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黄昏英雄譚 ~アナザーワールド・クロニクル~  作者: 憂木 ヒロ
第7章 【怠惰】悪魔ベルフェゴール討伐編

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13  光の中へ

「じゃあ、これから作戦会議としようか」


 ミウさんの持つ『宝玉』の力に女王を救う希望を見出だした僕達は、オリビエさんの提案に頷く。

 酒場のテーブル席の一つにオリビエさんやヴァルグさん、リリアンさんなど対『組織』勢力の主力が着き、僕やカイもそこに同席した。

 最後にエルが僕の隣に座り、残りのメンバーは僕達の席の周りに集まる。

 厳粛な雰囲気の中、会議は始まった。


「まず始めに、組織の動向についてだけど……。ルプス、分かっている範囲の情報を全て教えてくれ」


「わかった。では、話そう」


 カイの仲間となったルプスさんが皆の前に出る。

 僕は彼の顔をじっと見つめ、話を一語たりとも聞き逃さないようにした。

 組織とはあの時以来、因縁がある。奴らの事を知ることで、これからの戦いに活かせればいい。

 ルプスさんは一度深呼吸すると、穏やかに語りだした。


「お前達も知っていると思うが、組織は悪魔の力を用いてこの世界に混沌と争いをもたらそうとしている。その理由は『悪魔の王』を現世に呼び戻すため……私を『組織』に引き入れた男はそう言っていた」


 悪魔の王……?

【七つの大罪】の悪魔達とは別のものなのだろうか。

 僕が初めて聞く単語に首を傾げていると、隣でエルが呟く。


「きっと、【悪魔の心臓】のことだ。悪魔を無限に生み出すあれが現れれば、今の世界を破滅させることは容易い」


「悪魔の心臓って、ロキが話してた……?」


 エルの呟きに反応したのはユーミだった。

 ロキが話してた、という台詞に僕ははっとする。

 きっと、神殿で彼女達が神ロキから聞かされた神話のことを言っているんだ。


「【悪魔の王】に、【悪魔の心臓】か。私にはその二つは別物のような気もするけど……まぁ、続けてくれ」


 オリビエさんが促し、ルプスさんは本題に入る。

 組織がルノウェルス王国──王都スオロで行おうとしていることについてだ。


「先に結論を言うと、組織はこの国を潰す気はない。ただ、『主』の降臨の時までこの国を支配するだけ。この腐敗した状態を保ち、人々の負の感情を煽りながらな。そのために悪魔の力を利用している」


 主というのは恐らく【悪魔の王】を指しているのだろう。

 悪魔ベルフェゴールの能力で女王を操り、影から国を手中に収める。卑劣な手段だ。

 カイの横顔を見ると、彼は怒りに表情を歪ませている。

 ミウさんはそれを表情にこそしなかったものの、放つ言葉の節々から激情が漏れだしていた。


「悪魔の王とやらを降臨させるには、人々の負の感情が集まることが必要……そのためにこの国の民達を、スオロの住民達を利用しようっていうの? 国民の幸せを守るのが君主の使命なのに、そんなことって……」

 

「そうだ。残酷だが組織には哀れみの感情などない。幹部連中など、主のためなら何をしてもいいと考えているような奴らだ。怒りに支配されていたとはいえ、どうして私はこんな組織に入ってしまったのか……」


 忌々しげに唇を噛むルプスさん。

 ミウさんの責めるような眼差しに彼は顔を俯けたりはせず、まっすぐその瞳を受け止めていた。

 そのまま、話を続ける。


「本来は、女王を洗脳しているだけで良かった。だがここで予期せぬ障害が現れてしまい、組織は対応に追われることとなったのだ。それが、トーヤ達『神器使い』の存在だ」


 彼の話によると、僕達がスオロに訪れ、『神殿ロキ』に向かったと知った組織幹部は焦っていたのだという。

 神殿でリリスやシルさん、エインとの戦いを経ても生きて戻ってきた僕達を潰すため、彼らは強硬手段に出た。

 それがつい数時間前に起こった、小人族の少年やモンスター『凶狼(ダイアウルフ)』との戦闘だった。


「私達の計画はこうだった。まず最初に、そこの小人のガキが地下にいるであろうトーヤらの潜伏場所を突き止める。そして彼の知らせを受けた私が狼達を引き連れ、一気にトーヤ達を殲滅しにかかると。……散々足掻かれ、幸いにも計画は失敗に終わったが」


 僕はぞっとした。

 もし僕達の居場所を少年が見つけるのがもう少し早かったら。

 もし、ルプスさんが狼達を連れてくるのをもっと手早く済ませていたら。

 僕達の命は、無かったかもしれないのだ。

 そのことにシアン達もそれぞれ複雑な表情を浮かべる。


「その計画にあの子も加わっていたのなら、彼からも話を聞かせて貰いたいわね。彼、まだ目を覚まさないの?」


 離れた所に寝かせた小人の少年に目を向けて、リリアンさんが声を投じた。

 少年のそばで彼の様子を見ていたエルフの魔導士──名前は確かルークさんだ──は、黙って首を横に振る。


「そのガキは……私の知らぬ所で行き倒れ、『組織』に拾われて駒として洗脳された者の一人だ。組織にはそういった境遇の『亜人』が多くいる」


 皆の注目が少年に集まったのを見て、ルプスさんは彼の境遇について聞かせてくれた。

 人間ではなく『亜人』が標的にされていると聞き、シアンやユーミ、リオ達の顔が歪む。

 中でもアリスの感情の揺れ方は普通ではなかった。

 彼女は小人族の同胞が利用されてしまったことに、怒りや悲しみ、衝撃を受けている。


 いや、何か……それだけじゃないような……?


「アリス、あの時……僕達があの戦いを終えて戻る前、何か言おうとしてたよね? あれって、まさか……」


「トーヤ殿は勘がお強いのですね……。恐らく、私の言おうとしたことはあなたが想像していることと一致しています」


 少年の黒い髪に、整った美しい顔立ち。

 そして戦闘終了間際に見えた、蒼の瞳。

 その類似点から出せる答えは──。


「この人が、アリスの生き別れたお兄さん……」


 僕の落とした呟きに、シアン達やカイが瞳に驚きの色を宿した。

 まさか、とリリアンさんが口元に手を当て、オリビエさんは眉間に深く皺を刻んで俯く。

 

「アリス……」


 溢れ出す涙を抑えられずに、彼女はやっと再開できた兄の元に歩み寄った。

 兄の胸に顔を埋め、アリスはこれまで沢山苦しんできたであろう彼に囁きかける。


「兄上……ずっと、お会いしたかった……」


 少年は目を閉じたまま、アリスの言葉には答えない。

 先の戦闘で体力、魔力を著しく消費したのだろう。今は眠っているが、もう少し休めば目を覚ますはずだ。

 アリスの様子を見守りながら、僕は席を立つと彼女の側に近づいた。

 そして、彼女のお兄さんに向けて静かに声をかける。


「ヒューゴさん……アリスは、あなたの妹さんは、本当に強くなりましたよ。どんなに苦しくても、辛くても、彼女は弱音なんか吐かずに気丈に生きてきた」


『神殿』での戦いやマーデル王国の事件を経て、彼女は僕達と共に強くなった。

 少なくとも、僕達の前で弱い姿を見せることは決してなかった。

 そのことをヒューゴさんに伝えたくて、僕は言葉を紡いだ。


「トーヤ殿……」


 アリスが顔を上げ、僕を見上げてくる。

 涙に潤む瞳を細め、彼女は儚げに微笑みを浮かべた。


「私は、あなたがいてくれたから今まで頑張ってこれた。本当に、ありがとうございます──」


 僕の側にはいつも彼女の姿があったし、彼女の近くには常に僕がいた。

 互いに失ったものを補いながら、心で支え合ってきた。

 だから、僕もアリスにお礼を言う。


「僕こそ、ありがとうを言わないといけないな。アリスにはいつも助けられてるから……。だから今は、お兄さんの傍にいてあげて」


 今、アリスの存在を一番必用としているのはヒューゴさんだ。僕ではない。

 彼女は瞳を僅かに伏せた後、僕の言葉に頷いてくれる。


「……わかり、ました。トーヤ殿はどうか会議に戻ってください。それが、あなたの役割ですから」


『神器使い』の僕は組織との戦いの要だ。

 奴らとの戦闘を見据えた会議である以上、僕が彼女らについている訳にはいかない。


「すみません、皆さん。会議を再開させてください」


 自分の席に戻り、静まっているこの場の面々に対して言った。

 オリビエさんが頷き、ルプスさんに視線を送ると、ルプスさんは一度咳払いをしてから話を再び始めた。


「では、仕切り直して『組織』のこれからの動向について話しておこう」


 皆の目がルプスさんに向けられ、場は静かな緊張感を纏い直す。

 全員の顔を見渡してから、元組織員の彼は語りだした。


「神器使い、そして影の傭兵団まで現れては『組織』も悠長なことをしていられない。奴らは血眼になってでもトーヤ達を探し出し、一刻も早く始末しようとするだろう」


 今回行われた『洗脳兵士(スレイブソルジャー)』やモンスターの襲撃のような手段がまた、確実に実行される。

 ルプスさんは断言した。

 そして彼の言葉を受け、ヴァルグさんが腕組みしながら低い声音で提言する。


「その対策についてだが……一番有効な対処法は、なるべく個人で動かねえことだ。奴らは可能なら標的が一人でいる所を複数で叩こうとするはず。今回の戦闘で分かったと思うが、集団で戦えば多数のモンスター戦も乗り切れるし、対人戦だって同様だ。

 神器使いは対悪魔の最大の戦力──絶対に失わせるようなことがあってはならない。皆で協力し、守ることが必要だ」


 僕とカイを鋭い眼差しで見つめ、ヴァルグさんは周囲の者達に言って聞かせた。

 彼の指示に、この場にいる傭兵団の兵士達が皆一様に頷きで応える。


「私達も、二人の側から離れないようにしましょう! これまで二人には何度も助けられてきました……二人を守ることで、私は少しでも恩返しをしたい」


「そうね。それが私達に出来ることなら、私は力を尽くすわ」


「俺も……仲間として、友達としてトーヤとカイを守る。俺なんかに出来るかわからないけど、やるんだ」


 シアンとユーミ、ジェードが決意する。

 傭兵団やシアン達、リオやエルもそれに賛同し、この場の全員が僕達を敵から守ると言ってくれた。

 その事実に胸が熱くなる。

 彼らが守ってくれるんだ、僕達も頑張らないと。


「皆、ありがとう……!」


「お前達の協力に応えられるように、俺達も全力でやる。まずは、『神化』を完璧に習得してみせよう」


 カイは腰の『神器』の柄に触れ、ぐっと握る。

 それは至極困難な道だろう。僕だって神化の完成までには半年以上の月日を要した。

 でも、カイは必ずやり遂げる。

 根拠は一切ないが、僕はそう確信していた。


「じゃあ、『神化』の特訓を本格的にやらないとね。ふふ、僕は厳しくやるから……覚悟しておいた方がいいかもよ?」


「厳しくやらないと特訓の意味がない。お前のいる高みに俺も到達したいからな。絶対、神化を成功させてやるぞ」


「おっ、頼もしいね」


 僕はカイと笑い合う。

 彼の気持ちの強さは本物だ。

 悪魔を倒すため、母親を救うため、これまで本気で方法を模索し、神殿攻略まで果たしたのだから。


「これからどうするかの話だが……悪魔のいる王宮に攻め込むにしろ、カイが神化を完成させないことには始まらない。カイ、君の責任は重大だよ」


 真剣な声色で言うオリビエさんがカイをまっすぐ見据えた。

 

「ああ、わかっている。姉さんが『宝玉』で悪魔の洗脳を解き、俺とトーヤの神化で悪魔本体を潰す──やることはわかっているさ」


 カイは静かな口調で答えながらミウさんを見、次いで僕に視線を向けた。

 僕は彼に頷きを返し、席から勢いよく立ち上がってカイの肩に手を置く。


「もう残された時間も多くない。こうして話している間にも組織は僕達を潰しにやってくるかもしれないし、悪魔の力も時間と共に高まっていってしまう。だから今すぐ、『神化』の特訓をしよう」

 

 正直、猶予なんて殆どないようなものだ。

 それでも、諦めてただ待つなんて出来ない。

 奴らが来る前にこちらから向かい、完成させた神化の力で壊滅させる。

 

「特訓って言っても、一体どこで……!? この地下街は当然無理だとして、スオロ郊外の森も使うには不安が残るが……」


 カイが怪訝そうな顔で訊いてきた。

 オリビエさん達も眉根を寄せて見上げてくる中、僕は「誰にも邪魔されず特訓に時間を費やせる場所」の名を口にする。


「『神殿ロキ』に再び向かうんだ。あそこなら特訓にちょうど良いモンスターもいるし、たった一日でも『神化』完成に間に合う」

 

「たった一日でって、そんな短時間で出来るわけが……」


 シアンが困惑顔で呟いた。

 他の皆もぽかんとした表情でいたが──ややあってエルが僕の言おうとしたことを理解して囁く。


「そうか……『神殿』のタイムラグだね」


「タイムラグ?」


 何のことか分からない様子でヴァルグさんが訊ねた。

 神殿攻略に挑んだことのない傭兵団の皆のために、エルが解説する。


「『神殿』は現実世界とは別の時間軸にあるんだ。例えばこちらで3日の時間が経っている間、あちらではたったの1時間しか経過していない……といった具合にね。それを利用すれば、現実の時間を殆ど消費せずに神化を完成させられる」


「信じられねえ話だが、その方法なら神化完成も間に合いそうだな……だが、神殿で流れる時間がこちらの世界と違うなら、今言ったことと逆のことも起こりうるんじゃねえか? その危険性も考えるべきだろう」


 ありがたいことに理解の早いヴァルグさんが、片目を閉じながら腕組みした。

 傭兵団の兵士達も、僕達の提案の不備である部分に気づくと眉をひそめる。

 彼らの表情を見渡したオリビエさんは、片目を瞑ると柔らかい笑みを作った。

 

「……その点については大丈夫だよ、きっと」


 そう、大丈夫なのだ。

『神殿ロキ』から僕達が帰還した時、経過していた時間は攻略挑戦直前から一日も経っていなかった。

 あの『ヴァンヘイム高原』から神殿までかかった日時は約6日。

 神殿オーディン、神殿テュールの場合と比較すると、神殿ロキでは現実世界より時間の流れが早く進んでいると考えられる。

 神殿の時間の流れが変化することも、エルの口ぶりからして恐らくないだろう。


 つまり僕達は高い確率で、神殿で長時間特訓をしても現実の時間経過が短いまま帰還できるというわけだ。


「それなら、問題もねえか。神殿へは、エルの転送魔法を使って向かうつもりなのか?」


「はい、そのつもりです。いいよね、エル?」


 僕の説明に納得がいった様子のヴァルグさんは訊ねてくる。

 頷いて答え、僕は一応エルに確認をとっておいた。

 彼女はそれを快諾してくれる。


「うん。カイくんが強くなるためなら、私は助力を惜しまないよ」


「ありがとう、エル。では、早速移動しようじゃないか」


 カイが急かすような声音で言うと、エルはにこりと笑って逸る彼を止まらせる。

「まだ言うべきことがある」という彼女はオリビエさんをまっすぐな視線で見つめ、出立の前に言い残した。


「オリビエさん、私達はきっとすぐに戻ってきます。ですが、その間も……組織への対策や決戦時の作戦立案などを欠かさないでください。私達が戻り次第、作戦を始動させます」


「わかったよ、戦略面は私達でなんとかしておく。君達は必ずカイの神化を完成させて戻ってくるんだ」


 オリビエさんは黒い瞳を弓なりに細めながら頷く。

 僕達も彼の言葉にそれぞれ応える中、エルは神殿へ向かうメンバーを選出していった。



 

 選ばれたのは僕とカイ、リオ、ユーミ、アリス、ジェード、そしてエルを加えた7人。

 アリスはヒューゴさんの側についているということで、今回は同行しないこととなった。

 これから長い大特訓が始まるんだ……! と意気込む僕だったが、8人目の女性が僕の腕をぐっと掴む。


「待って……! 私も、連れて行って」


 ミウさんだった。

 カイの実姉であるこの人は──いや、この人だからこそだろう──カイが力を身につける手助けをし、力をつけるのを見届けたいのだ。

 それなら拒む理由もない。彼女も一緒に、特訓に参加してもらおう。


「わかりました。行きましょう、ミウさん」


「ちょっと待って……作戦立案には王宮のことをよく知る人間の協力が不可欠なんだ。ミウさんが欠けるのは、私としても痛い」


 と、オリビエさんが反対の意見を出した。

 エルもそのことを考慮してミウさんを特訓メンバーから外したんだろうけど、でもなぁ……。


「で、でもミウさんは……!」


「オリビエ、心配しなくても大丈夫よ。エルやトーヤも言ってたでしょ、私達はすぐに戻ってくる。それにどうしても私が必要なら、あなたが『言霊』をこっちに飛ばせばいいじゃない。いつでも戻ってくるわよ」


 ミウさんが早口でまくし立てると、流石のオリビエさんも何も言い返しはしなかった。

 ややあって首肯し、彼は席から立ち上がる。


「じゃあ、いってらっしゃい」


 僕達7人は既にエルの作った魔法陣の前に並んでいた。

 そこにミウさんが加わり、オリビエさんはちょっとの間の別れの言葉を口にする。


「気をつけていけよ。神殿には馬鹿みてーに強いモンスターがいるっていうんだろ?」


「えっ、それ本当ですか団長!? なら私も行きたかったなー」


 ヴァルグさんが無愛想に声をかけ、リリアンさんは興奮と羨望の視線を僕達に向けてきた。

 ルプスさんは黙って微笑み、ロイさんも「達者でな」と笑いかけると、最後にアリスが一時の別れを惜しんで駆け寄ってきた。


「カイ殿、絶対に神化を身につけて戻ってきてくださいね。あのトーヤ殿と同等、いえそれ以上に成長していないと私は許しませんからね!」


「トーヤ以上か……こりゃ厳しくなりそうだ」


 アリスの無茶言いにカイは微苦笑する。

 だがそれが本気の台詞だと気づくと、彼は表情を引き締めた。


「ああ──越えてやるさ」


 その答えに満足げな笑顔になると、アリスは今度は僕達に言葉をかける。


「トーヤ殿、エル殿、皆さん……どうか、お気をつけて」


「うん。──行ってくるね」


 必ず無事に全員戻ってくる。

 僕はそれをアリスに約束し、一緒に特訓をする7人と共に光の魔法陣の中に足を踏み入れたのだった。

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新作ロボットSF書きました。こちらの作品もよろしくお願いいたします
『悪魔喰らいの機動天使《プシュコマキア》』
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