23 復讐の銃弾
『――甘い』
ミウたちが展開した防衛魔法を、甲冑の竜人はその一言で切り捨てた。
血濡れの大剣が真紅に輝き、激突した側から防壁の魔力を吸い上げていく。
強固な防御は一瞬にして紙切れと化し、儚く散った。
「そんな……!?」
少女らの目があらん限りに見開かれる。
ミウは緑の破片となって掻き消えた防壁を前に、『雷剣カラドボルグ』を掲げて振り下ろされた竜人の刃を受け止めようとした。
が――みしり、と。
伝説の武器が軋みを上げ、上からの圧倒的な力に沈んでいく。
「ぐうぅッ……!?」
腰を沈め、両足を踏ん張って竜人の刃を支えていたミウ。
しかしその細腕では、血と魔力を吸い上げて重量を増した剣を受け止め続けるのも不可能だった。
『終わりだな』
竜人は笑みすら浮かべずに呟き、宣告する。
彼女は全体重を掛けて押しつぶさんばかりの勢いで、止めへと入った。
執念に満ちた瞳はミウの腰にある『宝玉』へと据えられている。
もう少し、もう少しで手に入る。竜の瞳から作られた、至上の魔法道具が。
尊崇する同胞の力を渇望し、手を伸ばした竜人は――横槍に入った光の軌跡を横目に、舌打ちを放った。
『ちっ、邪魔をしてくれる……!』
バルドルの神器使いの攻撃。知識にない魔法ではあったが、力を手にして間もない若造の技など実に他愛ないものだ。
彼女は瞳に赤い光を宿し、同時に全身を包む同色のバリアを発現させる。
「よし、これでやったわ!」
「――いいえ、見てください! あれに、殿下の魔法は効いていない!」
ミラが先走った歓喜の声を上げ、すぐさまエミリアがそれを否定する。
彼女らの目に映っていたのは、竜人の防御がバルドルの光の刃を完全に遮断した光景だった。
ミラ・スウェルダの現在持ちうる最大の攻撃は、あの甲冑の竜人には通用しない。
無力を痛感する赤毛の王女だったが、彼女は希望を捨ててはいなかった。竜神に防御を強いたことで生まれた隙――この一瞬が、ミウの命運を分けた。
「っ、感謝します殿下!」
雷剣カラドボルグを引き、素早く後退するミウはミラへ礼を言う。
退避を選択したミウを竜人は忌々しげに睥睨した。狙われている王女を守るように各族長らが壁になった様を見て、彼女は舌打ちした。
『ちっ……どうしても、寄越さぬというのだな』
じり、と一歩ミウへと詰め寄る竜人。
彼女の瞳に滾るのは、圧倒的な憤怒だった。人の命や『エキドナ』の野望など、どうだっていい。願うのは魔導士に奪われた力を取り戻すこと、それだけだ。
幾人の命を刈り取って力を増している黒の大剣を中段に構え、竜人は突撃体勢に入った。
膨れ上がる殺意。空気を震わせ、弱き者の膝を屈させる威圧的な魔力。
「ぅ、ぁ……っ!」
「……く、そッ!?」
サクの喉からか細い悲鳴が漏れ、リトヴァも意思に反して身動きの取れない身体に悪態を吐いた。
『ならば――死ね』
石の舗装を踏み削りながら猛進する竜人の女を、ミウ・ルノウェルスは逃げずに見つめていた。
距離が詰まるのは刹那のこと。しかし彼女は全ての恐れを捨て、腹の底から声を張り上げて訴えた。
「これを返せばいいんでしょう!? これを返せば、あなたは満足して去ってくれるのよね!?」
『――――』
サクやリトヴァの前に進み出たミウの言葉に、竜人の女は道路を抉りつつ停止した。
急ブレーキを踏んだ彼女は、訝しげな目でミウを見下ろす。
得体の知れない怪物の女にも怯まず見上げ返したミウは、腰から『宝玉』を取り出すとそれを竜人の手に押し付けた。
「持っていって。その代わり、この街の人で二度と殺人をしないって約束して」
有無を言わせる口調でそう取り付けようとするミウに、竜人は何を言うこともなかった。
腰のホルスターに宝玉を収めた彼女は、用は済んだとばかりに早急に退却していく。
その背中を見送りながら、ミウは安堵にへたり込んだ。
リザードマンも、甲冑の竜人ももういない。討伐もしくは排除が終わるまでに多大な犠牲を払いはしたが、このスオロから【異端者】の脅威は去ったのだ。
残るは、悪魔マモンだけ。その悪魔も、今頃はエンシオ王子によって追い詰められているはずだ。
「ミウ王女……良かったの? あの宝玉の力は神器にも匹敵するほどのものよ。あんな力を手放してしまっては……」
「いいのよ。私たちがあの竜人を倒せないのは確実だった。この場の皆が生き残るには、これしかなかったの」
ミラに訊かれ、ミウは静かに首を横に振る。
彼女に後悔はなかった。一つの魔道具より沢山の仲間を優先した、それだけのこと。
「私は武器の一つを失ってしまったけれど……ミラ殿下、貴女にはまだ【神器】がある。急いで悪魔マモンのもとへ向かって」
「分かったわ! 悪魔がどの辺りにいるのか、知っている者は?!」
ミウの意思を受けてミラは頷き、周囲の者たちに訊ねる。
エミリアはぐっと前に出て、懐から取り出したコンパクトを開き、それへ目を通した。
「兄は西の通りを200メートルほど外れた路地裏にいるようです。おそらくは、悪魔もそこにいるかと」
彼女の持つコンパクトは、本来鏡があるべきところに周辺の地図、そして登録した人物の居場所を映し出す優れものだ。悪魔に見られていない今は、トーヤらがしていたように音声だけを頼りにする必要もない。
「戦う余力は残っていますね? では、行きましょう!」
走り出すエミリアの後に、ミラやジェード、ユーミなど戦える者たちが続いていく。
彼女らの無事を祈りながら、ミウは状況報告のために防衛省へ戻ることにした。各亜人族の長と共に移動し始めた彼女だったが――その目の前に、一人の少年が姿を現す。
『ミウ・ルノウェルスはあんただな?』
銀色の髪に同色の双眸、抜群に整った美しい裸身。
犬の耳を生やした獣人のような『怪物の子』、オルトロスが彼女へ確認した。
「あなたは、誰なの?」
一言、ミウは訊いた。
腰の『カラドボルグ』の柄に手を当てるミウに、銀髪の少年は小さく笑うだけだった。
『あんたは、悪魔を人から引き剥がす「呪い」を持ってる。命と引き換えに悪魔を払うっていう、ルノウェルス王家の秘術だ。それを使わせるわけにはいかない』
それが彼の名乗り。敵対関係なのだと表明し、牙を剥く。
地面を蹴って突進してきた彼の拳に、ミウは雷剣で応じた。魔力を纏って鉄のように硬くなった拳と、黄金に輝く刃が激突する。
ガキィィ――ン! と軽く硬質な金属がぶつかり合う甲高い音が鳴り響いた。
『へぇ、やるじゃん。神器使いじゃない癖に、強いんだな、あんた』
「それはどうも。でも、戦闘中にお喋りなんて、随分と余裕なのね!」
カラドボルグは持ち主の魔力を吸って、常に雷属性の魔力を発散している。
鞘から抜かれたこの武具は、触れたあらゆるものを感電させる『魔剣』だ。武器商人から入手した最上級品を、彼女は完全に自分のものとして使いこなすことが出来る。
バチッ、と鋭い音の後――少年の生身の体がびくんと痙攣した。目を見開き、同時に拳の力が抜ける。
「やったか!」
「いいですよ、ミウ殿下!」
確かな手応えに、サクやリトヴァが歓喜の声を上げた。
膝を屈し、オルトロスは怒りに燃える目でミウを睨みつける。その瞳に見据えられたミウは――ある違和感を覚えた。
吊り上げられた眼は怒っているように捉えられるが、瞳の奥の感情は果たしてどうか。悪魔を倒しうる可能性を持ったミウに対し、敵はこんなにもあっさりと倒れるような戦士を送り込むだろうか。
「いけない――」
『気づいたか!? だけどもう遅い!』
口元に笑みを刻み、オルトロスは手のひらを高く掲げた。
ミウが咄嗟の直感で飛び退った直後――白熱と共に、少年の手から青白い雷の渦が放たれる。
彼の隠し玉こそが、受けた敵の魔法を一度だけそのまま使えるという魔法。敢えて正面から突っ込んでいったのは、これを使用するためだったのだ。敵が強ければ強いほど、反撃のこの技は効果を上げる。
「っ、【破邪の防壁】!」
その魔法に誰よりも早く対応したのは、ダークエルフのリカール・チャロアイトだった。
【ユグドラシル】時代に女神ネメシスの【神器使い】として生きた青年の直系の子孫である彼は、ティーナやヘルガにも匹敵する実力の魔導士である。
「【復讐の銃弾】!」
純白の防壁で己と仲間を守り、間を置かずに次の魔法へ移る。
彼が懐から抜き出した魔道具は、漆黒の銃身のリボルバー。その撃鉄を起こし、王女に仇なす敵への怒りを魔力へと変え――リカールは先祖から継承した奥義を撃ち放った。
紫紺の弾丸が高速回転しながら、一直線にオルトロスへと飛来していく。
(フン、そんなもの――)
オルトロスの目にはその弾丸が見えていた。自分のスピードなら避けられると確信もしていた。
勝気に笑い、その場に伏せて弾丸を回避しようとした、直後だった。
彼の目の前で、たった一発の弾丸が八つに割れたのは。
『――――!?』
声を上げることも不可能だった。
八つに増えた弾丸はそれぞれ別の軌道に変わり、怪物の子の動体視力をもってしても全てを完璧に捕捉はできない。
伏せた姿勢のまま防衛魔法を発動するが、驚愕に揺れた心がその力を弱めてしまう。
前後左右、あらゆる方向から襲いかかった紫紺の銃弾が彼の防壁を穿ち、その裸身に八つの弾痕を刻んだ。
『ぐああッ――!?』
オルトロスがこの都市に現れて始めて上げた悲鳴。
撃たれたのは実弾でなく魔力の弾であり、高い魔力耐性を持つ少年を一撃で絶命させることは叶わなかったが、それでも彼の動きを止めるには充分だった。
両肩、両腿、腹、胸、首、頭……急所を含む八箇所に弾丸を食らいながら少年が命を保っている光景に、リカールは瞠目する。
だがすぐに平静を取り戻すと、彼はオルトロスへ歩み寄って見下ろした。
「お前が何者なのか……それはこの際、もういい。王女を殺害しようとしたその行為は万死に値する。裁きを受ける前に、言い残したことはあるか?」
リカールは古来から人との関わりが薄いダークエルフ族に生まれながら、人間を知っていたし尊重もしていた。
これからの時代は人と手を取り合っていかないと生き残れない。それを弁えていたからこそ、彼はミウを全力で守った。
そんな青年を見つめ、ミウは呟く。
「あの魔具は……?」
間違いなく【神器】と同等の力を持っている、とミウは推察した。
彼女の目は正しく、リカール自身も知らなかったことだが、彼の銃は女神ネメシスの銃そのものだったのである。しかし『アスガルド神話』にネメシスの名前はなく、先祖代々伝わる銃の出処も時代の中で風化してしまっていた。
これまで知られていなかった新たな【神器使い】――それが、リカール・チャロアイトという人物の正体だったのだ。
知らなければ対策のしようがない。オルトロスが敗北を喫してしまうのも、無理はなかった。
『そんなこと、ない……。戦いの後に残るのは、結果だけ。そこに私情を挟む理由なんか、ない』
リカールの問いに、オルトロスはそう語った。
彼の住む世界では、人は強者か弱者に分かたれる。自分が後者の側に蹴落とされただけのこと、と少年は口にした。
――戦って、戦い続けて、最後には負ける。戦士というのはそういうものだ。でも……本当に、これで終わって良かったのか? オレは、何かを成すことが出来たのか?
言葉に反して彼は疑念を抱き、そして悔いていた。
オルトロスは戦うことで自分の価値を証明していた。ただひたすらに、生きるために『飼育者』の女の下で任務をこなしてきた。
そんな自分が負けたら、その後はどうなってしまうのだろう。少年はそう考えずにはいられない。
「ならば……あとは死ぬのみだな」
リカールは腰の短剣を抜き、宣告した。
うつ伏せに倒れるオルトロスは、その刃を見ることもできない。言葉と、臭い――数分と待たずに訪れる死の気配を感じ取った彼は、心の底から湧き上がる震えをどうしても抑えられなかった。
ミウ、サク、リトヴァの三名が固唾を呑む中、唇を引き結ぶダークエルフの青年は刃を振り下ろし――。
『オレは――死にたくない』
その肉声に触れたリカールの手が、止まった。
悪は断罪しなければならないと理屈では分かっていながら、止まってしまった。
「リカールさん――」
「あの優男ッ……!」
サクが胸を抑えて顔を歪め、リトヴァは苦虫を噛み潰したような顔で唸る。
ミウは少年と青年との僅かな隙間を見つめ、無言でいた。
その弱さがミウには痛いほど共感できた。正義の味方を気取りながら、冷酷になれない――正義を為すにはどうしても必要な冷酷さが、彼には欠けているのだ。
心優しい先祖の性格まで受け継いでしまったリカールには、今のオルトロスを殺せない。ボロボロになり、生命を渇望している彼からそれを奪えない。
「……っ」
彼が動きを止めた、その瞬間。
「しくじったのは罰すべきでしょうけど……それも免除してあげるわ、ワンコちゃん。まさか、まだ未知の【神器使い】がいたなんて思ってもみなかったわ。上出来よ」
拍手しながら近づいてくる女の声が、リカールらの耳朶を打った。
桃色のドレスを纏った金持ちそうな風貌の女だった。恐らくは、商人か。
彼女は杖のひと振りで【転送魔法陣】を発動し、オルトロスをどこかへ転移させた。
「ダークエルフの貴方。貴方も排除しなくてはならないわね。ふふっ……お名前を聞かせてくださる?」
「貴様などに名乗る名はない! 貴様も、『組織』に与する者なのだろう!?」
女に訊ねられるが、リカールはそれを正面から突っぱねる。
切れ長の黒い眼差しに凄まれ、「あら怖い」とレヴィアタンの操り人形たる女は冷笑した。
神器のリボルバーを構えるリカールに対し、女は相手をする気などさらさらなかった。
「この体じゃ勝てないのは目に見えてるわ。貴方の相手はまた今度。うふふっ……」
弓なりに目を細めて笑う女は、自らの足元に【転送魔法陣】を展開し、それから言った。
「この騒動は単なる前哨戦に過ぎない。マモンも【異端者】どもも全部アタシの布石、駒でしかないのよ。貴方たちはこれから、もっと面白いものを見ることになる。楽しみにしておいて?」
その台詞を最後に、女はミウたちの前から姿を消した。
彼女の発言の意味を考えるミウの側で、リカールはなぜ自分が少年に止めを刺せなかったのか自問していた。俯き無言になる彼を心配そうにサクが見つめ、リトヴァは絶えず周囲に注意を払っている。
「怪物たちは全部いなくなって、この都市の脅威が悪魔マモンだけになった。でも、まだ終わらない……次なる脅威が出てくる……あの人の言うことは、そういう意味なんでしょうか」
「うむ……そうだろうな。備えておくのは大事だが、考えすぎても予測できんものはできん。今は目下の課題――マモン討伐に集中だ」
サクの確認にリトヴァが頷く。ドワーフの女はダークエルフの青年を一瞥しながら、言った。
「リカール! 今回は手前の負けだ。まさかあんな力を隠し持っているとは思わなんだ。だが、次こそは手前も格好のいいところを見せてやるぞ!」
「何が言いたい、ドワーフ?」
リカールにじろりと睨まれるが、リトヴァは気にせずに笑い飛ばした。
彼のもとに近づいて肩をぽんと叩き――身長的に届かないので実際は肘のあたりだったが――、彼女は穏やかな口調で言った。
「お主を尊重している、と言いたいのだ。悪人を殺さなかったのは責められるべきことだが、子供に命乞いされても何も思うなというのも無理な話よ。それ以上気にするな、リカール。お主が人として普通の感性を持っていただけのことなのだから」
黒い長髪の美青年は、線の細い横顔に自罰の感情を色濃く滲ませていた。
そんな彼にリトヴァは『赦し』を与える。仕方のないことだったのだ、と。
「……ドワーフというのは、随分とお気楽で大雑把な一族らしい」
「はっ、エルフが繊細すぎるだけにも思えるがな」
あわや一触即発か――サクは思わず二人の間に割って入ろうとするが、リカールの顔を見てそれを止める。
無愛想な真顔。笑いはしていないが、敵意や怒りも覚えていないようだ。
「王女殿下、急ぎましょう。怪物の脅威が去った今、大本営のカイ陛下たちも出撃する余裕が出てきましたからね」
「ええ、その通りよ」
リカールの促しに応じ、ミウは彼らを先導して走り出した。王女を護衛する騎士のごとく、リカールたちは彼女についていく。
――どうやら、私が持つこの魔具は【神器】であるらしい。ならば私も【神器使い】としての責務を果たさねば……!
リカールは神器使いとしての立場を自覚し、悪魔討伐への意志を固めた。
ミラ・スウェルダに続き登場した新たな【神器使い】は、今後の三国のパワーバランス及び対組織において大きく影響を与えることになる。
*
「亜人族では二人目の【神器使い】、ですか。なかなか厄介そうでしたが、レヴィアタンの敵ではありませんね」
フィンドラ王国首都フィルンの、リューズ商会フィルン支部。
その執務室にて、ドリス・ベンディクスは一人呟いていた。
彼女のもとには今、傀儡の女からリアルタイムで情報が届けられている。それを元に今後どう動くかドリスは判断しようとしていた。
「マモンを助けるべきか、切るべきか……。私が思っていたよりも、あの男は力に溺れていたようです。その点については貴女も同意でしょう、レヴィアタン?」
『ええ、まぁね。アタシも同感。切り捨てていいんじゃない? そもそも、神器使いがうじゃうじゃいる所にちょっかいかけようってのが間違ってたんだから』
悪魔と考えを共有し、次の動きの方向性を粗方決定する。
マモンは判断を間違えたが、それは決して無駄にはならない。彼の行動はレヴィアタンの計画の礎となってくれたのだ。ドリスもレヴィアタンも、そのことには感謝しかない。
「怪物どもはまだ使えますか?」
執務机に着くドリスは、側で書き物を行っていた部下へ訊ねた。
【異端者】の戦士たちに余力があることを確認した彼女は、口許にニヤリと笑みを浮かべる。
「……うふふ。ではゲームを始めましょうか、坊や」
脳裏に黒髪の美少年の顔を思い描きながら、ドリスは彼へ宣戦布告する。
少年がそれを知るよしもなく、彼女の計画は静かに進行していくのだった。




