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しがない鑑定眼の情報屋さん ~闇の聖女~  作者: もるるー
第一章 闇の聖女 始動?
12/74

しがない鑑定眼の情報屋さんのC級塔に挑戦

 塔はC級からしかありません。

 C級の迷宮より難しいのかと言われるとそんな事もないです。

 ただ塔に行ける=C級以上の実力があると言う自己満足に過ぎません。

 それでも、折角だから登ってみたいです。


 聳える塔の門は開いている。というか、門ないです。誰でも入って下さい状態です。空き巣に入られても文句は言えません。私なら扉もない家には絶対住みません。


 袋の中を確認します。四つ程中級治癒魔石が入っています。高かったです。治癒の魔石はお値段が張ります。一個で銀貨5枚程の値段がします。備えあれば憂いなしと言うやつです。


 私は鑑定眼を開眼します。素の防御力が無いに等しい私は攻撃を受けるわけにはいきません。スライムの攻撃で悶絶必至なのです。攻撃こそ最大の防御です。しかしそんな上手く行くとも思っていません。

 防御はやっぱり最大の防御だと思います。


 治癒魔石が入った袋を閉めようとして、中級治癒魔石に文字が浮かび上がります。



 中級治癒魔石

 属性 お前……

 能力 治癒魔石……

 効果 効果ないじゃん……



「・・・・・・・・・・・・」


 全くうるさい魔眼です。人助け用に決まっているじゃないですか。

 治癒魔石を持ってダンジョンに挑むのは常識です。治癒魔石を持って行かないなんて、下着を履かずにスカートを履くに等しい行為です。信じられません。


 私は自分で使う事がない治癒魔石の袋をそっと閉じます。想定外でした。


 どうせ後で震える事になるのです。塔に入る時ぐらい堂々と入ります。

 私は背筋を伸ばし、塔に足を踏み入れます。


◇◇◇◇◇◇◇◇


 塔の中は迷宮とは違い建物の中と言った感じです。ごつごつした岩肌の歩きにくい通路とは違い、ブロックを重ねて積み上げた様な作りです。通路はかなり広いので無理をすれば馬車も通れるでしょう。天井も高く、巨大な迷路です。巨大な分複雑ではないので助かります。


 迷路というよりは、何処かの国の大きな城の通路といった方がいいかもしれません。


 この塔の最上階は3階です。攻略不能だと言われる塔で100階なんて無茶苦茶な塔もあります。私がその塔に行く事はないでしょう。金貨100枚貰っても御免こうむります。光の放つ魔石を集めていた方がよほどいいです。


 テッコテッコと歩を進めます。この塔にはハーピィやアウラウネといった女性人型系の魔物が現れるそうです。女性らしい外見に騙されてはいけません。相手はC級の魔物です。油断すれば ボンッ です。


 私は杖を手放さない様に両手でしっかりと握りしめます。一本道は程なくして十字路に差し掛かります。


 私は迷う事なく左の道を選択します。情報屋時代に周辺の迷宮や塔の構造の話は聞いています。攻略され尽したダンジョンは地図なんかも出回っています。地図はそれなりに高いので、情報屋の私に道順を聞いてくる冒険者もいました。そんな人達の支払いは大体情報でしたけどね。悲しい限りです。


  ヒュヒュヒュ───ッ!


 突如耳に響く風切り音、方向が分からなくて私は咄嗟に闇同化を使います。あまり頼りたくはないのですが攻撃が見えない以上仕方ありません。


 ズズズッ!


 カカカッ!


 上手く攻撃は私をすり抜けました、後方の地面に羽根が突き刺さっています。突き刺さった羽根の角度から、対角線上に見上げる様に視線を移すと、羽搏く音もなくハーピィが飛んでいます。


 ハーピィ

 属性 風

 特徴 上空から対象を襲う。柔らかく繊細な羽は羽搏く音が聞こえにくい。

 能力 風を扱う。魔術よりは自然師ドルイドが扱う風に近い。素早い。


 

「えいっ!」


 ハーピィに向かいダークアローを放ちます。生成された三本の矢は後ろに爆発物でも付いているか様に、弾ける様に空中から飛び出します。


 ドヒュヒュヒュン! 


 空気を貫き、風を纏った三本の矢がハーピィの胴体に突き刺さります。


 ドドドンッ グギャツ!!


 ヒュウウ ドサッ


 ハーピィが地面に落ちるとふわふわと生命力が浮かび上がります。

 何処から攻撃されるかわかったものじゃありません。一応闇同化を身に纏っておいた方がいいかもしれません。

 私は周りに黒い霧を纏わせますが、これはあくまで保険です。攻撃が見えていればしっかりと防御魔術を使います。

 簡単に倒せたハーピィを見て私は思いました。口元に指を当てて小首を傾げてしまいます。


 あれ? もしかして 闇の聖女 ってすごい強い?


 っといっても私は基本が弱いので気のせいでしょう。泣いてばっかりですし、スライムに二度悶絶させられましたし、気のせいですね。


 道なりに進んでいくと次は左右への分かれ道です。歩を止める事なく右に進みます。途中壁際に押して下さいと言わんばかりにブロックが飛び出ていました。

 横目でチラリと確認しながらも歩みは止めません。どんな鑑定結果が出ても絶対押しません。


 謎のブロック

 鑑定結果 押ーしーてーよー↑↑押ーしーてー↓↓! 押ーしーてーよー↑↗→↓!


 押しません。

 どんな発音か理解も出来ません。絶対嫌です。


 トコトコと澄まし顔で進んでいくと、2階に上がる階段が姿を現します。1階はこれでもかと言うぐらい上出来だったと言えます。

 私は一旦闇同化を解きました。魔力が無くなるとは思いませんが、念には念を入れてです。


 闇同化が無ければハーピィーに傷を負わされ、諦めて帰っていたかもしれません。とはいえ、闇の聖女にならなければ私がこの塔を入る事もなかったと思いますけど。結果オーライです!


 順調に突破できた1階に嬉しくて胸が躍ります。私もやっと一端の冒険者に慣れた様な気がします。

 それは束の間の勘違いでしたけどね……


 2階に上がり私の脆い心は粉々に砕けました。


 2階は女性型のグールの巣窟でした……かなりドロドロの……元から中身がデロデロと飛び出ているグールの……

 

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