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闇の聖女の贅沢

 洞窟の中は真っ暗です。私には関係のない事なのでトコトコと洞窟を進みます。

 うーたんは内ポケットに収まっています。


 あまり見えないのかも知れません。


 洞窟を進みながら私は思います。妖精の森はすぐに分かると言っていたモジャスターの言葉です。確実に道は間違っているでしょう。こんな道を通らないと辿り着けないのであれば、すぐに分かるなんて言うわけもありません。


 今更戻る事も億劫なので洞窟を進みます。


 程なくして洞窟の真ん中に光を放つ物が見えました。よく覗いて見ると祭壇が見えます。

 信じられなくて立ち止まってしまいました。迷宮や塔の最深部にあるあの祭壇です。


「こんなところに……?」


 闇の魔石の時の祭壇に似ています。杖の様な棒が刺さっていて、先端が受け皿の様な形をし、その上に何か浮いています。まさかの展開に驚きを隠せません。


 私は祭壇に近付き、光を放つ何かを確認します。



 鬼のパンツ

 属性 無

 能力 いいパンツ

 効果 つよいぞ~


「つよいぞー」

 いりませんね。

 

 私はその場を立ち去ろうと歩を進めます。


「うにゅ!?」

 うーたんは驚いたように内ポケットから私の体を叩きます。しょうがないのでもう一度だけ鬼のパンツを見ます。


 鬼のパンツ

 属性 無

 能力 鬼の毛皮で出来てるぞ

 効果 つよいぞ~


「つよいぞー」

 いりません。


 鬼の毛皮って何かわかりません。すね毛ですか? わき毛ですか? よく分かりません。それ以前に人が履いた事ある下着なんて履きません。しかも身に着けてないと効果が無さそうですし、同じ下着ばっかり履く趣味もありません。どうするんですか? 鬼の下着履いていない時に強い魔物とあったら。その場で履き替えるんですか? 戦闘中に? 信じられません。


 うーたんは分かってくれた様に返事をしてくれました。これでいいんです。


 光を放つ鬼のパンツに別れを告げるように、軽く頭を下げます。他の誰かに見つけて貰って下さい。


 鬼のパンツ

 属性 無

 能力 履けば身体能力大幅向上

 効果 自信の身体能力を引き上げる。履いていないと効果はない。

 備考 呪いの道具 履いたら脱げない。女性着用不可


 とんでもない装備でした。


 下着。女性用っぽい気がしますけど男性履けるんでしょうか?

 私はそんな事を考えながら、手に触れる事もなく洞窟を進んでいきます。


 洞窟は外へと続く道に続いていました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「す、すごい村ですね」


 妖精の森(村)に辿り着くころには陽も傾き始めていました。

 妖精の森(村)の入り口には大きな木造の門が建てられていて、ようこそ! 妖精の森へ! っと看板が出ている始末。

 お祭りでもないのに門には所狭しと飾り物がしてあります。気さくにも程があると思います。


 歓迎されないよりはいいですけどね。


 私は開けっ放しの門をくぐり、妖精の森へと足を踏み入れます。


 町の中はファンシーでした。所々に花が咲き乱れ、その周りを気持ちよさそうに飛び回る小さな妖精。村人の背中には大きな羽根があり、まさしく妖精の森でした。ここにいる妖精族は純血だけなのでしょう。


 チラホラ妖精族ではない人も見受けられます。私の様な冒険者で間違い無さそうです。妖精が珍しいとはいいませんが、こうも当たり前の様にいるのには流石に驚きを隠せません。


 何はともあれ宿探しです。村にはギルドはありませんが、冒険者用に宿がある村は多いです。あちこちを旅する冒険者にとって、体を休める事の出来る村は重宝されます。なので村で悪さをする冒険者は少ないです。冒険者立ち入り禁止なんて事になったら原因を作った冒険者は冒険者ギルドの掲示板に晒され、下手をすれば冒険者資格はく奪なんて事にもなりかねません。


 なので村の人達もある程度の安心を持って接してくれるわけです。


 この村には二つの宿がありました。一つは銀貨1枚の宿、もう一つは銅貨5枚の宿、少しお高めです。私は鼻歌交じりに銅貨5枚の宿の扉を開けます。今日は少し贅沢しちゃいましたね。たまにはいいでしょう。


 久しぶりの銅貨5枚の宿に少しウキウキしました。



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