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うりと夏休み〜続編〜  作者: ぬこ
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晩飯


 「雲罫、服これかしてやる。風呂上りに着る服ないだろ?」

 「いや、ありがたいのだが着替えの一枚くらいは持っている。」

 「・・・いつも持ち歩いているのか?」


 今日は夜とはいえ、そう寒くは無い。

 むしろ、まだ半そででもいい位の暑さ、ってやつかな。


 「よし。これでいい。」

 

 そういうと、甚平を着込んで満足げに茶を飲む雲罫。

 

 うりはー・・・というと。

 

 「うり、それどうした?」

 「ぁぃっ!」

 

 きせてくれー、という感じでもってきたのは上から被る七部袖のワンピース。

 赤い色をした、パジャマになりそうなやわらかい素材のそれ。

 そろそろうりの服もかってやらないとなー、なんて思っていた矢先だ。


 「ぁーちゃ、いーよちゃ、ぁぃって?」」

 「おー、もらったのか!よかったなー?そんじゃ、服着るから両腕ばんざーい!」

 「はんじゃー!」


 犯罪、じゃないので、念のためっ!


 うりに服を着せて、俺も軽くTシャツを。

 風呂上りに水分とって、三人で晩飯をとる。

 





 「・・・すっげぇ豪華だ!」

 「ごーかー!」

 「実に好ましい。」


 鍋ごともってきたのは、肉じゃがと、サトイモを煮たもの。

 それから漬物三種類ときのこの炊き込みご飯。

 それにあわせて山芋の磯辺揚げとか、もう俺の好物っ!


 「そんじゃ・・・いただきますっ!」

 「たーきぁしゅ!」

 「頂きます。」


 向かい合って、ランプの明かりで取る夕食。

 これで何回目かな、なんて思ってふと庭を見る。


 「どうした?」

 「いや、なんとなくさ。・・・あ、後で紹介する、えこ。」

 「えこ?」

 「えこしゃーん♪」


 そういや今日はまだ声聞いてないな。

 飯終わったらミルクとかもっていってやろう。


 「ちっちゃい猫がいるんだよ。名前は、えこ。」

 「ほう、地球に優しそうな猫だな。」

 「えこしゃーん、にあーって、すぅの!」

 「ほう、子猫か、実に良いな。」


 さくっと磯辺揚げを頬張って、口の中に広がる幸せに顔が緩む俺。

 そんな俺の様子を見て、同じように真似をするうり。


 「しかし、雲罫、今日はありがとな。」

 「いやなに、我も楽しかったぞ。」

 「ぅ?」

 

 うりが、不思議そうに首をかしげ(つつも口の中はみっちりなにやらつまっている。)俺と雲罫をじっとみる。

 

 「・・・。」


 そっと磯辺揚げをつまんで、さらにうりに近づける雲罫。


 「んぁ。」

 

 さらに口を開けるかうりっ!


 「・・・。」


 なんだその嬉しそうな顔は雲罫っ!


 はむはむ、と箸から磯辺揚げを口の中に格納していくうり。

 一体どんだけつまってるんだ・・・?






 「いやー、食った食った!マジうまかったなぁ。」

 「うまー♪」

 「実に良い食事であった。」


 明日の朝にも回せる分あるから、明日はこれと畑から何か取ってこよう。

 ほんと旨かったな、晩飯。


 「隼人。」

 「ん?」

 「あのタクとやら。結婚するといっていたが。」

 「・・・ああ、・・・子供出来たから、ここ取り壊して家建てるって言ってた・・。」


 うん、そうなんだよな。

 俺はここにいたい。

 でも、子供出来たって事は、タクだけじゃなくて、相手の嫁さんとか、子供とかもいるわけで。

 

 俺がワガママでここに居座りたいっていうのは、・・・確かに迷惑なんだろうな・・・。


 「しかし、我にはどう聞いても子供がいるようには思えないのだが。」

 「・・・ん?」

 「先程のタクとやらの車。タバコの臭いが異常であった。妊娠している女性を乗せているにはいささか疑惑がな。」

 「なるほど。・・・彼女も吸うとか?」

 

 確かに、車の近く通っただけで窓から漏れ出てくる臭いがかなりきつかった。

 まぁ、人それぞれなのかもしれないし、よくはわからない。


 「それに──と、うり嬢が睡魔に襲われているようだ。」

 「ん?・・・うり?」

 「・・・むー。」


 俺の膝に乗って、うつらうつらと船を漕いでいる。

 うん、確かに相当眠そうだ。

 昼間一杯遊んでもらったんだろうな。


 「うり、眠いか?」

 「ちゃー・・・。」

 「・・・うん、眠いんだな。んじゃ、えこにミルクだけ置いて、うり、寝るか?」

 「こしゃー。」

 「うん、えこしゃん、な?」


 えこのところまで連れて行こうかちょこっと迷う。


 「んー・・・。」


 外にちらっと顔を出してみる。

 さすがに夜も少し遅くなると寒いよなー・・・風邪引かせてもなんだし、一人でいくか。


 「うり嬢は我が布団まで運んでおこう。」

 「お、頼む。」


 膝からうりを抱き上げる雲罫。

 むー、とか一瞬寝言を言って、大人しく抱かれて(てか、意識ないな。)布団へ運ばれるうり。


 俺は、皿にミルクとかを準備して、えこの所(いや、固定しているとこ決まってるわけじゃないが。)へ向かう。






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