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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第3章  神殿テュール攻略編

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プロローグ  出立

 僕は冷たい水で顔を洗う。眠気は覚めた。

 これから【神殿】攻略へ向かうのだ。生半可な覚悟では、命を落とす。最初から最後まで一瞬たりとも気を抜いてはならない。

 昨日、【神殿】攻略に同行するシアンとジェードにそう伝えた。二人は真剣な面持ちで頷いてくれたが、僕はこの後もう一度同じことを言うつもりだ。こういうことは何度言っても損はない。


「よし……頑張るぞ」


 朝食はもう済ませてある。僕は洗面所を出て、ルーカスさんの待つ玄関ホールへ早足で向かった。




「あっ、ルーカスさん! おはようございます!」


 僕はルーカスさんに挨拶した。

 ルーカスさんはちょっと手を上げ、笑顔でそれに応じる。


「よっ、トーヤくん。体調は良さそうか?」


「はい。万全です!」


 ルーカスさんは鬼蛇(きだ)の【カタナ】を腰に差し、防具を付け装備は完璧だ。

 僕は【グラム】と【ジャックナイフ】、二つの『魔剣』を装備している。【グラム】は大きくて重いが、この一ヶ月トレーニングを重ねたおかげでそれを持っても苦ではなくなった。


「おはよう、トーヤくん! ルーカスさん!」


 エルが【精霊樹の杖】を引っ提げ、トテトテと走ってきた。


「おはよう、エル」


「うん。楽しみだね、【神殿】攻略。どんな試練が待っているのか、ワクワクする~!」


 エルはいつも以上にテンションが高い。杖を振り回し、叫んでいる。この調子じゃ着いた時には燃え尽きてそうな気もしなくない。


「あとは……モアたちと、シアン、ジェードの二人だな」


 僕らは残りのメンバーを待った。

 しばらくすると、シェスティンさんとモアさん、ベアトリスさんの三人が並んで歩いて来た。

 三人ともそれぞれの種族の戦闘服に身を包んでいて、シェスティンさんは槌、モアさんは弓矢と杖、ベアトリスさんは赤い棍棒のようなものを担いでいる。


「ルーカス様、私達も準備が整いました」


 モアさんがそう言った丁度その時、シアンの声がホールに響いた。


「遅れてすみません! 少し、装備を着けるのに戸惑ってしまって……」


「す、すみません」


 シアンとジェードは二人して頭を下げる。


「いや、あたしたちも今来たところだし、あんたたちが頭を下げなくても……」


「ああ、まぁ少し遅れても問題ないよ」


 ルーカスさんは笑って言う。確かに、問題はない。


 にしても、ベアトリスさんたち遅れてたってわかっててあんなに堂々として来たのかよ……。ルーカスさんなら許してくれると思っていたのだろうか。

 ベアトリスさんに睨まれた。僕はぷいと目を逸らす。

 目を逸らすと今度はモアさんと目が合った。あれ、何か怒ってる……?


「あの、これ……ありがとうございます」


「いいって、【神殿】攻略に行くんだ。良い装備を揃えた方がいい」


 シアンとジェードは、ルーカスさんから新しい『武器』を受け取っていた。

 シアンはブーツ、ジェードはグローブがその『武器』なんだけど……。

「どんな力があるかは後でのお楽しみ」とルーカスさんに言われた。




「さあ、行くか!」


 僕たちは玄関ホールを出て、ルーカスさんを先頭にして歩き出す。

 と、アマンダさんが慌ただしく追ってきてルーカスさんに言った。


「気をつけてね。お父さんは見送りに来れないけど、『幸運を祈る』って言っていたから……」


「ああ……行ってくる」


 ルーカスさんはぶっきらぼうな感じで応える。


「トーヤくんたちも頑張るのよ。ルーカスを、精一杯支えて頂戴」


 僕らはアマンダさんの頼みに頷く。それを見て、ルーカスさんは何だか気にくわないような顔をしていた。

 邸の門の前には、スレイプニルを含む馬と、馬車を待たせてある。

 僕らはその馬車に乗り込んだ。


 目的地は、【神殿】テュール。

 ストルムの街から北に進んだ先の『暗黒洞窟』の中にあると伝えられている。

 僕らを乗せた馬車は、静かに『暗黒洞窟』を目指して出立(しゅったつした。

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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