ぱんつまるみえ。
「ぉぁやー?」
「・・・ん?」
胸の上から、覗き込んでくる、うり。
「おー、おはよー。」
「ぁょっ!」
俺の上にごろんと横になって、じーっと顔を覗き込んでいたらしい。
ぺたぺた、と手のひらで顔のあちこちを撫でてくれるのが、ひんやりとしていて気持ちいい。
幾ら夕方が秋っぽいとはいっても、やっぱり、暑い日は暑いし、そういう時はセミも鳴く。
「あのえー、ぇこしゃん、のんだ。」
「飲んだ?
「えこしゃん、のんだの。」
「あー、牛乳飲んだってことな?」
「いーね?」
「うんうん、よかったなー。今日はバァちゃんとこいって、帰りに猫さんのゴハンかってこような?」
「ぁぃっ!」
返事をすると、むくっと起き上がり、俺の腹の上に座る。
「よーし、そしたら顔洗って、朝飯食って、でかけますか!」
「ぁーぃっ!」
そろそろ、畑には何がなるんだっけ。
こうとわかってりゃ、春のうちにしっかり手入れしとくんだったなぁ・・・。
土がいいからか、結構不自由しないくらいには育ってくれてて助かるけどっ。
「確か・・・サトイモもあったはずだよな?」
「あといも?」
「うんうん、むかーし、ジィちゃんが食わせてくれたんだよ。なんつったっけな・・・。」
やたらうまかったんだよな、確か・・・。
「あ、思い出した。はじきいも、だ!」
「ぅー?」
「サトイモ茹でてなー、先だけちっとむいて、塩つけて食うの。うまかったんだ。」
「うま?」
「うまっ!」
「いーねっ!?」
「いーねー!」
うん、多分、実がなるはず。
毎年冬の前にはジィちゃん食わせてくれてたし。
去年掃除に来た時は見てないけど、どうだったかなー・・・。
「ぱちきーもー♪」
「パチキ・・・じゃないぞっ??」
確か、ワザの名前じゃなかったっけ、「パチキ」。
ぶんぶん、と手を振るうりをつれて、縁台から外へ。
ぴょん、と飛んで逃げるのは、アマガエル。
「ぁ!」
「カエルだなー。」
「ね?」
「かわいいよなー。」
「ぁー♪」
しゃがみこんで、じっとみてみる。
柔らかそうな緑色の肌に、くるっとした、小さな丸い黒目。
それが、ふくふく、としていて、かわいい。
「さーて、すっきりして、今日も元気にいきますかー!」
「ぁー!」
見上げてみると、やっぱり空が高い。
サンマ焼いて、大根おろしとかもいいなーなんて思う、俺。
「ぁゃとっ、ごぁん!」
「んだなっ、腹減ったし、畑みにいこーかっ。」
「ぁぃっ!」
ぷるぷるっと顔を振って水気をはらうと、畑に向かって走るうり。
いーなー、こうやって朝飯決めるのって、結構贅沢かもっ?
とはいえ、冬に備えて倉あたりに何かためておかないといけないよな。
じーっと畑を見てみる。
確か、トトロがかぶってた葉っぱに似てるんだよな・・・?
「ぁっぱー!」
「技っ!?」
うりが指差すのは、まさにそれっ!
・・とはいえ、まだやっぱり小さいような気がする。
「んー・・・まだ・・かな?」
「ぁだ?」
「うんうん、確か、ジィちゃんに食わせてもらったのは割と寒い頃だった気もする。」
「むー。」
さて。
この時期他にくわせてもらったものは・・・。
と、畑を見渡す。
「あ。」
「ぅ?」
「うり、あれ!」
指差すと、俺の指先をみる、うり。
「ちがうっ、俺の指じゃなくて、あれ、ジャガイモだ!」
「じゃがも?」
「うんうん、あれを、掘り出して、洗って、茹でて塩っ!」
「んま?」
「うまいっ!」
「ぉぉぉおお!」
てってってって、と畑を走るうり。
・・あーあ、せっかく顔洗ったのに足とか泥だらけだぞ?
あとでもっかい手あらわないとな・・・って、俺も似たようなもんかっ。
じーっとしゃがみこんで、じゃがいもの葉っぱを見つめているうりの後に回る。
なつかしいなー、よくジィちゃんとこうやって引っこ抜いて収穫したんだよな。
「よーし、うり、しっかり握って。」
「ぁぃっ!」
ぐっ、と二人で茎を握る。
「いくぞっ!」
「ぉ!」
しょっ、と掛け声をかけて、一気に引っこ抜く。
「おー?」
「ぉぉぉお!」
ばらばら、と大きいものや、小さいものがくっついてくる、第一回収穫っ!
あわせて、いくつだ?
うん、これなら二人分余裕であるよなっ。
ばらばら、とふって、土を取って、一つずつ実をほぐす。
余ったやつや、余りにも小さいものはもう一度掘り起こした穴の中に戻して、来年に備えてっ。(って、それでいいのか?)
「いたぁきあーしゅ♪」
「まてっ!」
「ぅ?」
掘り立てのジャガイモをパンパン、として、口にいれようとする、うり。
それを慌てて止めると、口を開いたまま、首をかしげる。
「んーとな、確か、生のままじゃうまくないっ。」
「ぁぅー。」
「しかしっ!」
「しっ!?」
「茹でるとうまいっ!」
「うでっ!」
握っていたジャガイモをふりふり、と振って、俺に渡す。
うん、歯型はまだついてないな?
「よし、んじゃ、持ってって洗って茹でてくうぞー?」
「ぁーぃっ♪」
・・・とはいえ、両手に持つのにもちょっと無理があるな。
入れ物もってくればよかったか?
確か、台所にカゴがおいてあったはず。
あれ持ってきて・・・ってっ。
「うり・・・。」
「ぅ?」
「女の子がスカートめくっちゃいけませんっ・・・が、まぁ、いっか?」
うりが、スカート(というか、ワンピースなパジャマだな。)をめくって、そこにジャガイモを詰めている。
ロングスカートならいいんだろうけど、そんな長いのはいて歩ける訳も無いので、短い、膝丈のスカート。
つまり。
ぱんつまるみえ。




