唐突に考察
安宿に敷かれた布団に横になりながら、考えを巡らせる。
ベッドがあるのは、あの部屋だけだ。宿主の部屋も兼ねているのだろう。
薄い布団は寝にくいが、今はその方が都合が良かった。
「心地いいとすぐ寝ちまうからな」
明日からどのようにしていくか、よく考えて行動しなければ。
迷宮は俺が想像していたより、遥かに難関だ。これが、レベルアップなんかのあるRPGゲームのような世界ならまだいいが、ステータスを見るような力はない。
都合よくファンファーレがなるなんてこともあり得ないだろう。
それはここに導かれたときから分かりきっていることだ。
この世界が俺に特別優しいなんてことはあり得ない。
俺がここにいるのは、願いを叶えたことへの代償なんだから。
しかしながら、迷宮の探索者というのは、下層にいけるものほど強い。
当然の話だが、それは何らかの身体強化が成されているということだ。
もしくは装備による強化か。
迷宮で手に入れることのできる装備には魔法の力が宿っていると聞く。
とはいえ、それは俺には手に届かない代物だろう。それに探索者としてトップを目指しているわけでもない。
俺に求められているのは探索者として生きること。迷宮に潜り続けることだけだ。
現状は自分自身を成長させながら、生活の基盤を作っていく。それしかない。
迷宮の敵を倒していれば強くなれるか、それすらもわからない。
でも、いくら考えたって結局はやるしかないんだ。
とりあえずあのムカデをたおそう。
そうすれば、分かることもあるだろう。
あのときは全く確認しなかったが、カードには手にいれたゼネラルマナが表示される。
倒すことができたら、あのゼネラルマナの取得がなんだったのかも、推測するきっかけを得られるはずだ。
とりあえず明日だ。
今日はもう疲れた。いくら平静を保とうとしても、この世界の日常は俺には非日常すぎる。
目を閉じると、ムカデとの闘いが頭に浮かんで離れない。
くそ、必ず倒してやる……。