ありがとう。
「・・・振り込まれてる。」
「良かったな、隼人。」
「ねー?」
必死で誤解を解いて、昼飯を食って。
買い物がてら口座を確認して、振り込まれていた金額に安心する。
「数日後にはあの家の権利書も送られてくるはずだ。」
「雲罫、ほんとありがとうなっ。」
「いやなに。しばらく世話になるつもりだからな?」
「ずっと居てくれよっ。」
「ぃくちゃ、ずっといしょー!」
「望んでくれる限り、一緒だ。」
それなら、ずっとだな、なんてうりと言い合って。
天気はいいし、空気は澄んでて気持ちいい。
今までずっと悩んでいた事も、全てうまくいったんだ、って実感がぐわっと沸いてきて。
雲罫とうりの顔をみては、顔がにやけて。
「今夜の夕食は、我が腕を振るおう。期待していてくれ。」
なんて嬉しい申し出に、もうたまらなくて。
今日はこれから買い物をして、バァちゃんとこにいって。
忙しくなるなー、なんて、一つ一つが嬉しい出来事で。
みっつ、大きさの違うおそろいのコップを買ったり、タオルを揃えたり。
初めて俺が東京にでて、一人暮らしをする事になったときの気分と、こんなにも、違う。
安心して、幸せで。
世界がほんとに穏やかで。
左には、ぎゅっとひんやりした手をつないでくれる、うりがいて。
右には、にっと笑ってくれる、雲罫がいて。
ジィちゃん、とーちゃん、かーちゃん。
俺、幸せだ。
ほんとに、ありがとう。
俺を産んでくれた事。
雲罫に出会わせてくれた事。
そして、うりに出会わせてくれた事。
───ありがとう。




