あんこくえ。
「さて、今日はもう布団いくか?」
「ぅ?」
「また昨日の話の続き読んでやるから、な?」
「おもたお?」
「そそそ、昨日は桃太郎が桃からでてきたろ?今日は桃太郎、鬼が島までいくかもしれないぞ?」
「ぉぉぉお!」
明日は朝早いし、今日は早めに寝ておかないといけないしな。
パタパタと、布団に走るうりを追いかけて、絵本を取り出す。
ランプを枕元に置いて、・・・今日はもう蚊帳はつるさなくていいかな。
いつかえこも家の中に入ってくるようになったら、うりと、えこと、俺と。
一緒に布団で眠るのもいいよなっ。
「ぁゃとー、ももたお!」
「はいはい、んじゃいくぞー?」
「ぁぃっ!」
ころんっと寝転んで、俺を待つ、うり。
その隣に寝転がると、絵本を開く。
「よし、んじゃ。」
昨日読んだところまで、パラパラと頁をめくると、読み始める。
「桃太郎はすくすくと育ち、あっという間に大きくなりました。」
「うりも?」
「ん?」
「うりも、おっきく?」
・・・うりは大きくなるのかな。
考えた事がないわけじゃぁないけど、なるべく考えないように、っていうか。
いつか、うりも20歳とか、今の俺と同じくらいの年になったりするのかな。
そしたら、その頃俺はいくつだろう。
「ぁゃと?」
「あ、ごめんごめん。」
つい、考え込んじゃって、話が止まってた。
うりとこれから一緒にいられるって思ったときに、思いついた疑問。
考えないように、今はまだ考えないでー・・って思ってたんだけど、その「今は」は、いつまでだろう。
「ぁゃと?」
「あ、うん、そうだな。うりもいいこになるぞ?」
「いま?」
「今も十分いいこだぞっ?」
「ぁー♪」
うん、とりあえず、今夜はいいってことにしよう。
うりがオハナシ続き待っててくれてるし、・・・いいよな?
「ももたぉ!」
「よし、んじゃ読むぞ?」
ぱらっと一枚めくって。
「ある日、桃太郎は言いました。おじいさん、おばあさん、私は鬼退治にでかけてきます。どうか、キビ団子を作ってもたせてください。」
「だんご?」
「そう、キビ団子。」
「うま?」
「んー、俺食ったことないな。明日バァちゃんに聞いてみ?」
「ぁぃっ!」
絵本には、桃太郎が左手に袋をもって、おじいさんとおばあさんに見送られていくところか。
キビ団子、どんな味なんだろ?
昔、黄身ダンゴだと勘違いしてたこともあったよなー・・・って、続き続き。
「おばさんはキビ団子をもたせてやると、おじいさんと一緒に桃太郎を見送りました。」
「いってぁっしゃー。」
「はい、言ってきます、って・・・まぁ、そうだな。」
うんうん、と頷くうり。
「桃太郎は旅の途中で、犬に会いました。」
「いう?」
「わんわん、ってなくやつだな。」
「ぉー?」
絵本を読むのって、なんだか照れるな?
この、口調っていうか、読み手と登場人物の切り替わりをどう読むか・・って、初めての経験だし、しゃぁないよな?
「よし、んじゃ俺式桃太郎でいくぞ?」
「ぅ?」
「うりは、ここの絵みててな?俺が雰囲気だして読んでやる。」
「ぁぃっ!」
ぱらり、ともう一枚めくると。
「そして、桃太郎は旅の途中で、犬にあいました。そこで、犬は言ったんだ。」
「ぅ?」
「ダンゴくれよ。」
「ぉぉ!」
ぱらり。
「桃太郎は犬にダンゴをあげると、犬は桃太郎の家来になったんだな。」
「けぁぃ。」
こくこく、と頷くうり。
家来、って意味わかってるかなー?
「そしてまた歩いていると、今度は・・・。」
「こんどぁ?」
「サル!」
「きああああ!」
「いや、サルは怖くはないぞっ?」
ほっとするうり。
うん、サルは多分怖くないぞ?(実物見たことはないけどな。)
「サルも言いました。」
「ぅ?」
「ダンゴくれ。」
「けぁぃ!」
「そうそう、そしてダンゴくって、サルも家来になりました。そしてまた歩いていると、今度は・・。」
「えこしゃん!」
「おしいっ(のか?)、今度はキジだ。」
「きーじ。」
キジ・・・って、やっぱりこれも見たことない。
うりと絵本の絵をみて、うんうん、と頷く。
・・・綺麗な鳥なんだな。
「キジも言いました。」
「あんこくえ?」
「い、いやっ、ダンゴくれっ!」
「けぁぃ?」
「そう、キジも家来になりましたっ!」
うんうん、と頷く、うり。
ぺたーっと枕に頭を乗せて、瞬きが大分ゆっくりになっている。
・・・そろそろ眠いのかな。
「うり、眠いか?」
「あんこー。」
「・・・よしよし、寝ような?」
「ぁぃー。」
明日、帰りにはお土産でダンゴ買って来てやろうかな、アンコがついてるやつ。




