わら!?
「こんにちわー。」
「ちぃぁー!」
縁側で、麦茶を飲んでいるバァちゃんとミヨコさんに声を掛ける。
「まってたよぅー?」
「そうよー、二人来てくれる様になってからほんとに楽しみでねぇ?」
嬉しいなー、ほんと。
思わずカオがにやける。
・・・って、あれ、なんだ?
バァちゃんの側においてある、藁を縛ったもの。
丁度、俺の腕の、肘曲げた先くらい。太さも似てるな。
「バァちゃん、ミヨコさん、それなに?」
「ぁに?」
指差して、近寄ってみる。
「んー?」
「あぁ、おニィちゃん、見たことない?」
二人してくすくすっと笑う。
・・・あの形に、藁。
思い当たるものといえば。
「藁人形?」
「ぶっ!」
「あはははははは!」
吹き出すバァちゃんに、大笑いするミヨコさん・・・ってっ。
「ちがうわよぅー、藁納豆よっ。食べた事ない?」
「ニィちゃん面白い事いうねぇー?」
そう言って、俺に一つ渡してくれる。
なんとなく、あったかいような・・・うわさでは聞いたことあるけど、マジで藁だぞ、これ。
うりに渡してみると、ふりふり、と振って、顔を近づけて、匂いをかいで。
「うり、どう?」
「ぅ?」
特に変わった様子はない。
「じゃぁ、今日のお昼ゴハンに食べよっかねぇ?」
「そうしようかぁ、おニィちゃん達、食べていけるよね?」
「ありがたくっ!・・・っていつもいつもすみませんっ。」
「んっ。」
ぺこっと俺が頭を下げるのをみて、うりが真似をする。
ほんと、ここんとこずううっとバァちゃん家きては、飯ご馳走になったり、野菜わけてもらったり、魚もらったりって、世話になりっぱなしだ。
来る前にスーパー寄ってお土産買っていったりしたこともあるんだけど、
「いいのよー、来てくれて手伝ってくれて、話し相手できて嬉しいんだからねぇ?」
って、ミヨコさんにもバァちゃんにも言われて。
「もし、お遣いお願いしたい時は帰り際に言うからねぇ?」
なんて笑って、砂糖の空箱を指差す、ミヨコさん。
たまーに、砂糖の買出しを頼まれるけど、それもなんだか嬉しい。
(その日のおやつがこれまた嬉しい。)
「あ、絵本ありがとうございましたっ、昨日寝る前に、うりと読みました。」
「ぁぃ!」
こくこくっ、と頭を振って嬉しそうに笑う、うり。
そんだけ喜んでくれるなら、今夜も続き読まないとなっ。
「あらぁ、よかったぁ、又出てきたらあげるからねぇ?」
「うりちゃん、読んでもらったの、よかったねぇ?」
頭を撫でてもらって、にこーっとして、「ぁー♪」なんて声が出るうりに、同じようににこーっとするミヨコさん。
笑顔って、伝染するよなー、と思う。
すごく嬉しそうにしてると、つられてこっちもにこーっと。




