表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うりと夏休み〜続編〜  作者: ぬこ
37/40

果汁100パーセント



 「雲罫、ごめん。」

 「どうした?」

 「せっかくしてくれたのに・・・。」


 そういうと、ぽんっと俺の頭を軽く叩く、雲罫。


 「お前が望むのならそれでいい。そのために我が居る。」

 

 そういって、笑ってくれる。


 「正直、不安が無い訳じゃないけど、どうしても、踏み切れなくて、ごめん。」

 「案ずるな。タクは是非にと我の家にいくそうだ。」

 「・・・って、え?」


 二人を見送るから、とタクとババァを送っていった雲罫。

 俺には、うり嬢とここにいてくれ、と言って一人で。


 もしかしたら、怒らせてしまったのではないだろうかと不安にもなったり、やっぱり、間違っていたんじゃないかとあれこれ思い悩んで。


 30分程して戻ってきた雲罫が、


 「さて。茶が飲みたいな、隼人、頼む。」


 と笑って言ってくれた事にほっとして、俺が入れた茶を旨そうに飲むと。

 続きを待つ俺をみて、ん?と笑う雲罫。


 「我の家で、世話になりたいと言うものでな。頭を下げられては断るのも気の毒ゆえ。」

 「頭さげ・・・マジ!?」

 「うむ。まぁ、二人がかりで頼まれてはな。」

 「え、いや、あのっ・・?」

 

 タクが頭下げて?ババァも?

 雲罫の家に・・?何でだ?


 考え込む俺を見て、にっと笑う雲罫。


 「人として自己を見つめなおしてみたくなったのであろう。朝から晩まで面倒見てくれる。案ずるな。」

 「タ、タクがか・・・。」

 「ぁゃとー、じゅすあげうー?」


 違和感があったりでつい、握ったままの空の俺のコップをみて、うりが自分のを俺に差し出してくれる。

 飲み足りないと思ったんだろう。

 

 「いや、大丈夫だぞー、ありがとなっ?」

 「ぁぃっ!」

 「・・・ん?」

 「うり、おかあり♪」

 「はいはい、まっててなー?」


 台所へうりのジュースを取りに行く。

 これで、全部落ち着いた・・・ってことなのかな。

 今日午後にでも銀行いって、確認して。

 そして、俺はここにいても、いい・・・。


 どうしても、本当の事なのかって、実感がなくて。

 手に取ったうりのりんごジュースをじっと見つめる。

 

 果汁100パーセント。


 うん、100パーセント。

 ・・・って、そうじゃなくて。


 俺は、ここにいても、いい。

 午後銀行確認して、無事入ってたら、もう、心配は・・・ない。


 それで、いいんだよな・・・?

 ほんとに、俺は、ここに居られて、このまま毎日を過ごせるんだよな・・・?


 涼しい土間で程よく冷えたジュース。

 

 冷蔵庫なり色々買わないとなー、なんてうりと話してた。

 でも、不安はあって。


 考えて、幸せな毎日を思い浮かべるたびに、本当にそれは俺の未来になってくれるのかって。

 幸せ、な未来を思うたび、出てくる不安。

 

 それが、・・・解消された?



 ・・・本当に?



 「あ。」

 

 そうだ、これをもって行ってやらないと。

 ひんやりとしている空気に我に返る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ