27 光の女王と太陽の寵児
ティーナの焦燥は極限まで高まっていた。
トーヤとミラが共にバルドルの光線を撃ち放ったところまでは良かった。が、それを敵の【神器】に防がれた挙句に、トーヤが矢に射られ、ミラは手負いの少年を抱えたままカタロン皇子との交戦を迎えてしまうとは――状況は最悪だ。
「助けなきゃ……私が!」
スウェルダ海軍の艦を護衛することが、ティーナの役目だ。
だが、もはや自分の持ち場を守ることに拘ってなどいられない。一国の国主と【神器使い】の少年の危機なのだ、自分が出なくて誰が出るというのか。
脇目も振らずに飛び出したティーナにヘルガが鋭く声を掛けるが――少女は振り返らなかった。
「ティーナ!! 周りをよく見ろ!」
アルテミスの矢は彼我の距離を無視して獲物を狙う。先程の矢を目撃したヘルガはエウカリスの能力をそう見抜き、ティーナがその毒牙にかからないよう警告した。
(わかってるよ、お母さん!)
無論、ティーナもそれは理解している。
彼女がこの海上に出てから常時発動している【索敵魔法】は、魔法の導きにより飛来する矢も察知できた。
追尾機能を有するだろう矢は躱せないだろうが、防衛魔法で防ぐことは可能なはずだ。
「っ、来たね!」
その矢は前方から一直線に風を切って迫る。
3連射をもって確実に敵を射止めようとしている敵に対し、ティーナは鏃が肉薄する寸前に防衛魔法を使用した。
ドガガッ――!! と激しい音を立てて緑色の防護フィールドを穿たんとする矢。
付与魔法による加速の勢いが多大な衝撃をもたらし、防護壁ごとティーナを後退させる。
「これくらいッ!」
3連撃を受けきったティーナは獰猛な笑みを口許に浮かべ、再度の前進を開始しようとした。
しかし――。
「これは、どういう……!?」
防衛魔法が解除できない。それどころか、「防衛魔法を纏ったまま移動する」ように、その魔法に干渉することも封じられている。
加えて空中の一点に彼女の防護フィールドは固着され、びくとも動かせなくなった。
つまるところ、ティーナ・ルシッカは自身を守る球状の壁に囚われてしまったのだ。
「闇は停滞の象徴。ルシッカの娘、貴女はもうその場から逃れられない」
4キロメートル先のハーフエルフの少女を見据えながら、エウカリスは独りごつ。
彼女は、銀の長髪に三日月を模した耳飾り、露出が極端に少ない絹のローブといった「女神アルテミス」の【神化】を発動していた。
アルテミスの矢が有する力は、長距離を飛翔し、使い手に超人的な視力を与えることにとどまらない。
毒を含ませたり闇の魔法を込めたり、狩猟の女神の恩恵は幅広かった。
「やりますわね、エウカリス。この戦が終われば貴女の昇格は間違いなしですわ」
女神デメテルの【神器使い】、カロスィナトスは妹へ拍手を送った。
柔らかい笑みをたたえる彼女に儀礼的に頭を下げながら、エウカリスは内心で呟く。
(私は出世のために戦っているわけではないのに。あの人、何も分かってない)
立場や肩書に拘る、保守的で古い考えの女――それがエウカリスのカロスィナトスへのイメージだった。
カタロンの理想を実現する際の、障壁になり得る存在。帝の下に生まれながら、権力だけを貪って理想を忘却した、腐敗の女だ。
(腐敗、は言いすぎかもしれませんが。しかし……)
戦争は始まってしまった。もはや敵味方問わず大量の死者が出ることは避けられない。
彼女の祈りは届かなかったが、届かなかったならそれなりにやるべきことをやるのだ。
たとえ未来の障壁になるだろう女が味方でも、今は手を取り合っていかねばならない。
「プシュケお姉様。海軍大将殿の到着は?」
「んー、あと2時間はかかるかしら。でも彼の出番が来るとは思えないけど」
神ヘルメスの【神器使い】である皇子は、派手なメイクに彩られた美顔に不敵な笑みを纏った。
味方の声を他へ届ける能力の他に、彼自身から他者の脳内に声を届け、また相手の思考を受信することも「ヘルメス」の神器は可能としている。
旗艦のデッキに佇んでいるだけのように見えて、彼の頭の中では常に多方面との通信が行われており、その働きはマギア軍の要といえた。
「長期戦は勘弁ね。アタシの頭がパンクしちゃうから」
言外にヘルメスの能力に頼りすぎるなと警告してくるプシュケに、彼の側近やエウカリスらは頷きを返した。
敵の【神器使い】さえ落とせば、マギアを阻みうる存在はなくなる。
現在交戦中のカタロンの勝利を願いながら、エウカリスはその眼を前方4キロメートルの上空へと据えるのだった。
*
灼熱を宿すカタロンの波状剣の一撃目を、ミラは自身の細剣で受け止める。
刺突に特化した剣をこうして防御に用いられるのは、彼女が発動している付与魔法による耐久性の強化があるためだ。
「っ……!」
少年の細腕からは想像できないほどの膂力。
激突による衝撃が腕を伝い、ミラの肩を軋ませる。
浮遊魔法による飛行が実現する、上空での剣戟。魔力切れが敗けに直結するその状況で、ミラもカタロンも躊躇なく魔力を剣に込めてぶつかり合っていた。
「この剣を受けて無傷の武器を見たのは初めてさ。でも……何度も対応できるとは思わないことだね!」
眼前の女が持つ力に瞳を輝かせたカタロンは、剣を振りかぶった。
二撃目。
真紅に燃え上がる剣の炎が柱となって天に屹立し――空にぎらつく太陽から、魔力を得る。
(大技!)
二撃目にしていきなり大技を出す敵の手に驚嘆しつつも、彼女はその隙を見逃さなかった。
どんな大魔法にも「溜め」の時間は存在する。それが数分かコンマ一秒か、それぞれ差はあれど、必ず。
眦を吊り上げ、ミラは吼えた。
「ああああああああああッッ!!」
この土壇場で成功できるかは分からない。
いや――成功させるのだ。何としても、光属性のものではない「彼女のオリジナル」の魔法を!
腕に抱える少年の重み。それこそが彼女を縛り、同時に力を与える唯一無二のもの。
彼を守りたい。彼のように強くなりたい。もう国を壊されたくない。ミラ・スウェルダは――彼と肩を並べられる、「英雄」になりたい。
トーヤは言っていた。魔法を生み出すのは常にイマジネーションなのだと。
人の知恵と想像力が、新たな技を形成するのだと。
(私が目指すのは、暗い闇を引き裂く稲光!)
叫んだ瞬間。
彼女の脳内で電気信号の網がスパークの連鎖を起こし――指先まで迸った魔力が【神器】まで伝播すると、その切っ先から稲妻を発生させた。
――雷が、昇る。
カタロンの両眼が限界まで見開かれる。
これまで【神器】がもたらすそれ以外は扱えなかった少女が撃つ、初めての魔法。
青白い輝きに視界を塗り尽くされ、皇子が歯噛みする中――ミラは彼へと突撃を敢行した。
「さあ、観念なさい!!」
全力をもって浴びせられる言葉。女王の覚悟が込められたその声に、カタロンは震えた。
なんて面白い。なんて恐ろしい。なんて、強い人なのだろう。
感銘を受けた。欲しいと思った。彼女のような人材が、自分の目指す世界に必要なのだと直感的に理解した。
それでも――立場が違う。所属が異なる。見据える場所も、きっと別だ。水と油のように決して混じり合わない対岸に、ミラはいる。
ならば、この剣で手折るほかにない。理想に対立する理想を排除しなくては、それを完全に実現することは叶わないのだから。
紅炎と白光の剣が振り下ろされる。
女王のレイピアが皇子の胸へと突き出される。
一瞬――だが、カタロンとミラには絶対的な条件の差があった。かたや最大限に能力を発揮できる状態にあり、かたや荷物を抱えての戦闘。必然、「重石」を抱える後者の動きは鈍る。女王の速度がその瞬間に音速を超えたとしても、彼女が少年を庇うことに僅かでも意識を向ければ、致命的なラグが生まれる。
昇る雷撃、その直後に肉薄するであろう王女の細剣。
二発来るのなら、どちらも纏めて焼き払うのみ!
「【太陽神の紅炎】!」
獄炎と閃光が降り注ぐ。
天空から海上までを両断する一刀に、カタロンは自身の勝利を確信した。
女王の絶鳴と、声を上げることも許されずに灰と化す少年。彼が想定していた一秒後の未来は――しかし、現実になることはなかった。
「なっ!?」
驚倒の声が虚空に響く。
女王の雷撃は彼の紅炎に相殺され、彼女の刺突は間に合わずに彼に燃やし尽くされたはずだった。
が、光が途切れて見えたのは空中に散る灰ではなく――澄み切った海の青い色だけであった。
――どういうこと? オレの攻撃は、当たっていなかった?
悲しいかな、彼の推測は正しかった。
直後、背中に走る激烈な熱に彼は絶叫する。
振り返ったその時に彼が視界に捉えたのは、宙に滴る自身の鮮血と、しなるレイピアを振り抜いたミラ・スウェルダの姿であった。
――何故……君の「荷物」はどこへ消えた……!?
ミラの左腕が抱えていたはずのトーヤは、どこにも見えない。
激痛に顔を歪め、浮遊魔法を維持できず仰向けに落下していく少年は、その窮境下でも自分が斬られた理由をおおよそ正しく理解していた。
おそらくミラ・スウェルダには、トーヤを手放せば速度でカタロンに勝るという確固とした見込みがあったのだ。彼女はトーヤの命とカタロンの命とを天秤にかけ、敵の将である後者を選び取った。
――愚かだね、ミラ・スウェルダ。オレは転移魔法を使える、海面にぶつかる前にそれさえ発動できれば……!
カタロンは傷を負いはしたが、それはトーヤの命と比べたら些細なものだ。
【神器使い】の中でも有数の実力を誇る少年が死ねば、戦況はマギアの有利により傾く。
「ふ、ふっ……【転送魔ほ――」
ほくそ笑み、魔法名を唱えんとしたカタロンだったが、しかし。
喉元を何者かに掴まれ、それは未然に終わってしまった。みるみるうちに離れていた太陽の位置も、動かなくなる。
自分が何者かに受け止められ、動きを封じられたのだとカタロンはすぐに悟った。
「残念だったな、皇子様よぉ」
粗野な口調で告げてくるその誰かに対し、カタロンは顔を歪めるしかない。
首元を極められ、胴体もがっちりと固定されてしまっている。身動きは取れそうにない状況だった。
カタロン同様仰向けになってホバリングしている少年――リルは、どうにか間に合ったな、と一息ついた。
「おい、兄貴! そっちはどうだ!?」
「大丈夫、ちゃんとキャッチしたよ! 彼の命も、急いで治療すれば持ちそうだ!」
海上すれすれの所で浮遊しているエインは、弟分を見上げて返答する。
彼らが着用する装備は、アナスタシアとアズダハークが共同で【超兵装機構】を改良した新装備、【ヴァルキリー・究極式】。究極という名を冠しているだけあって、その機体は陸海空全てでの戦闘を可能としていた。
水中戦闘のために全身を覆った薄いスーツに、極限までの軽量化を図り急所のみを覆った装甲。背面に取り付けられた箱のような装置には、魔力を燃料として動くエンジンや小型の酸素ボンベが搭載されている。背から伸びる薄型の翅は、浮遊魔法と同質の魔力場を発生させ、彼らの空中機動を実現していた。
「さ、お持ち帰りだ! 皇子を抱えてるこっちは大丈夫だろうが、兄貴の方は敵も躊躇せずに撃ってくる! 何か感じたらすぐに水中に身を隠せよ!」
「分かってるって! 最初から帰路も海中にするつもりだったから!」
エインは呪文を短く呟き、トーヤの頭を酸素の詰まった泡で包んだ。
命属性と水属性の合わせ技である【水の呼吸】は、彼がティーナに教わっていたものである。
スイッチ一つでボンベとゴーグルを装着したエインは、リルの忠告に快活な返答をよこすとすぐさま海へ潜り込んだ。
水中を地上と変わらない速度で進んでみせながら、エインは並行してトーヤへ治癒魔法を施していく。
(トーヤ君は傷を負ってしまったけれど、カタロン皇子を捕らえることができた。あとは、無事に帰れるかどうかだけど……)
気泡越しに覗けるトーヤの顔色はエインの治療もあって早くも良くなってきていたが、喜んでばかりではいられない。戦場で楽観的な予測など禁物だということは、彼も既に学習していた。
そして、その危惧通り、背後より接近してきている敵部隊の魔力光線が、彼の背面の動力源を狙撃せんとし――
(ぼくと【究極式】の力ならば、このくらい!)
背後を振り返ることもなく敵の魔力反応を鋭敏に捕捉したエインは、防衛魔法を発動して後方からの光線を拒絶する。
何条も重なる光線の集中砲火。しかし、彼の防壁はその全てを遮断した。
赤く、鈍く光る防壁は、敵の白光が少年に届く前に吸い取っていく。
敵艦の狙撃手たちが驚愕の声を上げる中、エインの姿は彼らの射程圏内から徐々に遠ざかっていった。
「何をしている、早く撃て!」
「し、しかし――先ほど敵艦隊を潰滅させた際に、蓄えていた魔力の大半は消費されています!」
「ちっ……貴様らそれでも魔導士か!? 足らないなら自前の魔力でどうにかしてみせろ!」
マギア側がもたついている間にも、目標との距離はどんどん離れてしまっている。
折角の好機を逃すわけにはいかないと、壮年の指揮官が部下たちを怒鳴りつけ、彼らによる第二波が撃ち出された。
(っ、また!? 思ったよりペースが早い!)
力いっぱい水を蹴り、翅がもたらす加速も最大出力にして敵から逃れんとしていたエインだったが、間を殆ど置かず放たれた光線に意表を突かれる。
彼の赤い防壁上に広がる波紋。中央の一点のみに集中して左右正面の全方向から注がれる光線に、エインの耳は決して捉えてはならない音を聞いた。
(――まずい)
亀裂が走る。敵光線による一点突破が、少年の背を穿たんとしていた。
*
「か、カタロンがっ……!? どう致しますの、プシュケ!?」
【太陽の寵児】の敗北に、最初の悲鳴を上げたのはカロスィナトスであった。
ヘルメスの【神器使い】としてこの場で最も最新の情報を掴んでいる女装の皇子は、姉からの問いにも飄々と答える。
「んー、ここからあの坊やを撃てるのはエウカリスちゃんしかいないわけですけど、あの子の矢は必中ですからねぇ。下手に撃ってカタロンちゃんを死なせるのも、困るし……。交渉を持ちかけて、こちらの捕虜と交換って感じかしら」
「待ってください、お姉様! こちらは敵艦を魔導砲で潰滅させています、捕虜などそもそもいませんよ!」
「……そんなの分かってるわよ。プラグマお姉様がしくじりさえしなければ、カードは十分だったのだけれど」
「じゃ、じゃあどうしますの!? 何か策はおありなんでしょうね!?」
エウカリスの指摘に唸り声を返すプシュケは、カロスィナトスに視線を向けた。
デメテルの【神器使い】として彼女は軍籍を置きながら、戦場での実績が何一つない。彼女の主戦場は政治の場――そこでは保守派の新鋭として持て囃されているようだが、この場では一切関係ない。
彼女という政府とのパイプを欲したカタロンの考えは、プシュケには間違いだと思えなかったが、船上で喚き散らすその姿には溜め息を禁じ得なかった。
「フォスちゃん、スキアちゃん。アンタたちはカタロンちゃんに最も寵愛されていた部下、そうだったわね?」
プシュケがカタロンの代役として挙げたのは、若き猫人の兄妹であった。
金髪碧眼に白い肌の妹と、黒髪に碧い目をした褐色肌の兄。主が敗れて茫然自失となっていた二人だったが、プシュケの呼号に肩を跳ね上げた。
「は、はい!」「ミ、ミャーたちに出来ることは何でもやりますニャ!」
「なら良かったわ。じゃ、決めてちょうだい。カタロンちゃんなら現状をどう打開するか――アンタたちなら理解しているでしょう?」
一転して緊張の面持ちになる二人に、プシュケは全ての指揮権を預けた。
その選択に誰もが耳を疑う。カタロンの代打はエウカリスかプシュケのどちらかだという、兵たちの予測は裏切られた。
「…………」
皆の視線を一手に受ける兄妹は絶句する。
本当に自分たちに出来ることなのか。自分たちの実力では、不相応な立場なのではないか。失敗したらどうなる。カタロンを救えずに、彼の名を損なう結果となってしまったら――。
渦巻く不安に押しつぶされようとしている二人にプシュケは歩み寄り、その背中を力強く叩いた。
「しゃんとしなさい! 一応説明しとくけど、アタシはあくまで通信係であって、艦全体の指揮まで頭を回す余裕はない。エウカリスちゃんもカロスィナトスお姉様も、【神器使い】として戦闘に注力させたいわ。
それに……この艦の兵たちと付き合いが長いのは、アンタたちでしょう。その経験を信じなさい」
カタロンは艦隊の兵たちと非常に距離を縮めていた。そのことは、彼の不在という状況において普通の艦隊よりも兵の動揺を大きくしてしまった。
「お客様」として参加しているプシュケやエウカリスでは、その欠落を埋められはしない。
この危機を乗り越えられるのは、艦の兵たちと絆を紡いできた二人の副官しかいないのだ。
弱気な逃げ道などどこにもないのだと、スキアは認めるしかなかった。
自分に相応の才能があるかは分からない。だが、やるのだ。主に代わって奇跡を起こす、その大役を。
「……了解、いたしました」
兄がプシュケに敬礼したのを横目に、フォスは猫耳の生えた頭を抱えて苦悶する。
「でっ、でもミャーは頭脳仕事は苦手だニャー!」
「指揮は私が執る。お前は補佐――いや、戦場に直接出るんだ」
そんな妹へ揺るぎない口調で命じたスキアは、早くも指揮者としての顔に変わっていた。
黒髪褐色の猫耳の彼は小柄であったが、その瞬間、エウカリスをはじめとした同乗者には彼の立ち姿が確かに大きく見えた。
「ニャニャっ! だったらミャーも頑張っちゃうのニャー!」
碧い目を爛々と輝かせ、フォスは八重歯を覗かせて笑う。
デッキ上を軽快にスキップする彼女が向かう先は、艦後方にある『格納庫』だ。
「ミャーの取っておきの発明をスウェルダ軍に見せつけてやるのニャ! 覚悟しとくのニャ!」
先程の緊張はどこへやら、次の戦闘に胸を踊らせるフォス。
彼女を見やりながら、スキアは早速指示を飛ばしていく。
「全艦、前進! 敵艦隊への砲撃は威嚇射撃に留め、接触からの突撃を仕掛ける!」
【日輪の白猫】と【月輪の黒猫】――軍内でその異名を知らぬ者はいない二人の中佐は、主の不在を埋め合わせるべく奮起するのであった。




