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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第10章 【強欲】悪魔マモン討伐編/【嫉妬】悪魔レヴィアタン討伐編

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21 『怪物の子』の力

 エンシオに訊ねられ、オリビエの身体を借りたマモンは何食わぬ顔で答えた。 


「怪物を追いかけて路地裏に入ったら、道に迷ってしまってね。いやはや、本当にこの街の路地裏は入り組んでて大変だ。迷路でも歩いてるような気分だったよ」

「茶番はいい。お前が悪魔マモンなんだろう、防衛大臣」


 茶髪の美青年はきっぱりと言い切る。

 オリビエへ指をさすエンシオは彼を睨み、腰から黄金の剣を引き抜いた。

 それでもマモンは肩を竦めて苦笑した。

 認められはしない。どうにか言い逃れ、もう少し時間を稼ぐ必要がある。


「冗談にしては面白くないし、物騒だね。ユーモアの欠片もありは――」

「黙れッ! お前が悪魔なのか、と聞いているんだ。これ以上の言い逃れをするなら、宿主ごとお前を殺すぞ、マモン!」


 拳を近くの壁に打ち付け、エンシオが激高した唸り声を発する。

 その瞳に宿る憎悪は、あのヘルガ・ルシッカのものとよく似ていた。――彼もまた、悪魔を何よりも憎む人間なのだ。


「ははっ……あはは、あはははははっ!! 君は悪魔が嫌いなんだね? でもそれは、真に君の意思によるものなのかな? 自己という主体を持たない人間に何を言われようが、僕は諦める気なんてさらさらないよ!」


 こういう相手には正体を隠すよりもひけらかした方が面白い。

 マモンは青年を煽るように手を叩きながら、高らかに嘲笑した。

 悪魔のそんな態度に対し、エンシオは冷めていた。先ほどの激情から一転、溜め息を吐く彼は悪魔へと剣を突き付けつつ言う。


「考えに主体がないのはお前だろう、マモン。お前だって結局は、リリスの言いなりだ。あの女が神を憎むから、あの女がイヴの世界を破壊しようと願ったから……お前の行動原理はそこに終着する。自由意思を持たない機械人形はお前だ、悪魔。

 それに――俺は俺という自己をしっかりと持っている。エミリアや父上、臣下や民たち、トーヤたち【神器使い】、ルノウェルスやスウェルダの者たちが平和に暮らす理想を求めている。俺はこの世界を愛し、この国を慈しんでいるんだ。それは紛れもない俺の意思だよ」


 エンシオ・フィンドラは現実主義者リアリスト)気取りの理想主義者。

 カイ・ルノウェルスと本質的に願う部分は同じ。だが、彼はカイにはない汚さを知っているし、切り捨てねばならない犠牲がなくならないことを認めている。

 マモンはエンシオという男をよく知らない。しかし、こうしてまみえた数分で彼は青年のことをいたく気に入っていた。


「なるほど、それは素晴らしいね。ふふ……壊しがいがある魂じゃないか」


 彼は殺さない。ここで生きたまま屈服させ、次の宿主にする。

 そう決めたマモンは、杖を抜きざまに無詠唱で魔法を発動した。

 敵の挙動にエンシオが咄嗟に飛び退った瞬間――青年がそれまで立っていた地面には、一輪の氷の花が咲いていた。その白銀の百合を中心に、氷はどんどん広がって地面を塗り尽くしていく。


「この魔法はね、ティーナ・ルシッカのものを真似てみたんだ。残念ながら奪うことは叶わなかったけど、見よう見まねでもこのくらいならお手の物さ」


 せせら笑いながら悪魔は舞う。

 路地から上空まで浮遊魔法で飛び上がったマモンは、氷の魔法をエンシオの走る先々に展開し、彼の移動を強引に制限する。

 杖のひと振りで氷の剣山が生み出され、飛び越えることも不可能な障壁が完成した。


「ちっ、こんな氷……!」


 舌打ちするエンシオは剣に炎を灯し、それを目の前の氷柱に斬りつける。

 が、その氷に刃が触れた瞬間――フレイの『勝利の剣』の火炎は勢いを弱めた。

 氷柱を溶かせずに消失してしまった炎に、エンシオは瞠目する。


「まさか、魔力を『奪って』……!?」

「ふふ、その通りさ」


 驚愕している王子を見下ろし、マモンは哄笑した。

 悪魔が生んだ氷の檻――ティーナの魔法をアレンジした彼の技は、近くの魔力を吸収して強化される特性を有していた。

 もちろん、剣などの物理攻撃は効く。が、これだけ太く長い氷柱を破壊するのは一筋縄ではいかない。青年が氷柱に手間取っている隙に倒す、それがマモンの戦術だった。


「さぁ、突破できるかな?」



「戦況を報告致します! 都市西から中央にかけての大通りに出現した怪物の半数は討伐されたとのことです! 残る怪物はリザードマン、ガーゴイル、ハーピィ、ラミア等、『亜人型』の種が多数。いずれも高い知性を持つ【異端者ハイレシス)】ではないかとの情報が入っております!」


 ルノウェルス国防衛省の本部にて、各王の集う会議場に兵士が駆け込んできて報告する。

 その報せに王たちは内心で安堵しつつも、事態をそこまで甘く見てもいなかった。

 ――今はまだ順調に進んでいるだけ。まだ悪魔が残っているし、【悪器】を使うらしい怪物が追い詰められて火事場の馬鹿力を発揮する可能性だってあるのだ。


「分かった。他に報告はないか?」

「そ、その、カイ陛下。申し上げにくいのですが……」

「何だ? いいから言ってみろ」


 伝令に訊ねるカイに、もう一人の兵が歩み出て彼の前に跪く。

 焦燥を胸に答えを催促するカイだったが、次にもたらされた宣告に顔の血の気を引かせた。


「そんな……嘘、だろ? 嘘、だよな……?」

「誠に残念ながら、嘘ではありません。先ほど、エル殿とルプス殿の両名から報告がありました」


 あくまで事実を淡々と伝える伝令兵。彼だって信じられない思いで一杯だ。だがそれでも、王のためには真実を告げるしかない。


「そう、か。承知した。オリビエはどこに行ったんだ?」


 カイの問いに応じたのは伝令でも防衛省の職員でもなく、アレクシル王であった。

 

「南西の路地裏にいるようだ。今、エンシオが相対しているよ」

「アレクシル陛下……まさか、これを予測して?」


 カイ・ルノウェルスはまだ若いが一人の王だ。彼は家族同然の旧友が悪魔に憑かれていたと知っても、その動揺を引きずらずに冷静さを纏い直す。

 アレクシルもそれを心強く感じながら、彼の質問に頷く。


「ああ。悪魔に憑かれたのは実力のある魔導士ではないかと、あたりをつけていたんだ。防衛大臣であるにも関わらず、彼が自ら本部を飛び出した瞬間に確信したよ。だからエンシオに尾行させていたんだ。トーヤ君に言わせた『西のメインストリート』という言葉で誘導してね。【神器使い】、とりわけトーヤ君には食いつくだろうと思っていたが、正解だった。彼は私の狙い通り西の大通りへ向かい、トーヤ君らがいないと見るとすぐに路地裏に潜り込んだ。予めどの辺りに出るか誘導できていたから、絶対に怪しまれない遠くからの尾行も上手くいった」


 悪魔マモンの行動は、全てアレクシル王の手のひらの上だったのだ。

 それを空恐ろしく思いながら、カイはアレクシルに続けて訊ねる。


「陛下……貴方はエンシオ殿下とリアルタイムで連絡が取れるのか?」

「ティーナやトーヤ君に持たせた魔道具と同じものを、息子にも持たせた。だから連絡はやろうと思えば可能だが……聞こえてくる音声から察するに、今は戦闘中。お喋りの余裕もなさそうだよ」


 オリビエの肉体に憑依した悪魔が、フレイの神器使いと交戦している。

 もちろん悪魔には討たれてほしい。だが、その戦いでオリビエ自身まで死んでしまわないか……それがカイの一番の懸念だった。

 悪魔アスモデウスに憑かれていたマーデル国の王子は事件の最後、焼け落ちた城の中で命を落としたという。エンシオに限って「宿主」ごと悪魔を殺すことはないと信じたいが――アレクシルがそう指示すれば、彼は迷わず従うだろう。

 憂慮の視線を向けてくるカイに、アレクシルはただ微笑みを返すだけだった。


「心配は不要だ。私の子供たちは、悪魔に負けるほど軟弱ではない」


 王は揺らがない信頼を息子たちに寄せている。

 カイはその不敵な横顔に、まだ見せていない「布石」を彼が打っていたのではないかと思わずにはいられないのだった。



有翼の石像ガーゴイル)人面鳥ハーピィ)を討った――。

 その光景を目撃したエミリアや彼女の部下たちは、驚愕に思わず足を止めた。

 見間違いなどでは断じてない。上空から落下した怪物の死骸から命を奪ったのは、爪を血糊で汚したガーゴイル以外にありえない。この周辺ではあの怪物以外に、ハーピィに攻撃を当てられた者はいないはずだ。


「同士討ち、でしょうか……? あれが【異端者】だとしたら、方針の違いによる衝突?」


 だとしたら好都合だ。あのガーゴイルが暴れてくれれば、怪物らの戦力は勝手に削がれていく。

 

「エミリア様、どうなさいますか?」

「……あのガーゴイル、妙だと感じませんか」


 エミリアは怪物の同士討ちを簡単に片付けなかった。

 彼女は指示を仰いでくる部下へ、逆に質問を投げかける。


「妙、ですか……?」

「ええ。あのガーゴイル、殆ど血を浴びていない。他の怪物は例外なく、人を食らって血塗れになっているというのに」


 彼女の言葉でようやく部下たちもその「違和感」に気づく。確かにガーゴイルの体躯は血化粧で彩られておらず、日に光っている爪の血は今しがたハーピィを倒した時のものだ。


「それだけであのガーゴイルが人を殺めていないと判断するのは、早急であると思いますが……しかし」


 エミリアの直感が、猛烈な違和感を訴えかけてきている。

 あれは怪物だ。人類に害をもたらす、脅威の象徴だ。許してはおけない、悪の権化なのだ。


『…………』


 それでも、無言でこちらを見下ろすガーゴイルから殺気を感じることはなかった。

 怪物を討ち、人に殺意も敵意も向けなかった怪物。そこから導きだされた一つの可能性に至るエミリアだったが、彼女は頭を振ってその思考を追い払う。

 

「行きましょう。リザードマンやラミア等の怪物はまだ残っています。このガーゴイルも、先ほどの甲冑の人物も気になるところですが……優先すべきは目下の脅威です」


 彼女が見据え、ガーゴイルが向かう先――都市の中央通りでは、リザードマンをはじめとする怪物らが暴虐の限りを尽くしていた。

 西の防衛線を突破して中央まで侵入した彼らは、まさしく猛者である。【異端者】の中でも最上位の実力者であることは確実だ。

 白いマントをなびかせてエミリアは疾駆していく。部下を率いて最後の怪物らに挑もうという彼女は、事態がそれで終わるとは微塵も考えてはいなかった。


「エミリア殿下!」


 と、そこで横道から飛び出してきたのはジェードだった。

 大粒の汗を流してエミリアと並走する獣人の少年は、緊迫した口調で彼女へ告げる。


「さっきのガーゴイルは【異端者】で、仲間の暴走を止めるのだと……そう言ってました。俺が直接話して聞いたことです」

「――やはり、そうでしたか」

「し、信用してくださるのですか」

「大変信じがたいことではありますが……彼らに理知があり、それぞれの思想があるのならば、ありえない事態ではないのでしょう。それに、私は君を信じたいのです」


 王女の青い瞳と、少年の翡翠の瞳が交わる。

 エミリアの空虚さを知っているジェードは、彼女の口からそんな言葉が出たことが嬉しくて笑みを浮かべた。

 彼女の肩をぽんと叩き、ジェードは片目を瞑って言う。


「殿下……俺に魔力を分けて貰えませんか。俺の『ベルザンディ』の力なら、あの怪物たちに確実に攻撃を届けることが出来ます」

「構いません。貴方が敵の時を止め、その間に私が攻撃を打ち込む――それでいきましょうか」

「はいっ!」


 二人の神器使いの共同戦線が、こうして開かれる。

 中央広場に辿り付き、兵士たちと交戦する怪物らをその端で見上げながら、エミリアは魔力を少年へ分け与え始めた。



『ガルアアアアアアッッッ!!』


 双頭の巨犬が咆吼し、目の前の獲物へ飛びかかる。

 銀の瞳に戦意を滾らせるオルトロスは、二つの顎に炎を宿し、その牙で食らったものを燃やし尽くそうとしていた。


「【防衛魔法ディフューズ)】!」


 スクルドの神器を掲げ、守りの魔法を発動したシアンは額にうっすらと汗を滲ませる。

 歯を食いしばり、その場で踏ん張る彼女はオルトロスの突撃をどうにか防ぐが、その衝撃の大きさに戦慄を禁じ得なかった。

 緑の防壁を震撼させ、衝撃でシアンの杖を握る手を痺れさせた『怪物の子』の攻撃。

 これを何度も防ぐのは不可能だ。いずれ、限界が来て突破を許してしまう。


「シアンたん! 防御は私に任せて、君は攻撃に専念して! スクルドの魔法、君ならもう一発くらいなら撃てるはずだから! いや――撃って貰わなきゃ困る!」


 ティーナは杖に魔力を込めながら、シアンを鼓舞する。

 先ほどスクルドの秘奥義を発動した彼女には、二発目を撃つだけの余力がない。だが――【心意の力】には魔法を少ない魔力で具現化する効果もあるのだ。魔法の使用者が強く願うことで、その内に眠る力が目覚める。これはヘルガ・ルシッカが悪魔との戦いの中で導き出した事実だ。


「シアン、私からは【風】を! その魔具ブーツ)、久々に役立ててやれ!」


 獣人の少女が防壁を展開している間に、リオも彼女へ言葉と魔法を授けた。

 エルフの王女から【風】を受け取ったシアンは、体に力が満ちていくのを感じながら頷く。

 ルプスも同じ付与魔法をリオから掛けてもらい、シアンとのタッグでオルトロスに挑むこととなった。


「では、行きます!」


 防衛魔法を解除した瞬間、飛び出す。

 鉄砲玉のごとき勢いで双頭の怪物へ迫ったシアンとルプスは、それぞれの得物を敵へと振りかざした。


「はあああああッッ!!」

「おらああああッッ!!」


 少女の足具に真紅の炎が宿り、ルプスの剣は雷を纏う。

 それぞれの頭をかち割らんばかりの攻撃に、オルトロスは顔を上向けるとその口から火炎を吐き出して迎撃した。

 ――だが、そんなものではシアンたちは止まらない。

 身体の表面を膜のように包んだ【風】が彼女らを熱から守り、冷気を孕んだ風は触れるだけで炎をかき消していく。

 オルトロスの抵抗も虚しく彼女らの攻撃は彼の頭まで到達し、その勢いのままに怪物の頭骨をも粉砕した。

 怪物は絶鳴すら上げられず、破砕された頭から血飛沫と脳漿が飛散する。


「ぃよっし!」


 ガッツポーズを掲げるティーナだったが、すぐにその怪物に起こった異変を目にして瞠目した。

 双頭を潰されてもなお、オルトロスの胴体は動いているのだ。それも、頭を失う前から全く精彩を欠かない動作で。


「そんなっ――」


 それには流石のシアンらも予想外だったようで、敵側の攻撃を回避するのが一瞬遅れた。

 漆黒の爪が少女の足を掬い、切り付ける。毒を含んだ刃のような爪の一撃に、シアンは体勢を崩して地面に転がり落ちた。

 その光景にルプスは悲鳴じみた叫びを上げる。


「シアン!?」

「ダメだルプっち! 余所見をしたら――」


 ティーナの警告も既に遅い。

 視線を少女へ向けた一秒にも満たない僅かな間で、オルトロスの爪が彼の剣を弾き飛ばした。

 武器を失った人間が怪物に抵抗する手段はない。

 それを弁えているルプスは即座に決断、倒れ込んだシアンの足を引っつかむと全力で地を蹴って後退した。

 追撃に入ろうとするオルトロスをティーナとリオの防壁が阻み、どうにか離脱に成功する。


「はぁ、はぁ……何とか、助かったな」

「でも、まだ安心は出来ないよ。私たちの防壁だって長くは持たない。だけどルプっちたちのおかげで敵のデータが少しは取れた。それを踏まえて次の攻撃をどうするか考えよう」


 肩で息をするルプスにティーナが言った。

 その側でリオがシアンに治癒魔法を施す。彼女はエルほど魔法に優れるわけではないが、それでもエルフの王族だ。母親が得意とする治癒の技ならば、精霊の少女にも劣らぬ精度で発動できる。

 彼女らが会話し、治癒魔法を使った時間は、離脱から30秒と経っていない。

 その30秒という短すぎる時間は――戦闘の中で、致命的な隙となって彼女らの首を絞める。


「『怪物の子』の特性を、忘れるな!」


 その声はティーナらの頭上から降ってきた。

 空を仰いだ彼女らが見たのは、人の形を成した『怪物』の姿。

 しなやかな体躯、白い肌を晒した装いはそのままに、手足には獣の爪が生え、首から背中にかけて鬣が伸びている。そして何より彼が怪物だと主張しているのは、二つの顔を持つ頭だ。美しい獣人の顔の裏側にまで全く同じ顔が不気味な笑みを浮かべている。

 空中でくるりと身体を捻り、もう一つの顔を見せつけられたティーナは声にならない悲鳴を漏らした。


 怪物の子の変身は二種類に分かれている。

 一つはフェンリルやヨルムンガンドのように怪物そのものの姿に変異するもの。そしてもう一つは、ヴァニタスやケルベロスのように人の身に『怪物』の力を纏う【魔獣化】というもの。

 不幸なことに、ティーナもルプスも怪物の子と直接戦ったことがなかった。だから、気付けなかった。

 彼らは例え怪物としての肉体が使い物にならずとも、それを脱ぎ捨てればすぐさま【魔獣化】を使用して戦うことが可能なのだ。

 それを知っていたシアンは倒れ、リオはシアンの治療に専念していたため、彼の襲撃を察することが出来なかった。


「さっきはよくも、オレの頭を壊してくれた! 今度はこっちの番!」


 こちらへ飛び降りてきたオルトロスは獰猛な笑みを口元に刻み、高らかに宣言する。

 宣告通り、彼はティーナらの防壁にかかと落としを決め――その一撃をもって、防壁を粉砕した。

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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