよね!


「ラリってんのかっ!」


 私は叫びながら杖をグールガール改に向けます。間髪入れずにダークボールを放ちます。グッチャグチャですが見ないわけにはいきません。内臓を投げつけられでもしたら一巻終わりです。心の話です。


「ダークボール!うぇぇぇぇ!!?」


 ズドオオオオオオオ!!


 自分の腸みたいなものをブンブンと振り回している姿に悲鳴を上げてしまいました。ダークボールがすぐに飲み込んでくれましたが、その姿は目に焼き付きました。


「なんか……振り回してた……」


 半ば放心する私。二度と遭遇したくはないものです。ダークガール改が酸っぱい匂いの元凶らしく、倒したら少し匂いが落ち着きました。でもまだ酸っぱいです。


 酸っぱい匂いが濃くなったら奴がいると思い、私は匂いのしない方へと進んで行きます。地下へ続く階段? そんな事はいいのです。酸っぱい匂いのきつい方へ行って階段が無かったらどうするんです? それこそ無駄に酸っぱい思いをするだけです。嫌な思いをしないで済むならそれに越した事はないのです。


 出来るだけ匂いのしない方へと迷宮を進みます。


 行き止まりでした。


 入り組む迷宮を匂いのしない方へ。


 行き止まりです。


 ・・・・・・・・・・・・ぐすん


 匂いのしない通路はすべて…………行き止まりでした


「神は……死にました……」←?


 立ち尽くす私は抜け殻の様にフラフラと匂いのする方へと進んで行きます。甘い花の匂いに誘われる蝶の様に匂いの濃い方へと進んでいきます。


 正確には酸っぱいグールの匂いに誘われる 闇の聖女 です。


 吐き気を催す様な酸っぱい匂いに泣き出しそうになりながら、自らその酸っぱい匂いに向かって行くのです。苦行以外のなんでもないです。


 グールガール改は自分の中身を掴んでは私目掛けてぶん投げてきます。酸効果どうこうの問題ではありません。あんなの当たったらお嫁にいけません。私は無駄に闇を体に纏い。無駄にダークウォールを展開し。無駄に完全防御のまま。グールガール改に出来るだけ早く魔術を撃ちます。


 グールガール改が投げる内臓が生々しい肉感を保ったまま ビクンビクン! と激しく脈打っていたのを見た時は流石の私もお手上げでした。内臓を投げ飛ばした対象にダークボールをぶつけた後に壁際で小さく縮こまり。


「───────ッッ!!──────────ッッッッ!! うえぇぇぇんっ」←(声にならない叫び)


 言葉にならない声を上げ、その後にわんわんと泣きました。


 地下へ続く階段の前には立ちはだかる様にグールガール改がいました。

 私は半ば放心状態で反射的に魔術を放ちます。精神的にも匂い的にも限界は超えていました。

 放心状態でも体はすぐに魔術を放ってくれました。


 ダークガール改を倒すと生命力の中に魔石があったらしくポテリと魔石は手元に落ちます。


 C級魔石

 属性 無

 効果 匂いを消す(長時間)

 能力 ひどい悪臭を打ち消す魔石。自分自身周辺に効果有。

 一言 この魔石光らん。なんでなん?


「そうだね……なんで光らないんだろうね……(涙)」

 なぜ…………2階が終わる今になって…………もっと早くにこの魔石があれば、吐き気を催す酸っぱい匂いだけは何とかなったでしょう。


 私はそっと魔石を袋に入れて、3階へ続く階段を下りました。


「神は……死んだんです……」←?



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


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