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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第9章 『ユグドラシル』編

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29  地下へ

「こんなところに来るなど珍しいな、ノア。……若い連中をつれて、何をしに来た?」


 一階に到着したことを知らせるアナウンスと共に、両開きのドアが音もなく開く。

 出た先には『上層』同様に『エレベータ広場』が広がっており、景観もほぼシルたちの見覚えのあるものだった。

 黒い天井に、黒い床。一面が夜闇のような空間は円形で、時計の針のように十二のエレベータが並んでいる。広場の中央には、上層では見られなかった「巨人」を象った銅製のモニュメントが設置されており、その真下のベンチから女性の声がノアたちの名を呼んだ。


「暇そうだな、アングルボダ」

「質問にはちゃんと答えろと女王に教わらなかったのか? 相変わらずの礼儀知らずだ」


 立ち上がった女性の背丈の大きさに、ノアの背後でシルたちは息を呑む。

 硬質そうな黒髪を腰まで流す、ヴェールのように薄い絹の巫女服を纏った美女。その身長はゆうに三メートルを超えていた。ここが下層ならいるのが当然の存在だが、滅多に上層まで上がってこない「巨人族」の姿に思わずシルたちは圧倒されていた。

 ノアの肩に軽く触れながら、シルは彼女へ耳打ちする。


「……ノアさん、この方は?」

「アングルボダだ。あのロキと協力して三体の怪物を生み出した、巨人族の魔導士」


 ノアがシルたちにそう紹介すると、その当人は彫りの深い整った顔に笑みを刻み込んだ。

 炎のごとき青い瞳をシルに向け、アングルボダは興味深そうに問うてくる。


「ふふ……【禁忌の獣】を生んだ魔女こそ、この私だ。さて――話に聞くシル・ヴァルキュリアとは、お前か?」

「はい。私が、シル・ヴァルキュリアです。はじめまして」


 緊張に強張った面持ちのシル。そんな彼女に、アングルボダは声音を和らげて言った。


「まぁそう力むな。【禁忌の獣】の作製者といっても、私は極悪人ではない。寧ろ、大いなる使命のために動く、正義の側の人間なのだ。下層の平和を守るために尽力する、『ヨツンヘイム』の閣僚の一人だよ」

「ああ、政府の方でしたか。ノアさんも最初からそう紹介してくれればよかったのに……」


 魔導士のローブもノアのようなスーツも着ていないアングルボダは、一見では政府の高官とは捉えられない。彼女の身分がはっきりして警戒心を弱めたシルは、巨人の女性に目を弓なりにする。


「アングルボダさん、もしかしたら今後、お付き合いがあるかもしれません。その時はよろしくお願いします」

「こちらこそな。最近は下層と上層により距離ができてしまっているように感じる。中層を動かしたお前ならば、この関係を変える起爆剤になるやもしれん」


 シルが差し出した手をアングルボダは迷いなく握った。

 パールとエルは人種の異なる二人の握手の光景に、顔を見合わせて微笑む。その隣でノアは一人、腕組みしたまま唇を固く引き結んでいた。


「さて、お前たちはこれからどこへ行くのだ? ヨツンヘイムならば案内できるが」

「えっと、私たちはニブルヘイムに――」


 さらっと答えたエルにシルは目を剥き、パールは彼女の腕を思いっきりつねった。

 アングルボダはヨツンヘイムの政治家であり、つまりはイヴの下にある存在だ。現在は各国の実権は各王が握っているが、一昔前まで女王の傘下にいた彼女らにシルたちのもくろみが知られていいわけがない。

 すぐさま顔を青ざめさせ、ひきつった笑顔になるエルにアングルボダは首を傾げた。

 数秒の間を置いて彼女は目を見張り、ため息と共に深刻な口調で言う。


「我が娘――ヘルに、会いに行くのだな? 何が起こったのかは知らんが、上層で事件があったのだろう。ヴァナヘイムの王も死んだばかりというのに、お前たちも大変だな」


 上層で事件が起こった、という点に限ればイヴが倒れたことから事実だ。だがその件でニブルヘイムの主、ヘルの元へ向かう訳ではない。純粋に心配してくれているアングルボダには申し訳ないが、ここは彼女の解釈通り突き通させてもらおう。


「はい……。では、私たちは急がなくてはならないので。失礼いたします」

「ああ、気を付けてな」


 シルたちは深々と一礼し、足早にその場を離れる。

 円形の広場には八ヶ所の廊下が繋がっており、そこから各エリアへ移動できる。因みにこの廊下は「動く歩道」であり、広大な世界樹を行きながらも歩き疲れないようになっていた。

 ニブルヘイムへ通じる北側の廊下を進むシルは、背後を一瞥してアングルボダに聞かれない距離まで来たのを確認してから、うっかり口を滑らせたエルを声を低めて叱る。


「エル、あんたちょっと不用心すぎよ。私たちの目的を感づかれたらどうするの」

「ごめん、姉さん。私、嘘つくの苦手で……」

「エルの悪癖は昔から知ってたから、驚きはしなかったけどね。でも、これからはああいう場面での発言は控えてくれよ。思いっきり減点対象だからね」

「はーい、パール先生……」


 少ししょんぼりとしているエルを尻目に、皆を先導するノアはため息を吐いてしまった。

 アングルボダがイヴと通じていることは、少なくとも400年以上前から分かっている。下手をすれば、ノアが生まれるよりも彼女がイヴと知り合った方が早かったかもしれない。そんな人物が『ニブルヘイム』にある秘密の通路の存在を認知していないなどということが、本当にありえるのだろうか。

 

 ――知っていたとしたら、アングルボダはわざと私たちを見逃したということになる。あいつも世界の異変の原因に気づき、それを食い止めるため私たちを放置したのか?


 考えるが、断定はできない。アングルボダがどこまで物事を理解しているか不明な以上、何とも言えないのだ。

 

 ――今はともかく、あの場所へ向かうのみ。細かいことは後回しだ。

 

 心にかかったもやを振り払い、ノアは足をさらに早める。

 倒れたイヴに残された時間は長くない。一刻も早く世界を変え、女王を変え、ノアの理想だった暮らしを取り戻さなくては。そうしなくては、これまで積み重ねてきたものの意味が全て失われてしまうのだ。


「待っていて……必ず、助ける」


 遠く離れてしまった姉のかつての笑顔を思い浮かべ、彼女はそう呟いた。



「やっと来られたわね。ここが、ニブルヘイム……」


 無人の動く歩道を抜け、機械アンドロイドの受付嬢に見送られてシルたちは極寒の国『ニブルヘイム』へとやって来た。

 アルフヘイムの時と同様に、入国ゲートを出た先には高台がある。見晴台の柵まで近づき、彼女らはそこから身を乗り出してこの国の景観を目に焼き付けた。


「うう、寒っ……ここだけ他の国と季節が違わないかい」

「ユグドラシルの設定でそうなっているのさ。文句は姉さんに言ってくれ」


 身震いしながらノアを見上げるエル。幸い今は晴天で、日差しも積もった雪に白く反射しているが、それがあってもなお彼女らの吐く息は真っ白だった。

 風も強く、そのまま突っ立っていたら露出している顔から凍ってしまいそうなほどだ。

 

 見渡せるニブルヘイムは、一面が銀世界であった。

 森や湖、山や野原など、自然の造形が雪にコーティングされ、吹き荒ぶ風の中でも確かに命の鼓動を感じさせた。ここは静寂の国ではあるが、死の国ではないのだ。真冬の寒さに対応して、動物や植物は独自の生態を築き上げ、ここだけの風景を生んでいるのだろう。


「時間があれば、この森に降りてって色々見たかったんだけどね。今はそうしちゃいられない」

「ええ。――ノアさん、ここからはあなたの【転送魔法陣】にお世話になりますね」

「任せておきな。目的地までは一瞬だよ」


 イヴの使える魔法の殆どはノアも会得している。その一つである【転送魔法】で、これからシルたちはニブルヘイム北端の王城へ飛ぶのだ。

 王城の地下階段をずっと降りた先こそが、世界樹の管理室コントロールルームの入り口である。

 ちなみにここに来てようやくこの魔法を使えるようになったのは、世界樹内部で空間に干渉する魔法が使用不可であるためだ。それはイヴでさえも例外ではない、絶対のルールなのだ。


「はあッ――【転送魔法陣】!」


 瞼を閉ざし、気合いを鋭く放ってノアが魔法名を叫ぶ。

 それと同時に紫色の円い魔法陣が出現し、刻まれた古代文字が光によって浮かび上がった。

 

「流石ですね、ノアさん。呪文を省略してるのに、完璧に陣を……!」

「これくらい朝飯前さ。私はある意味では、イヴ女王と鏡写しの存在なのだから」


 シルの言葉得意気に胸を張りながらノアは言った。

 彼女への尊敬を改めて抱くシルたちは、半径二メートル近くある魔法陣の中に足を踏み入れる。

 ハルマが完成させた魔導書グリモアに込められたものと、全く同一の魔法が、これから発動しようとしていた。


「さあ――飛ぶぞ」


 黒服の女傑はニヤリと笑む。

 彼女が腕を指揮者のように振った、その瞬間――見晴台に立っていた一同の姿は跡形もなく消失していた。


 

 一瞬暗闇に包まれた視界が蘇ったとき、初めて見えたものは灰色の壁であった。

 息を呑むとともに顔を上げ、ぐるりと辺りを見渡す。

 見える景色、感じる臭い、温度、湿度……何もかもが今まで自分達がいた場所と異なっていた。

 灰色の石造りである正方形をした小部屋。広さは正方形の一辺につき三メートルほどで、長年使われていなかったのか、埃っぽくきな臭い。

 部屋の中央には学園の教卓くらいの高さをした縦に長い台があり、その上面には液晶パネルのようなものが貼り付けてある。


「げほっ――俺たち、本当に王城の一室に来たのか……?」

「な、なんか手入れもされてなさそうだけど、ここから《ユグドラシル》の管理室にアクセスできるの?」


 パールとエルが怪訝そうにノアに視線をやるが、当の本人は気にもせず中央のパネルへ近寄っていった。

 彼女がパネルにかかった埃を手で払うとヴヴッ、と振動音が鳴り、液晶に白い光が宿る。

 一人呟きつつ、ノアは素早く指を滑らせてそこに何かを入力した。


「ずっと前に……姉さんの付き添いで、管理室の手前まで行ったことがある。その時のパスワードがまだ使えれば……」


 ガコン、と重いものが落ちたような音がして、シルたちはその方向へ首を向ける。

 画面を操作するノアから見て正面、床の一部が下にずれて隠し階段の入り口が顔を覗かせていた。

 

「ベタなネタだけど、やっぱり城の地下には隠し階段だよね! 何だか私、ワクワクしてきた!」

「あのねえエル、俺たち遠足しに来たわけじゃないんだから。もう少し真面目に……」

「先生のお説教はいらないよ。私は何事も楽しむ主義なんだ」

「そうですか……あぁ、落ち着きのない生徒の指導は苦手だ……」


 注意を意に介さないエルに、思わず肩を落としてしまうパール。二人の様子に苦笑しながら、シルは階段のもとへ歩いていくノアの隣まで来る。

 

「この先に、やはり私たちを阻む試練が待っているのですね」

「ああ。私だけならともかく、部外者のあんたたちもいるとなると、侵入者を迎撃する仕掛けが働くはずだ。強力な魔導生物が尖兵として立ちはだかってくるから、心してかかれ」

「――はい」


 闇が立ち込める階段の先を見据えてノアが忠告する。その真剣な横顔に頷いて答え、シルはエルたちを振り返った。


「ここからはいつ敵が現れてもおかしくないわ。杖を出しておいてちょうだい」

「はーい。援護は任せておいて!」

「未知への挑戦、ってことだね。緊張するなぁ……」


 エルが元気よく返事し、パールは落ち着かない様子で襟首に手をやった。

 杖に光魔法のランプを灯すノアを先頭に、四人はいよいよ管理室への階段に突入していく。


「…………」


 階段の幅はそこまで広くなく、大体二メートルほどだった。ノアが照らしてくれているものの、道の先はほとんど見えない。転ばないよう細心の注意を払いながら、無言の四人は一段一段下りていった。

 聞こえる音は彼女らの立てる足音のみ。シルたちは澱んだ冷気で満たされた踊り場を抜け、さらに下の階へと向かっていく。

 

 ――このねばつくような冷気……嫌な予感しか生まないわね。


 腕や足にまとわり付く凍える湿気に、シルは顔をしかめた。

 先程までいた小部屋は空気が乾いていたが、踊り場を二つ過ぎたあたりから妙に水気が増えたような気がする。感じる匂いも湿った石が持つそれと同じだ。

 

「ノアさん……この場所はいつもこんなにジメジメしているんですか?」

「氷雪の国の地下だから、湿っているのは当たり前だ。だけど……今日はいつも以上だね」

「では……」


 やはり、ここを守る番兵モンスターが現れる前兆なのか――声には出さず、シルは目配せでノアに確認する。

 女傑の小さな首肯を受け、シルたちは杖を持つ手に魔力を溜め始めた。いつでも迎撃できるように五感の全てを研ぎ澄ませて、その時を待つ。

 

 だが、彼女らの警戒に反してその気配が実体をなかなか現さなかった。

 シルたちは踊り場を三つ、四つと過ぎて行き、さらに深く、深く地下へと潜り込んでいく。時間の流れが、異様に長く感じられた。もちろん、一段進むのにも慎重に歩いているのだから時間がかかるのは当然だ。それを踏まえても、彼女らの体感時間は見えざる敵への恐怖や緊張感で引き伸ばされていた。


「こんな思いでここを下りるのは初めてだよ。……言うのが遅れたけど、ここに配置されている番兵は人型の魔導生物、つまりは姉さんの作った人造モンスターだ。一般には知られていない種の怪物で、私も実物を見たことはない。判明しているのは『恐ろしく速い』ということだけだ」


 囁くようにノアはそこに潜むモノについて語った。

 全くの未知であった怪物のイメージが少しでも掴めたことは、シルたちの心に多少なりとも受け入れる余地をもたらしてくれたが、それで恐怖感が薄れるわけでもない。彼女らの沈黙はそのまま続いた。


「姉さんは用心深い人間だから、侵入者をよく観察してから怪物をけしかける可能性が高い。この狭い階段では怪物も動きにくいだろうし、奴らが現れるとしたら終着点――管理室前の広間だろう。だからといって無警戒でもいいとは言わないが……ゴールに着くまで、私の昔話でも聞いてくれ」


 感覚を研ぎ澄まして周囲に警戒を巡らせつつ、ノアは背後を行くシルたちに告げた。

 彼女らが頷く気配を認め――実際はどう答えようが話すつもりだったが――彼女は語りだす。

 湿った石を踏む静かな靴音に乗せて、女の穏やかな声が闇に響いていった。


「【神】と呼ばれる魔導士のルーツについての話だ。あんたたちはその血筋を引いて生まれてきた、【神】の血統の出だったね。その祖先である原初の神が誕生する、神話の一場面……あれは全くの嘘なんだよ」


 シルたちは息を呑み、思わず足を止めてしまう。予想通りの反応をする彼女らに手振りで前へ進めと促しながら、ノアは話を続行した。


「女王イヴが産み落とした赤子こそが、原初の神。この世界の常識だ。しかし、あれは姉さんが自身を『聖なる存在』に仕立て上げるための作り話だったのさ。

『セト』と名付けられた、完全体の神として生まれた最初の子供……彼は姉さんが腹を痛めて産んだ子ではなく、機械の中で培養されていた受精卵をもとに遺伝子改変を行って生まれた人間だった。ある帝国の科学者であった『アダム』と『イヴ』が、最強の生物兵器として開発した存在。それこそが、『実験体第3号』ことセトだった」



 まだ《ユグドラシル》が作られていなかった時代の話だ。

 とある帝国が世界の覇者となることを目論み、国中の研究者に新型の兵器を開発するよう勅令を下した。それを受けた多くの科学者が既存の武器を強化したものを作成しようとする中、青年『アダム』は全く別の観点から物事を捉えた。

「兵器を強化するだけでなく、それを扱う『兵士』自体も進化させてしまえばいいのではないか」、それこそが彼の唱えた理念であった。

 しかしそれは単なる理想に過ぎず、具体的な方策はなかなか浮かんでこない。皇帝が突きつけてきた開発期間は十年――最初の一年は思うように進捗せず終わった。

 

 悩めるアダムに転機が訪れたのは、勅令が出された二年目の春。

 彼の後輩であったリリィという少女がこんな噂話をもたらしたのだ。「西の樹海に魔女の末裔がいるらしい」――いくら苦悩していたとはいえ、初めはアダムも一笑に付した。

 だが、リリィがあまりに口ずっぱく言うため、彼も一度くらい足を運んでやってもいいだろうという気になった。

 そして二人で向かった樹海の奥も奥、未だ誰も立ち入ったことのないような秘境にて、彼らは出会ったのだ。


『人間……? この地に何の用かしら』


 澄んだ泉の畔に佇む、白い麻の服を着た緑髪の少女がアダムたちを振り返って問う。彼女の瞳に友好的な色は一切なかった。冷たく吐き捨てるような口調の少女に、アダムは訊ねた。

 君こそが魔女なのか、と。

 少女はすぐには返事をせず、無言で彼らを見つめていた。そして、再度問いかける。


『あなたたちの目的は何?』


 最強の兵士を作るため、君の力を貸して欲しい――彼女の質問にアダムは素直に答えた。

 伝説の魔女一族の生き残りが実在するなら、彼女らの遺伝子を調査して同種の力を持つ人間を作り出せるかもしれない。遥か昔に世界を支配し、大戦争により滅びたとされていた魔女たちを現代に復活させることが叶えば、彼らの帝国がこの星の覇権を握るのも不可能ではないのだ。

 敵意と共に膨れ上がる少女の青い稲妻のような『魔力』をその身に感じ、青年はそう確信する。

 リリィと顔を見合わせ、何としてでもこの少女を自分たちのものにするのだと、この時アダムは決意した。

 彼は自分たちの名前と肩書きを明かし、緑髪の少女に精一杯の微笑みを向けた。


『……イヴ。それが、私の名前』


 少女から名前を聞き出し、アダムたちは「また来るよ」と彼女へ告げてその場を後にした。

 行きでは道なき道を散々彷徨った彼らだったが、帰りはどうしてか少し進んだだけで森の出口にたどり着いていた。それはイヴが彼らに与えた最初の祝福であった。 

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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