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うりと夏休み〜続編〜  作者: ぬこ
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えこに決定。


 「っかー、風呂はやぁぁっぱたまらんなっ!」

 「っぁー!」


 今日みたいに晴れた日だと、星がほんとにキレイ。

 湯気でうっすらくもって、ランプの光がもやーっとしてて。

 もっともっと寒くなったらお盆浮かべて、日本酒浮かべたいなー、なんて思うぞ、うん。


 「風がきもちいいなー、これはたまらんぞっ!」

 「ぁー♪」

 かぽーん、と膝に乗っているうりが後にゆっくりと湯に浸る。

 ゆらゆら、髪の毛が揺れているのがうっすらと見えて、それが膝に当たってくすぐったい。


 にゃーん。


 「!」

 「お!」


 にゃーん。


 聞こえるのは、昨日の猫の声。

 ばちゃっとうりが湯から頭を起こして、俺の頭につかまって立ち上がる。


 「ぇこしゃーん!」

 

 きょろきょろ、と辺りを見回してみるが、どうもよく見えないらしい。

 十分あったまったし、今日は早めにでるかな。


 「えこしゃーん?」

 「・・・にゃー。」

 「!!!!」

 

 くるっと俺を振り返る、うり。

 ・・・いや、つ、つい・・な?

 






 「こら、うりっ!ぱんつはきなさいっ!」

 「ぇこしゃんも!」

 「猫さんはぱんつはかないのっ!」

 「いたー!」


 風呂から上がって。

 うりの体を拭いてやっているときに、にゃーん、と鳴き声。

 それこそ猫のようにびくっとして、タオルひっかけたままで全力疾走(して、裾を踏んずけて転んで、泣いて。)して、猫を探すうり。


 「ほら、これエサあげようなーっ?うり隊長、とまれっ!」

 「う!」

 ぴたっと、敬礼アイターして、縁側で立ち止まる全裸の幼女。

 ・・・そして同じく全裸で追いかける22歳独身男性。




 


 「お、食ってる食ってる。」

 「ぇこしゃーん。」

 「猫にも名前つけてやろっか。」

 「ぅ?」


 やっぱり、すぐ側には近寄ってこないが、ちょっと離れたところでエサを食べている、猫。

 昨日よりは、ほんのちょっと警戒心がとけているのかな。


 「猫の、呼び名だな。なにがいい?」

 「えこしゃん。」

 「いや、ほら、それは猫だろ?」

 「ぅ?」

 「んー・・・。」

 「じゃぁ・・・ぁゃと?」

 「なんでっ!」



 不思議そうに首をかしげる。

 別にあやと、でもいいんだが、混乱するし、ややこしいだろう?


 「えこしゃーん?」

 「・・・にゃー。」


 カリカリ、と音を立ててエサを食べていた猫が、ふっと顔を上げる。

 ランプの明かりに照らされている、小さな体。

 目は夜だからか、まんまる。

 ピンとはったヒゲがなんだか誇らしげだ。


 「・・・じゃ、じゃぁ、名前は、えこ、でいっか?」

 「えこしゃん♪」

 

 ん?と軽くこっちをみて、首を傾げるも、カリカリとエサを食べ始める、えこさん。

 ・・・地球に優しそうな名前だし、うん、えこ、で。



 「にゃーん。」

 「ん?」

 

 しばらくカリカリと小気味いい音を立ててひたすら食べていたのだが、満腹になったのだろうか。

 ピタピタと音を立てて皿から水を飲んで、一声鳴く。


 「もうちょっと慣れたら、家の中くるかな?」

 「ぇこしゃんも、おうち?」

 「うん。寒くなってきたら、一人で外だとかわいそうだろう?」

 「ぇこしゃん、いっしょー!」


 にこーっとわらって、縁側の下に手を伸ばす、うり。

 しかし、やっぱりびくっとにげる、えこ。

 

 「まだ、しゃぁないな。何日かしたらきっと慣れてくれるからな?」

 「ぅー。」

 

 寂しそうに、縁側から上半身を下にたらして、手をふりふりする、うり。

 

 「よし、中はいろ?」

 「ぅー・・・。」


 足をバタバタさせて、くぐもった返事。

 んー、さすがに野良猫だと一日二日じゃなれてくれないから、残念だけど、な?

 

 「うり、おいで?」

 「ぁうー。」


 ・・・頭が重いのかっ?


 よいしょっと声を掛けて、縁側からうりを抱き起こす。

 なんとなく、「おおきなかぶ」とか、そういう童話を思い出して、思わず笑う。


 「だー。」

 「うり、顔まっかだぞっ?」

 「ぁゃ。」

 ふにー、っと重力に従順な感じにくにゃっと縁側にへたり込んでいるのを抱きかかえて、縁側を後にする。



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