誓えというなら何にだって
「ゃーとー?」
「隼人、朝だぞ。」
「・・・んー・・・。」
うー・・・っと体を伸ばして、目を開けると。
「うわっ!」
目の前にうりと雲罫のアップがっ!
二人してじーっと顔を覗きこんで・・・あーびっくりしたっ!
「お、おはようっ・・・っ?」
「よい朝だ、おはよう。」
「ぁょー♪」
秋晴れ、と言わんばかりの見事な青空。
空気は澄んでて、ほんとにいい朝、ってかんじだ。
そういえば、理佳さんは・・・?
「あ、理佳さんは?」
「先ほど出て行った。朝飯を用意していってくれたものがある。」
「マジ?悪い事したな。」
「かぼちゃ、うまぁ♪」
「ん?」
よくみてみると、うりの顔になにやら。
「うり嬢がほんの少しかぼちゃを味見してな。」
「いっこ、たべた!」
「うむ。一つずつ食べてみたのだがなかなか旨い。」
雲罫もかっ!
しかし、言われて見ると確かにいい匂いがする。
朝起きて飯があるって、ありがたい。
「んじゃ、顔洗っていただくか。お礼言えたらよかったんだけどな。」
「ぁいやとっ?」
「うんうん、作ってくれたおねーさんにありがとー、ってな?」
ぅ?と首をかしげる、うり。
雲罫の袈裟をくいくいっと引っ張ると。
「ぁぃやとっ!」
「ん?」
「ぃくちゃ、ぁいゃと♪」
「あ、雲罫作ってくれたのか?」
ん、と軽く頷くと、どことなく照れたような顔をする雲罫。
それをみて、うりがにこーっと笑う。
「丁度材料が余っていたのでな。」
「ぃくちゃ、がぃがぃって、ねー?」
「うむ。うり嬢も手伝ってくれたのだ。」
「ぅま、ねー?」
二人で顔を見合わせて笑う、雲罫とうり。
がぃがぃ・・・って、なんだ?
ひとまず布団を畳んで顔を洗う。
太陽の位置がまだいつもの朝と大して変わらない。理佳さんにしろ、雲罫にうりにしろ、えらい早起きしたんだな。
ひんやりと冷たい井戸水で顔を洗って。
首や肩を伸ばして深呼吸する。
顔を横に向けて、目に入る薪の燃え跡がなければ昨日の事が夢だったんじゃないだろうかとおもうような、いつもとかわらない穏やかな朝。
これから今日の一日の予定を頭の中でぐるっと考える。
きっと、とても大事な、俺達の運命の日。
負けられない、・・・一日になる。
絶対、なんてないって誰か言ってた。
でも。
絶対。
俺、絶対頑張るから。
誓えと言うなら何にだって誓う。




