庭にかきごおり
「っかー、やっぱ風呂はいいなっ!」
「っじゃー!っぱふぉあぃいなっ!」
似てる似てるっ!
俺の真似をして、風呂に浸かって、一言。
うん、やっぱ風呂は最高だ。
虫の声聞きながら、星を眺めて、風呂に浸かって、手足を伸ばす。
うりの頭を洗ってやるのも大分上達して、今じゃ頭洗いプロだな。
もう、洗いながら上を向かせることもないし、洗ってやってる時のうりの気持ちよさそうな様子とかからして、この道でやってけるんじゃないかって位だ。
「おおーきなぉーぽのうるとけいー♪」
「お、また歌教わったのか?」
「ぁぃっ!」
「ぁとっ、ぁとっ!」
「ん?」
風呂に浸かりながら手をばちゃばちゃふる、うり。
「ぃーんせーいまーくーあーにゃーうーもあーぅーさー♪」
・・・音程から察するに、もしやどこぞの将軍サマの・・・?
「うり、それは?」
「ぁっちゃん♪」
「バァちゃんに教わったのか?」
「ぁぃっ!」
得意げに手を上げる、がっ。
「うり、続きしってる?」
「ぅ?」
「その歌の続き。」
「ぉーしぉーしかーめょ?」
「うーん、ちょっと違うっ!」
「ぁだー。」
日ごとにレパートリーが増えてく、うりの歌だが、いっこ覚えると、どうやらいっこ混じるか抜けるかしてるらしい。
「よーっし、そんじゃ大分あったまったから、数数えてでるぞー?」
「ぁぃっ!」
「いーち、にーい。」
「はーんっ!」
「しーぃ。」
「ごっ!」
流石に、夜にもなると、秋の訪れってヤツを感じる。
風呂上りの風がひんやりして、しっかりあったまった体に心地よい。
「うりー、もうちょっと寒くなったら、どうしようかー?」
「ぅ?」
「寒くなったら、ストーブでも入れるか?」
首をかしげる、うり。
そっか、うりは冬を知らないのかもしれない。
「よし、これから毎日がもしかしたらうりの初めて記念日だな。」
「けき?」
「おー、いいな、記念日なるならケーキくったりするか!」
「うりけきすきぃぃぃぃ!」
「これから、どんどん寒くなって、もっともっとしたら、雪がふるからなー?」
「ゅき?」
んー、雪、雨になる水分が凍って、でいいんだっけ。
なんて説明したらいいかなー・・・?
あ。
「空からカキ氷が降ってくると思えばいいぞっ!」
「!!!!!」
うっわ、うり、目まんまるだぞっ!
・・・って、そんな嬉しそうな顔して・・・。
うん、間違ってないよな?
雪が積もったところとか、カキ氷・・・だよな・・・?
「それが、ちょこっとずつ降ってくるから、じーっとまって、いっぱい積もったら、地面一面キレイだぞー?真っ白でな?」
「ぃちご?」
うり、口半開きっ!
「ん、んー・・・イチゴシロップかっておけば、まぁ、イチゴ・・・かな?」
「あじゅき?」
「小豆か!茹でて、庭に撒いて・・・いや、雪を器に乗せる方がいいなっ。」
想像してみる。
庭一面に撒き散らした小豆。
・・・シュール、っていえないこともな・・・いわけないよなっ。
どんぐらい雪が降るのかわからねぇけど、冬は冬の楽しみがあるな。
「ゆきっ!すき!」
「その代わり、寒くて体冷えるから、あったかくしてないとな?」
「あたかーくしてたぁ、雪いーい?」
「だなっ。」




