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涼風/舞う
蝉の音がぴしゃりと止むと同時に
色付いた空気が漂い始め
青々とした匂いを染み込ませた空気と混ざり合い
鈴の音の匂いを鳴らす
しゃらり、と風が吹けば
草木は小刻みに震え
緑という緑が叫ぶのだ!
(名残惜しや)
(名残惜し、や)
嗚呼、名残惜しや
むせかえるほどたぎる命の
活き活きとした脈動を
出来うる限り長く、長く聞いていたかったのに
風は待ってはくれない
いずれ緑は紅く肥え
鳴く鳴く虫も泣き止んで土に帰すのだろう
いずれ緑は紅く肥え
泣く泣く実も熟れ落ちて土に帰すのだろう
しゃらぁん、しゃらん
葉と葉が擦れて泣いた
ぼやけた緑が風に舞う




