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僕の人生記

作者: はるか
掲載日:2026/04/22

「僕の人生記」


僕は、とある帝国の貴族の一員として産まれた。僕の国は顔が整っている人が家計に1人でも居れば、強制的に貴族となる。…誰でも貴族になれるわけじゃない。美の基準がとても高いため、貴族の座は145年空いていた。


145年振りに注目されたのは僕の姉、「リリー」だった。僕より5つ上で、とても美人だ。

赤ちゃんの頃から目がパッチリとしているらしく、それを見た国の政治家等は「今すぐこの子を…!!」とてんやわんや。そして、貴族になったらしい。


僕の両親はたしかに美人だ。貴族の水準は満たされなかったそうだが、両親の良いところが奇跡的に噛み合い、貴族の水準並、あるいはそれを超えた美形が生まれたのかもしれない。


僕が生まれる時、周囲の大人は期待していたらしい。「きっと顔の良い子が生まれる」とね。ただ実際は特別醜いわけでもない。街を歩けば恐らく視線を浴びるだろう。ただ、姉の隣に立てば大したこと無かった。


周囲の大人の視線は、恐らく期待外れで苦笑いしていただろう。

僕は幼いながらに察していた。汚い世界だなと思っていた。


ただ、僕が2歳の頃

簡単な計算が出来たり、二か国語をマスターし始めた。なので「この子は顔は醜いが、非常に賢い」と大人から言われた。だから、姉上の隣に立っても恥ではないと言われたんだ。


賢いことが僕の唯一のステータス。


本来は前に出ても良い存在だった。

だが、問題は4歳の頃だ。


あまり記憶には無いが、僕は色んな女執事のパンツを盗んだり見たり……そんな行為をしていたので「お前は外に出て良い人間じゃない」と父上に言われた。


今思えば当たり前だろう。当然の行為だ。そこから僕の人生は、姉上とも会えない話せない。永遠に城の中で暮らす生活になったのだ。


一応、姉上の弟なので放置されることは無かった。ちゃんと毎日ご飯を貰い、風呂に入れて、勉強もしっかり出来る環境なので家庭教師をつけてもらっていた。


父上は「ちゃんと真面目な人間になりなさい。」そう定期的に言われていた。


ただ僕は、「表に出る面倒な仕事が減っただけ。特に不便なことは無い。」と思ってしまったんだ。調子に乗って


また同じ誤ちを何度も繰り返したんだ。7歳の頃の話だ。

そのせいで、女執事が世に僕の誤ちを流そうとしたんだ。ただ僕はこう言った。


僕「僕は世に出ちゃダメな存在なんだよ。だからこの事を世に出したら駄目だよ。あと、みんな僕が最低な事くらい把握してるよ。だからチクったって無駄なんだ。」


僕「あ、僕も一応貴族の人間だよ。命令していい?この事を世に出したらクビにするからね。それか、もっとお仕置するよ?」


女執事の顔はどんどん泣きそうな顔になっていたのを覚えている。まあそんな感じで、数十人の女執事にそういうことをしていた。


そんな生活を数年続けていた。ご飯食べてお風呂入って勉強し、女執事にそういうことして、周りに言われそうになったらさっきみたいに脅して。


数年後。


僕が14歳の時、姉は19歳だった。当時の僕は、パンツを見たり盗むなんて可愛いことはしていなかった。もっと酷い身体の関係。女執事が抵抗しようが

「一応、僕は貴族なんだよ。命令は聞こうよ。」

と言って無理やり黙らせたりしていた。


ただ、人生で2回くらいしか話したことの無い姉上と廊下で会った時に

突然言われたんだ。


姉上「…真っ当に生きなさい。」


そう言われて、家を追い出された。僕は貴族でも何でもないただの凡人。


姉上は僕に真っ当に生きて欲しかったから、きっと追い出してくれたんだ。

貴族の分際だからと甘えている僕をあえて追い出してくれた。


だけど当時の僕は

「自由になれた!!」だった。


僕の帝国の貴族は、ステータスが全て。姉は顔だとしたら、僕は頭の良さ。ステータスで価値を決められるのが、正直嫌だった。

だから僕は喜んだ。あと僕は頭が良いんだ、適当に演じて助けてもらえば良い。


僕は一般人として生きると、「かっこいい」とか「イケメン」と街を歩くだけで言われた。だから、「家を追い出されて困っているので泊めて欲しい」と頼んだんだ。少し困った顔をして。


そしたら早速家を出された日に、新しい人が僕を家へ迎え入れてくれたんだ。


「やっぱり、賢いっていいなあ」


僕は凡人が通う学校に通わせてもらった。そこでも勿論成績は良かった。

僕はいい子だったので、家でお手伝いをしたりしたらすぐに「いい子だね」と褒めてもらえる。これも顔なのだろうか。


「それにしても、人生上手くいってるなあ。」


そんな風に優越感に浸って生きていた。家を追い出されても僕は凡人の中だと顔が良いからすぐにみんなから慕われる。


ただ、僕は欲が抑えられなかった。真っ当に生きたつもりなのに


凡人が通う学校で、「お金をあげるから僕とどう?」と色んな人を誘った。凡人は頭が弱いし、リスク管理もないからすぐ顔を赤らめて「…うん!」と頷くんだ。馬鹿馬鹿しいよね。

もちろん元々貴族とはいえ、お金は持っていなかったので

迎え入れてくれた家族の人のタンス貯金から1万円を奪って渡していた。

1万円は安いお金だ。でも凡人(特に学生)にとって大きなお金に見えるらしい。ある意味有難いよね。


ただ、それが問題になったのは18歳の時だった。「お金が減っている」と。

年齢が上がるにつれて、1万円じゃ足りないだろうと思い3万円5万円…と上げていた。僕は謝って許してもらおうと思ったけど

今までいい子のフリをしてたので、余計ショックを受けられたのかもしれない。


家主「貴方なんて出ていきなさい!!ブサイク泥棒!!」


ブサイク…?最初はイケメンと崇めていたくせに。結局、姉上ほど整っていないと、すぐに評価って変わるんだな

と思う。

よく良く考えれば

そうやって容姿に囚われて生きていく大人達に嫌悪していた。僕は賢いので、小さい頃から周囲の大人達からは「期待外れ」みたいな目で見られてたのも分かるし、「顔は醜いけど頭は良い」と言う目で見られていたのも分かっていた。


容姿でしか物事を測れなくて、地位も結局容姿なんだ。

姉上程、顔が整っていなければ

何か良いことをすれば「イケメン」

悪いことをすれば「ブサイク」扱い。


うんざりとした。僕は家を出ていった。


どうやって生きていけば良いのか。隣町まで歩いて、頼んでみたけど


家主、隣町にまで噂をばらまいていたらしい。結局誰も泊めてくれない。


そうやって数日間歩き続けて、僕は倒れた。ご飯も食べていないし、誰も助けてくれないんだ。


今までの人生を振り返ると

僕が1番馬鹿だった。


賢く生きれば真っ当に貴族として生きれた。

たとえ問題行動を起こして、あの時表には出れなくなったけど

普通に生活できて、家庭教師までつけてくれていた。あそこで真っ当に生きれば、父上が少しは許してくださっていたのかもしれない。


姉上も、あれは優しさだったと思う。貴族という立場に甘えていた僕をわざと突き放してくれていた。


僕は賢くなかった。本能のまま生きる馬鹿だ。


容姿やステータスに囚われている世界が嫌いだった。でも、1番容姿やステータスに囚われていたのは僕だったのかもしれない。


誰か助けてくれないかな……そう期待しているけど、もう誰もきっと見向きもしないだろう。


神様………1番馬鹿なのは僕だった。


父上姉上ごめんなさい。せっかく拾ってくれた家主さんもごめんなさい。そして、今まで僕の被害にあった人たちもごめんなさい。


自らそうやって道を狭めていっている。ステータスを頼りにしないと生きていけないのは僕の方だった。


END

読んで下さりありがとうございます!

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