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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第1章  神殿オーディン攻略編

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エピローグ  永久の魔導士

『さて、お前たちを元の世界に戻してやらんとな……』


 感慨深げに神オーディンが言うと、床に青みがかった丸い魔法陣が浮かび上がる。

 ──ついに神器をこの手に収めることが出来た。これで、エルに託された使命を果たすのに一歩近付いた。

 僕は笑顔になり、最後に神オーディンに礼を言う。


「神様! 僕に力を与えてくれて、本当にありがとうございました」


『礼を言われるようなことではない。私はお前の思いを──正義を認め、力を与えたまでだ。……それより、連れが待っているぞ。早く行ってやったらどうだ』


 神様の声に視線を魔法陣へと向けると、エルがそこに足を踏み入れていた。

「早く早く」と頻りに手招きしている。


『うむ。……外に私の愛馬を待たせてある。これから旅立つ時、その馬を使いなさい』


 僕が魔法陣の中に入るのを確認し、神オーディンは『転送魔法』を発動した。

 体が引っ張られるような不思議な感覚とともに、意識が遠く飛ばされていく……。

 

 

 

 目覚めると、僕たちは『古の森』の前で倒れていた。

 むっしゃむっしゃと何かが草を食んでいる音が耳に入ってくる。

 音のする方を目だけ向けて見てみると、八本の足を持つ奇妙な姿をした馬が森の下草を食んでいた。

 この馬が、神オーディンの愛馬なのだろうか。


「──トーヤくん、良かった、無事に起きてくれたね。……あぁ、あれはオーディン様の愛馬、スレイプニルだよ」


 前髪を撫でる柔らかい感触。エルは僕の頭を膝に載せ、顔を見下ろしてきている。

 スレイプニルと呼ばれた馬は、名前を呼ばれると応えるように鳴いた。


「僕たち、【神殿】を攻略したんだね……」


 仰向けに倒れた体勢になっても神器を握り続けていたらしく、手に硬い鉄の温度が伝わってきた。【神器】を手に持ち、未だ実感できずに僕は呟いた。


「うん。これからは、どうしようか?」


 エルがワクワクした様子で言う。


「うーん、どうしよう? とりあえず、ミトガルド地方を回ってみたいかな」

「いいね! 一緒に行こう!」


 顔を見合わせ、笑い合う。

 身体を起こして立ち上がり、僕はエルの手を引いて立つのを手伝ってあげた。

【グラム】をスレイプニルの鞍に置き、エルと一緒にスレイプニルの背に跨がる。


「さあ、森へ帰ろう。ユグドのおじいちゃんが待ってるしね」

「飛ばしてくれよ、スレイプニル!」


* * *


 ――同じ頃。とある森の中で、一人の女が『古の森』の方角を見上げて小さく笑った。

 漆黒のローブに、銀の長杖。一見して魔導士とわかる出で立ちである。


「『特異点』が、【神器】を手にしたようね……まあ、いいわ」


 かつて『永久(とわの魔導士』と呼ばれた彼女は、そう呟くとローブを翻し、姿を消す。

 彼女が消えた後、冷たい風が彼女がいた辺りを吹き抜けた。

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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