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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第10章 【強欲】悪魔マモン討伐編/【嫉妬】悪魔レヴィアタン討伐編

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20  反撃の神器使い

 魔力の爆発を受け、吹き飛んだ黒ローブの男。

 彼が纏っていた仮面が破損し、そこから覗く顔を目にしてルプスは絶句していた。


「ルプっち、その人は!? ……ルプっち?」


 遅れて駆け寄ってきたティーナが彼に訊ねる。

 動転するルプスはその問いにもまともに答えることが出来なかった。

 黒ローブの前で膝をついて動かない男を強引に押しのけ、ティーナは悪魔の宿主を確認する。


「この人……確か、ルノウェルスの防衛大臣だったよね。なんで、そんな人が……」


 カイ・ルノウェルスが最も信頼を置く忠臣にして、先の『ルノウェルス革命』では軍師として活躍したという魔導士オリビエ。

 悪魔とは対極にある立場の人間であるはずの彼が、どういう経緯でマモンに憑かれてしまったのか。

 酷くショックを受けているルプスに代わって思考を巡らせるティーナだったが、なにぶんオリビエについて知らなすぎて答えにたどり着けない。


 とにかく今は、気絶している彼を介抱して事情を聴くほかにないだろう。

 治癒魔法をかけようと跪き、オリビエの薄い胸板に手をかざした、その瞬間だった。


「えっ!?」


 触れようとした一瞬で、オリビエの身体が蒸気を上げ始めたのだ。

 視界が白い煙に覆われる中、ティーナが狼狽する側で細身の身体は炎天下の氷のごとく溶けてなくなっていく。

 ものの一分と経たぬうちにオリビエの肉体は蒸発し、黒い衣服だけがそこに残った。


「まさか、これって……」


 ティーナはある可能性に思い至り、オリビエが着ていた衣服を弄る。

 そこに紛れていた赤い石を取り上げて、彼女は「やっぱり」と呟いた。


「ルプっち、聞いて。今消えてなくなったのは、本物のオリビエ氏じゃない。コピーだよ。オリビエさんによく似せて作られた、魔法で動く人形みたいなもの……って言えば分かるかな」


 ルプスは顔を上げてティーナの説明を咀嚼していく。

 だが、それで彼の憂いがなくなることはなかった。コピーが悪魔の力を有していたということは、オリジナルのオリビエもまた、悪魔に憑かれてしまっているのではないか。

 彼がその懸念を口にすると、ティーナは深刻な面持ちで言葉を返した。


「ああ、そうだろうね。オリビエ氏は防衛大臣として会談に出席しているはずだけど、地上で不測の騒動が起こった以上、その対応に追われている可能性が高い。とにかく、防衛省に戻って彼を捕まえなきゃ! 悪魔を倒せば、パルメ氏の殺害から始まる一連の騒動も終わるんだから」


 捲し立てるように言い、ティーナは立ち上がってトーヤの介抱をするエルへ視線を向けた。

 

「エルたん! 悪魔マモンの宿主はオリビエ氏だ! 私は彼を捕らえに地上へ戻る!」

「――分かった! 私は、トーヤ君が目覚めるまでは彼の側にいる! 【神器使い】である彼を放置することは出来ないからね」


 エルの返事に頷き、それからティーナはルプスの肩を叩いて叫ぶ。


「ここから一番近い地上への出入り口まで、案内して! 急がないとあなたの大切な仲間も、この街も、壊されてしまうかもしれないんだよ!」


 ショックを受けている場合なんかじゃない、と彼女は獣人の男へ訴える。

 ルプスは頭を振り、沈みかけた己の意思を奮い起こした。

 ――そうだ。あいつを救うためには、ここで折れてはいられない。

 立ち上がったルプスはティーナの手を引きながら、地下街の出口へ全力で走り出した。

 と、そこに――女性の声がかかったが、二人は駆ける足を止めずに彼女へ応じた。


「ティーナ殿、ルプス殿! 状況はどうなっているのでありますか!?」

「悪魔が出たんだ! イルっち、あなたは魔導士たちを中央広場まで集めてから、そこを守って! 私たちは地上へ戻る!」

「悪魔が――!? 了解であります、迅速に務めを果たすでありますよ! そちらもご武運を!」


 イルヴァは割り当てられていた魔導士の避難誘導を終えたところで走り去っていくティーナらを見掛け、後を追ってきていた。

 状況の確認と少女からの指示を受け取ると、彼女は敬礼を返してすぐさま行動を開始する。

 イルヴァらが守ってくれるなら、魔導士たちの命が奪われるリスクは限りなく低くなった。

 ティーナは少し安心しながらも、地上のことを思うとやはり表情は晴れない。

 ひとまず防衛省に戻り、アレクシル王に事態を報告、それからオリビエを捕らえて悪器を破壊する。――これが、ティーナのやるべきことだ。


「もー、面倒事だらけじゃん! 王様ぁ、ちょっとくらい肩代わりしてもらってもいいんじゃないですかぁ!?」


 一国の君主へ思いっきり不満をぶちまけるティーナに、ルプスはこんな状況だが苦笑を浮かべてしまった。

 早朝から王にこき使われていたらしい少女を哀れみながら、彼は誰に文句を言うことも出来ない自身へも同じ感情を覚えた。


「ティーナ、お前の魔力は大丈夫なのか?」


 狼人の身体能力で疾走しても息切れを起こさないルプスは、冷静な口調で少女へ訊ねる。

『フィルン第二位の魔導士』はにやりと笑み、どんと胸を叩いてみせた。


「だいじょーぶ! ルシッカの血筋を舐めないことだね!」

「頼りがいがあるじゃないか。俺は肉弾戦にしか能がない、お前の力を貸してもらうからな」

「任せといて! さっきは負けちゃったけど、トーヤきゅんとマモンの戦いを見てあいつの弱点はあらかた分かった! 『奪う』方法もそれを防ぐ手段も、判明してる! 同じ轍は踏まないよ!」


 ティーナは一度の敗北に屈しはしなかった。

 たとえ恐怖に打ちのめされても、起き上がって敵との再戦を望む。

 それが出来たのはトーヤの勇姿が背中を押してくれたから。彼に感謝を捧げながら、ティーナは走る。走り続ける。



「リオさん、お願いします!」

「おう! ――【風穹砲ヴェントゥス・バリスタ)】!!」


 シアンの号令でリオが十八番である風の魔法を発動する。

 戦場は都市西部の大通りから、中央通りまで移行していた。【神器使い】やルノウェルス軍が尽力していながら、奇襲してきた怪物の進撃を完全には止められていない。

 逃げ惑う市民たちを片端から踏み潰ししていく【異端者ハイレシス)】――蜥蜴男リザードマン)半人半馬ケンタウロス)女面鳥身ハーピー)半人半鳥セイレーン)といった『亜人型』モンスターが、【神器使い】をも押しのけるほどの勢いで猛進しているのだ。

 彼ら『亜人型』が持つ片手剣、あるいは首から下げた護符アミュレット)は悪魔レヴィアタンの【悪器】。

 それがもたらす多大なる力によって、彼らは【神器使い】とも互角の戦いを繰り広げることが出来ていた。


『そんなもの、効きませんよ』


 上空を飛翔し、玲瓏な声で呪文を唱えるセイレーンは、シアンらを見下す言葉を吐きかける。

 多少のよそ見をしようが関係なしに魔法を紡ぎ上げる実力が、彼女にはあった。

 怪物らしからぬ美麗な顔に笑みを刻み、セイレーンは完成させた魔法を眼下の者たちへ振り撒いた。


『【銀氷雨】』


 レヴィアタンが司る属性は、水。

 海獣の牙のような首飾りを蒼く光らせながら、セイレーンは溜めていた魔力を一挙に解放する。

 天へ打ち上げられた青いエネルギーの塊が炸裂し、それはひょう)となって周囲一帯に降り注いだ。

 たかが氷――と甘く見ていてはいけない。

 大粒の氷が爆発の衝撃で飛ばされれば、それは小さな隕石にも等しい弾丸となるのだ。


「くっ、【防衛魔法ディフューズ)】!」


 雹の弾幕に風の弾幕が掻き消え、リオは顔を歪めて即座に防御へ転じた。

 緑の防壁が飛来する氷粒を弾き、防いでいく中――すぐ側で雹が地面を穿つ光景を目にし、彼女は青ざめる。

 出来る限り地上を守るべく横に延ばして展開した防衛魔法だが、それでも全ての人を守りきれはしない。

 その上空からの広範囲攻撃はリオの手の届かない所まで及び、無辜の市民の命まで刈り取っていく。

 雹が放射されてから数秒後に各地で上がった絶命の叫びに、ある路地裏に潜伏したレヴィアタンの傀儡はほくそ笑んでいた。その笑みすら知ることなく、罪のない命を奪われた【神器使い】たちは悲痛な声を上げる。



「この、クソ野郎どもがッ!!」

『無駄に怒っても精神をすり減らすだけだ、人間』


 庇護すべき民たちを殺されたルノウェルスの兵士たちは、とりわけ怒りを顕にしていた。

 槍を構え、隊列を組んで敵へ突撃をかまそうとする彼らに、ケンタウロスは蔑みの視線を送る。

 

『レヴィアタンの力――思い知れ!』


 弓を引き絞り、そのやじり)に青い魔力を込める。

 撃ち放たれたのは、一本の矢。

 が――そのたった一撃で、十を超える歴戦の戦士たちが一瞬に地に伏した。

 その矢が纏っていたのは水の魔力。大瀑布にも等しい勢いの水流が矢の軌道に乗って、兵士たちを圧倒的な質量で押しつぶしたのだ。


『この矢が射られた先のものは、何もかもが流し去られる。下等な人間どもにはそれを回避することも、阻むことも叶わない』


 ケンタウロスが駆ける先には一直線に水流が迸り、妨害者ごと建物や市民を葬っていく。

『森の賢者』とも呼ばれる怪物の彼は、その誇りも忘れてしばし全能感に酔いしれた。

 こんな力があったとは――これで我々を侮蔑する人間どもを葬ってやれば、どれだけ気分がいいか!

 蟻を蹴散らす巨象のごとく驀進するケンタウロスだったが、その前に一人の巨人が立ち塞がって声を上げた。


「かつて、人に医学の知恵を授けたケンタウロスの英雄ケイロン――かの賢者の教えを忘れ、野蛮に身を堕とすとはな。名もなきケンタウロスよ、お前さんは紛れもない愚か者だ」


 身長五メートルを超す巨大な体躯。

 まさしく魁偉かいい)だと、ケンタウロスは巨人の戦士に息を呑んだ。

 が、抱いた畏怖も無理やり押し込め、怪物は巨人王の言葉を否定する。


『私にはジェーンという名前がある! そして愚か者は貴様だろう、巨人! 我ら一族はどれだけ知恵を持とうが地上の覇者にはなれなかった! 真に必要なのは武力なのだ! 力こそが正義、そうだろう!?』


 ジェーンというケンタウロスは声高に己の信念を訴えかける。

 その主張に、巨人の王ウトガルザはにやりと笑った。

 自然界は弱肉強食の世界。そしてそれは、知恵持つ人の世でも変わらない。


「ふっ、では手合わせ願おう、ケンタウロスのジェーンよ。どちらが強者か、ここで決めようではないか」


 ここに駆けつける道中で、津波のごとき水の猛威をウトガルザは見てきた。人を遥かに超えた巨体の彼でも、あれを正面から食らえば流されてしまうだろう。

 その申し出に無言で矢をつがえることで応えたジェーンは、眼前の巨人に目を眇めた。


『……!』


 彼が魔力を溜めた時間は、わずか一秒にも満たない。

 怪物と、巨人――二者が睨み合い、互いに技を打ち放った瞬間。

 勝負は、決していた。

 

「――散れい!!」


 レヴィアタンの矢が水流を引き連れて飛び出したのと同時、ウトガルザは鯉口を切った【神器】の大剣を振り抜いていた。

 鞘から刃が姿を見せた直後の、初撃。

 その一刀は燃え上がる爆炎と化して、王の前に炎の壁を築き上げた。

 超高熱の青い炎は、触れた側から激流を問答無用で蒸発させていく。その水流はウトガルザに一滴も届くことなく、瞬時に蒸気に変わっていた。

 

 ウトガルザの『スルトの剣』は、抜き放ってからの第一撃が最も力を発揮する。

 世界をも炎に染め上げたという伝説の剣は、【神器】の中でも比肩するもののない瞬間火力を出すことが出来た。


『そんな……ありえない! これだけの質量の水を、全て蒸発させるなど……!』

「残念ながら、お前さんが相手取っているのは、そういう化物なのだ。お前さんのようなひよっこではなく、正真正銘の怪物だよ」


 ウトガルザは剣を肩に担ぎ、大地を揺らしてケンタウロスへと近づいていく。

 一歩、また一歩……悠然としたその歩みに、ジェーンは逃げることも立ち向かうことも選べずに立ち尽くすしかなかった。


『くっ……ここまでか』

「潔いのは嫌いではないぞ。逃げるのを望まないならば――ひと思いに終わらせてやろう」


 怪物として数多の人を殺した。

 その行為が未来の同胞の栄光に繋がるのかは、まだ誰にも見通せていない。

 だが、散り際にケンタウロスは信じた。自分の行動に意味はあったのだと。この命を捧げることで『エキドナ』の願いは達成に近づくのだと信じることに、救いを見出すほかなかった。

 炎の一刀が怪物の首を断ち、鉄の匂いが周囲に充満する。

 怪物は悲鳴を上げなかった。そこには一途に目的へ徹した覚悟があった。

 ウトガルザはその骸を数秒、静かに見つめていたが――やがて視線を前へ戻すと、次の敵を探して走り出すのだった。



『ジェーンが倒されましたか。あれだけ自分が最も優れていると豪語しておきながら、【悪器】持ちの誰よりも先に死ぬなんて』


 上空で旋回し、都市の戦闘の推移を確認していたセイレーンが呟いた。

 先ほどの広範囲攻撃を再度放つには、魔力の充填が不可欠。彼女は空に浮かぶ雲を目指して飛翔し、そこから水の魔力を得ようと考えた。

 攻撃、充填、攻撃、充填。

 魔法を撃つ度に自然から魔力を得れば、魔力切れに悩まされることなく体力の持つ限り戦える。

 人間の攻撃が届かない上空からただ強烈な雹を降らすだけで、【防衛魔法】を使えない一般人を無作為に駆除することが可能なのだ。


『エキドナ様、見ていてくださいね。私が手柄を上げ、この世に我々の力を示してみせます。そうすれば、【異端者】などという不名誉な呼び名も返上で――』


 その栄光を夢見て、セイレーンが白い雲へと突入した瞬間だった。

 彼女の口が、二度と言葉を発することが出来なくなったのは。


『――――――――』


 突如彼女の身を穿ったのは、風の砲撃。

 実体なき砲弾が首元のアミュレットを砕き、その下の心臓を抉りながら背中まで貫いた。

 赤い尾を引きながら落下していく怪物を見上げるシアンは、魔法が成功したことを確かめるとリオへ親指を上げてみせる。


「やりました、リオさん!」

「市民たちの犠牲は防げなかったが……不意を突いてあの強敵を倒せたのは上出来じゃな。【風穹砲】を撃ったタイミングで敵が魔法を吐いてくれたのも運が良かった」


 セイレーンは自分の攻撃でリオの魔法が掻き消えたと思っていたが、実のところは違ったのだ。

 怪物側の魔法の発動が僅かでも遅れていたら、撃たれたはずの魔法が『未来へ飛ばされた』光景に警戒を強められてしまっていたのは間違いない。

 その幸運に感謝しながら、彼女らは東側からこちらへと走ってきた人影へと目を向けた。

 エルフの魔導士と獣人の戦士――ティーナとルプスだ。


「シアンたん、リオっち! 今墜落してったモンスター、君たちが倒したの?」


 彼女に尋ねられ、二人は頷きを返す。

 それを横目にルプスは狼の鼻をひくつかせた。――嫌な気配が漂っている。怪物のようだがそれとも違う、異質な獣の気配が。


「ルプス殿? どうなされた?」

「いや……何だか臭ってな。何かが来る、備えておけ」


 頻りに周囲を見回すルプス。彼の警告にリオたちはそれぞれの得物を握り直し、表情を引き締めた。

 と、間を置かず――獣人の嗅ぎつけた臭いの主が、彼らの眼前に姿を現す。

 右手の建物上から猛烈な速度で接近し、音もなく道路に着地したのは一人の少年であった。


「お前は……!?」


 銀色の髪に同色の瞳の美少年。犬の耳を頭に生やしていることから獣人族であるのが分かるが、ルプスは少年が醸す『違和感』にどうしても彼が同胞だとは思えない。

 そして、ひときわ異彩を放っているのが、全く着衣していない少年の格好だった。

 白い肌も細身ながら引き締まった肉体も、隠すべき秘部も晒しながら、彼は一切の恥じらいも感じていない無表情で立っている。

 ルプスがそれ以上の言葉を出せずにいる中、シアンは裸の少年から目をそらしつつ口を開いた。


「こ、この人……あのケルベロスに似てませんか、リオさん。身体は、その……男の子ですけど、顔なんか瓜二つですよ」

「うむ、確かにそうじゃな。――おい、少年よ。お主はケルベロスの関係者なのか?」


 リオに剣呑な目つきで詰問され、犬耳の少年は顔をしかめた。

 そして億劫そうに答える。


「そうだ。オレはケルベロスの弟、オルトロス。エルフ、お前に用はない……オレが戦いたいのは、【神器使い】だけ」


 オルトロスの視界には既にシアンしか入っていない。それ以外の者は相手をする価値もない雑魚だと、彼は評価していた。


「さぁ、オレと戦え、【神器使い】の女ッ!」


 膨れ上がる戦意を叫びとして示し、地面に両手をついた彼はその体勢から走り出す。

 駆けながらオルトロスは紫紺の光に包まれていき、その光が切れた時にはその姿は獣のものに変貌していた。

 二つの頭を持つ銀毛の大犬。その体長は『凶狼ダイアウルフ)』をも超える3メートル超である。

 咆哮する怪物に対し、【神器使い】としてシアンはその勝負を受けた。

 未来を穿つ魔法の連続使用はできない。だが、【神器】が彼女に与える恩恵はそれだけではない。単純に魔法を強化する力がベルザンディの杖にはあるのだ。神の秘奥義が使えずとも、抗うことは出来る。


「リオさん、ティーナさん、ルプスさん! 私を援護してください!」

『ガルアアアアアアアアアアアアッッ!!』


 シアンが呼びかけ、オルトロスが割れんばかりの雄叫びを上げる。

『怪物の子』と【神器使い】――この二者の因縁の対決が、今ここに幕を開けた。

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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